朱子家訓 / 與肩挑貿易
與肩挑貿易,毋占便宜; 見窮苦親鄰,須加溫卹。
新字:与肩挑貿易,毋占便宜; 見窮苦親鄰,須加温卹。
書き下し
肩挑貿易に与しては、便宜を占むること毋かれ。 窮苦の親鄰を見ては、須く温卹を加うべし。
現代語訳
天秤棒をかついで商いをする行商人と取引するときは、安く買いたたくなどして得をしようとしてはいけません。 貧しく苦しんでいる親戚や隣人を見たなら、温かい心で援助しなさい。
解説
肩挑貿易とは、荷を担いで売り歩く小商人のことで、立場の弱い相手の代表として挙げられています。立場の弱い人から、わずかな得を取ろうとしない姿勢を教えています。後半の「温卹」は、あわれみ、手を差し伸べるという意味で、身近な困窮者を見過ごさないことを求めています。これは慈善だけの話ではなく、取引の公正さと、近しい人への思いやりという二つの面を持ちます。現代の仕事でも、下請けや個人事業者への値引き要求や支払い条件、近隣や仲間の困りごとへの目配りに通じます。
この章句が説くこと
肩挑貿易便宜窮苦親鄰温卹公正
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伝習録・陸澄録問う、「程子云う、『仁者は天地万物を以て一体と為す』と。何ぞ墨氏の兼愛は、反りて之を仁と謂うを得ざるか」と。先生曰く、「此れ亦た甚だ言い難し。須らく是れ諸君、自ら体認し出だし来たりて始めて得べし。仁は是れ造化生生不息の理なり。瀰漫周遍し、処として是ならざる無しと雖も、然れども其の流行発生も、亦た只だ個の漸有り。所以に生生不息なり。冬至に一陽生ずるが如きは、必ず一陽生ずるより而る後に漸漸として六陽に至る。若し一陽の生ずる無くんば、豈に六陽有らんや。陰も亦た然り。惟だ其れ漸なり。所以に便ち個の発端の処有り。惟だ其れ個の発端の処有り。所以に生ず。惟だ其れ生ず。所以に息(や)まず。之を木に譬うれば、其の始め芽を抽(ぬ)くは、便ち是れ木の生意の発端の処なり。芽を抽きて然る後に幹を発し、幹を発して然る後に枝を生じ葉を生ず。然る後に是れ生生不息なり。若し芽無くんば、何を以て幹有り枝葉有らんや。能く芽を抽くは、必ず是れ下面に個の根の在る有り。根有りて方に生ず。根無くんば便ち死す。根無くんば何より芽を抽かん。父子・兄弟の愛は、便ち是れ人心の生意の発端の処なり。木の芽を抽くが如し。此より而して民を仁し、而して物を愛するは、便ち是れ幹を発し枝を生じ葉を生ずるなり。墨氏の兼愛は差等無し。自家の父子・兄弟を将(もっ)て途人と一般に看做す。便ち自ら発端の処を没し了る。芽を抽かざれば便ち他に根無きを知り得たり。便ち是れ生生不息に非ず。安くんぞ之を仁と謂うを得んや。孝・弟は仁を為すの本なりとは、却って是れ仁の理、裏面より発生し出づるなり」と。
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