導師導古典を学びたいすべての人に

玉勝間 / 一の巻 又

いきほひ富る人の上にては、かばかりの費は、何ばかりの事にも有らで、そのいさをは、天の下の人のいみしきめぐみをかうぶりて、末の世まで殘るわざぞかし。かへすがへすこころざし有らむ人もがな。

新字:いきほひ富る人の上にては、かばかりの費は、何ばかりの事にも有らで、そのいさをは、天の下の人のいみしきめぐみをかうぶりて、末の世まで残るわざぞかし。かへすがへすこころざし有らむ人もがな。

書き下し

いきおい富める人の上にては、かばかりの費は、何ばかりの事にも有らで、そのいさおは、天の下の人のいみしきめぐみをこうぶりて、末の世まで残るわざぞかし。かえすがえすこころざし有らむ人もがな。

現代語訳

勢いがあり富んでいる人にとっては、これほどの費用は大したことでもなく、その功績は天下の人々が大きな恵みを受けて、末の世まで残るものである。くれぐれも、その志のある人がいてほしいものだ。

解説

古書刊行の勧めを締めくくる短い段である。力と富のある人にとって、版を起こす費用など大したものではない。それなのにその功は天下の人に恵みとなり、後の世まで残る、と宣長は念を押し、最後に「かえすがえすこころざし有らむ人もがな」と願いを込める。松坂の町医者として暮らし、自らの著作の刊行にも苦心した宣長には、資金さえあればできることが進まないもどかしさがあったのだろう。同じ頃、江戸では塙保己一が古書を集めて『群書類従』として刊行する大事業を進めていた。わずかな負担で大きく長い恩恵を生むお金の使い方がある。富を持つ者の役目とは何かを考えさせる一文である。

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る