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春秋左氏伝 / 宣公十七年 過ちて改めず

夏,會于斷道,討貳也。盟于卷楚,辭齊人。晉人執晏弱于野王,執蔡朝于原,執南郭偃于溫。苗賁皇使,見晏桓子,歸言於晉侯曰:「夫晏子何罪?昔者諸侯事吾先君,皆如不逮,舉言群臣不信,諸侯皆有貳志。齊君恐不得禮,故不出,而使四子來。左右或沮之曰:『君不出,必執吾使。』故高子及斂盂而逃。夫三子者曰:『若絕君好,寧歸死焉。』為是犯難而來。吾若善逆彼,以懷來者,吾又執之,以信齊沮,吾不既過矣乎?過而不改,而又久之,以成其悔,何利之有焉?使反者得辭,而害來者,以懼諸侯,將焉用之?」晉人緩之,逸。

新字:夏,会于断道,討貳也。盟于巻楚,辞斉人。晋人執晏弱于野王,執蔡朝于原,執南郭偃于温。苗賁皇使,見晏桓子,帰言於晋侯曰:「夫晏子何罪?昔者諸侯事吾先君,皆如不逮,舉言群臣不信,諸侯皆有貳志。斉君恐不得礼,故不出,而使四子来。左右或沮之曰:『君不出,必執吾使。』故高子及斂盂而逃。夫三子者曰:『若絶君好,寧帰死焉。』為是犯難而来。吾若善逆彼,以懐来者,吾又執之,以信斉沮,吾不既過矣乎?過而不改,而又久之,以成其悔,何利之有焉?使反者得辞,而害来者,以懼諸侯,将焉用之?」晋人緩之,逸。

書き下し

夏、斷道に會す、貳けるを討ずるなり。卷楚に盟ひ、齊人を辭す。晉人晏弱を野王に執へ、蔡朝を原に執へ、南郭偃を溫に執ふ。苗賁皇使ひして、晏桓子に見え、歸りて晉侯に言ひて曰く、「夫れ晏子何の罪かある。昔者諸侯吾が先君に事ふるや、皆逮ばざるが如くす。舉げて群臣信ならずと言ひ、諸侯皆貳志有り。齊君禮を得ざらんことを恐る、故に出でずして、四子をして來らしむ。左右或いは之を沮みて曰く、『君出でずんば、必ず吾が使を執へん』と。故に高子斂盂に及びて逃る。夫の三子の者曰く、『若し君の好を絕たば、寧ろ歸りて死せん』と。是が為に難を犯して來る。吾若し善く彼を逆へて、以て來る者を懷けんとすべきに、吾又之を執ふ、以て齊の沮を信にす。吾既に過てるにあらずや。過ちて改めず、而して又之を久しくし、以て其の悔を成す、何の利か之れ有らん。反る者をして辭を得しめて、來る者を害し、以て諸侯を懼れしむ、將に焉くにか之を用ゐん」と。晉人之を緩くす、逸す。

現代語訳

夏、晋・魯などの諸侯が断道で会合した。二心を抱く国を討つためである。巻楚で盟いを結び、斉の使者は盟いから締め出した。晋人は晏弱を野王で、蔡朝を原で、南郭偃を温で捕らえた。苗賁皇(楚から晋に亡命した大夫)は使いに出た先で晏桓子(晏弱)に会い、帰って晋侯(景公)に言った。「あの晏子に何の罪がありましょう。昔、諸侯がわが先君にお仕えしたときは、みな追いつけないのを恐れるかのように熱心でした。いまは誰もが晋の群臣には信義がないと言い、諸侯はみな二心を抱いております。斉の君はきちんとした礼遇を受けられないのではと恐れたので、自らは出てこずに四人を遣わしてきたのです。斉の側近の中には止めようとして、『君が出向かなければ、晋は必ずわれらの使者を捕らえるでしょう』と言った者もいました。だから高子(高固)は斂盂まで来て逃げ帰ったのです。しかし残る三人は、『もし君の友好を絶つくらいなら、むしろ行って死のう』と言い、そのために危険を冒してやって来たのです。われらは彼らを手厚く迎えて、来る者を懐かせるべきでした。それなのに捕らえてしまい、斉で止めようとした者たちの言葉を正しかったと証明してしまいました。われらはすでに誤ったのではありませんか。過ちを犯して改めず、さらにそれを長引かせて、相手の後悔を決定的なものにする。何の利益がありましょう。逃げ帰った者には言い訳を与え、やって来た者には害を加え、それによって諸侯を怖がらせる。それが何の役に立ちましょう」。晋人は監視を緩め、晏弱らは逃げ去った。

解説

前の句で郤克が斉に辱められた余波である。晋は断道で諸侯を集め、斉が送った使者三人を捕らえた。これを諫めたのが、楚から亡命してきた苗賁皇である。斉では、晋に行けば使者が捕まると止める声があり、高固はそれを信じて逃げ帰った。それでも残る三人は、君の友好を絶つくらいならと危険を冒して来た。そういう者を捕らえれば、止めた者の言い分が正しかったことを晋自身が証明してしまう。苗賁皇はさらに「過ちて改めず、而して又之を久しくし、以て其の悔を成す」と重ねる。誤りを改めずに長引かせれば、相手の後悔は取り返しのつかないものになる。晋は正面から釈放はせず、監視を緩めて逃がすという形で誤りを修正した。約束を守って来た者を罰すれば、次に来る者はいなくなる。信頼を寄せてくる相手をどう扱うかは、その場かぎりの問題ではなく、周りへの合図になるということが示されている。

この章句が説くこと

過ちを改める信頼外交見せしめ修正

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