孟子 / 離婁章句下
孟子曰、言無實不祥。不祥之實、蔽賢者當之。
新字:孟子曰、言無実不祥。不祥之実、蔽賢者当之。
書き下し
孟子曰く、「言に實無きは不祥なり。不祥の實は、賢を蔽う者之に當る。」 <解説> この節は分かりにくい。朱注に云う、「或いは曰く、天下の言實に不祥なる者有る無し、惟れ賢を蔽い不祥の實を為すと、或いは曰く、言にして實無き者は不祥なり、故に賢を蔽い不祥の實を為す、二説同じからず、未だ孰れが是なるか知らず、疑うらくは或いは闕文有らん。」私は後説を採用し、かなり強引な解釈をした。やはり朱子の言うように闕分が有るのだろうか。
現代語訳
孟子は言った。 「言葉に真実がないのは、不祥である。その最たるものは、君主に対して、賢者を覆い隠して埋もれさせる言葉である。」
解説
言葉に真実味が伴わないこと、すなわち行動や実態が言葉と一致しないことは、非常に不吉であり人間関係を壊す原因となります。とくに、実力のある優れた人を隠したり、正当に評価しない言葉は、組織や社会にとって大きな損失です。日常のコミュニケーションでも、見栄を張ったり嘘をついたりせず、誠実な言葉を使い、他者の長所を正しく認める姿勢が大切です。
この章句が説くこと
誠実言行一致正しい評価真実
関連する章句
-
徒然草・第233段万の科あらじと思はば、何事にも誠ありて、人を分かず恭しく、言葉すくなからむには如かじ。男女老少みなさる人こそよけれども、殊に若くかたちよき人の、言うるはしきは、忘れがたく思ひつかるゝものなり。よろづのとがは、馴れたるさまに上手めき、所得たるけしきして、人をないがしろにするにあり。
-
尚書・君陳至治は馨香にして、神明に感ず。黍稷は馨と非ず、明德のみ惟れ馨し。
-
論語・為政篇子曰く、詩三百、一言以て之を蔽えば、曰く、思い邪(よこしま)無しと。
-
孟子・離婁章句上孟子曰く、「下位に居りて、上に獲られざれば、民得て治む可からざるなり。上に獲らるるに道有り。友に信ぜられずんば、上に獲られず。友に信ぜらるるに道有り。親に事えて悅ばれずんば、友に信ぜられず。親に悅ばるるに道有り。身に反して誠ならずんば、親に悅ばれず。身を誠にするに道有り。善に明らかならずんば、其の身に誠ならず。是の故に誠は、天の道なり。誠を思うは、人の道なり。至誠にして動かざる者は、未だ之れ有らざるなり。誠ならずして、未だ能く動かす者有らざるなり。」
-
尚書・周官德を作せば心逸んじて日々休く、偽を作せば心勞して日々拙し。
-
尚書・秦誓如し一介の臣有りて、斷斷猗として他の技無く、其の心休休焉として、其れ容るる有るが如くんば。