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春秋左氏伝 / 昭公二十年 祝史を誅せんとす

齊侯疥。遂痁。期而不瘳。諸侯之賓問疾者多在。梁丘據與裔款言於公曰。吾事鬼神豐。於先君有加矣。今君疾病。為諸侯憂。是祝史之罪也。諸侯不知。其謂我不敬。君盍誅於祝固史嚚。以辭賓。公說。告晏子。晏子曰。日宋之盟。屈建問范會之德於趙武。趙武曰。夫子之家事治。言於晉國。竭情無私。其祝史祭祀。陳信不愧。其家事無猜。其祝史不祈。建以語康王。康王曰。神人無怨。宜夫子之光輔五君。以為諸侯主也。公曰。據與款謂寡人能事鬼神。故欲誅于祝史。子稱是語。何故。對曰。若有德之君。

新字:斉侯疥。遂痁。期而不瘳。諸侯之賓問疾者多在。梁丘拠与裔款言於公曰。吾事鬼神豊。於先君有加矣。今君疾病。為諸侯憂。是祝史之罪也。諸侯不知。其謂我不敬。君盍誅於祝固史嚚。以辞賓。公説。告晏子。晏子曰。日宋之盟。屈建問范会之徳於趙武。趙武曰。夫子之家事治。言於晋国。竭情無私。其祝史祭祀。陳信不愧。其家事無猜。其祝史不祈。建以語康王。康王曰。神人無怨。宜夫子之光輔五君。以為諸侯主也。公曰。拠与款謂寡人能事鬼神。故欲誅于祝史。子称是語。何故。対曰。若有徳之君。

書き下し

齊侯疥(かい)し、遂に痁(せん)す。期にして瘳えず。諸侯の賓疾を問ふ者多く在り。梁丘據と裔款と公に言ひて曰く、「吾鬼神に事ふること豐かにして、先君に於いて加ふること有り。今君疾病して、諸侯の憂ひと為る。是れ祝史の罪なり。諸侯知らず、其れ我を不敬と謂はん。君盍ぞ祝固・史嚚を誅して、以て賓に辭せざる」と。公說び、晏子に告ぐ。晏子曰く、「日(さき)に宋の盟に、屈建范會の德を趙武に問ふ。趙武曰く、『夫子の家事治まり、晉國に言ひて、情を竭くして私無し。其の祝史祭祀して、信を陳べて愧ぢず。其の家事猜無く、其の祝史祈らず』と。建以て康王に語る。康王曰く、『神人怨無し。宜なるかな夫子の光(おほ)いに五君を輔けて、以て諸侯の主と為すこと』と」と。公曰く、「據と款と、寡人能く鬼神に事ふと謂ふ。故に祝史を誅せんと欲す。子是の語を稱するは、何の故ぞ」と。對へて曰く、「若し有德の君ならば、

現代語訳

斉侯(景公)は疥癬を病み、それがもとでおこりの熱病になった。一年たっても治らなかった。諸侯から見舞いに来た賓客が大勢斉に滞在していた。梁丘拠(りょうきゅうきょ)と裔款(えいかん)が景公に言った。「わが国は鬼神に仕えることが手厚く、先君の時代よりもさらに多くを捧げております。それなのにいま君は病が重く、諸侯に心配をかけております。これは祝史(祈祷と記録の官)の罪です。諸侯はそうとは知らず、わが国が鬼神に不敬だったと言うでしょう。君はどうして祝の固と史の嚚(ぎん)を誅殺して、賓客たちに申し開きをなさらないのですか」。景公は喜んで、晏子(晏嬰)にこれを告げた。晏子は言った。「以前、宋での盟会のとき、楚の屈建が晋の范会(士会)の徳について趙武に尋ねました。趙武は言いました。『あの方は家の中がよく治まり、晋の国政について発言するときは真情を尽くして私心がなかった。その家の祝史が祭祀を行うときも、ありのままの誠を神に申し述べて恥じるところがなかった。家の中に疑わしいことがないので、祝史は特別に祈る必要もなかった』。屈建はこれを楚の康王に語りました。康王は言いました。『神にも人にも怨みがなかったのだ。あの方が五代の君を大いに補佐して、晋を諸侯の盟主にしたのももっともなことだ』」。景公は言った。「拠と款は、私がよく鬼神に仕えていると言う。だから祝史を誅しようと思うのだ。そなたがこんな話を持ち出すのは、どういうわけか」。晏子は答えた。「もし徳のある君主であれば、

解説

斉の景公が長患いし、見舞いの諸侯の使者が大勢滞在している。寵臣の梁丘拠と裔款は、祭祀は先君以上に手厚いのに病が治らないのは祝史の祈りが悪いからだ、祝史を誅して諸侯への言い訳にせよと勧める。病という不始末の責任を、神に仕える現場の担当者に押しつけて体面を保とうという発想である。景公はこれに乗り気になり、晏子に相談する。晏子はすぐに反論せず、范会の故事を引く。范会は家の内が治まり、国政に私心がなかったので、祝史は神の前で真実を述べて恥じることがなく、特別に祈る必要もなかった。神に届くのは祈りの技術ではなく、主人の行いそのものだ、という含意である。景公はまだその意図がつかめず、なぜそんな話をするのかと問い返す。晏子の本論は次の句で展開される。業績が振るわないとき、担当部署を処分すれば外への説明は立つかもしれない。しかし報告する者が語れるのは、トップのしてきたことだけである。

この章句が説くこと

責任転嫁諫言誠実祭祀徳

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