春秋左氏伝 / 桓公二年 名は以て義を制す
秋七月,杞侯來朝,不敬,杞侯歸,乃謀伐之。蔡侯、鄭伯會于鄧,始懼楚也。九月,入杞,討不敬也。公及戎盟于唐,修舊好也。冬,公至自唐,告于廟也。凡公行,告于宗廟;反行,飲至、舍爵,策勳焉,禮也。特相會,往來稱地,讓事也。自參以上,則往稱地,來稱會,成事也。初,晉穆侯之夫人姜氏,以條之役生太子,命之曰仇。其弟以千畝之戰生,命之曰成師。師服曰:「異哉,君之名子也!夫名以制義,義以出禮,禮以體政,政以正民。是以政成而民聽,易則生亂。嘉耦曰妃,怨耦曰仇,古之命也。今君命大子曰仇,弟曰成師,始兆亂矣,兄其替乎?」
新字:秋七月,杞侯来朝,不敬,杞侯帰,乃謀伐之。蔡侯、鄭伯会于鄧,始懼楚也。九月,入杞,討不敬也。公及戎盟于唐,修旧好也。冬,公至自唐,告于廟也。凡公行,告于宗廟;反行,飲至、舎爵,策勲焉,礼也。特相会,往来称地,譲事也。自参以上,則往称地,来称会,成事也。初,晋穆侯之夫人姜氏,以条之役生太子,命之曰仇。其弟以千畝之戦生,命之曰成師。師服曰:「異哉,君之名子也!夫名以制義,義以出礼,礼以体政,政以正民。是以政成而民聴,易則生乱。嘉耦曰妃,怨耦曰仇,古之命也。今君命大子曰仇,弟曰成師,始兆乱矣,兄其替乎?」
書き下し
秋七月、杞侯來朝す、敬せず。杞侯歸る、乃ち之を伐たんことを謀る。蔡侯・鄭伯鄧に會す、始めて楚を懼るるなり。九月、杞に入る、不敬を討つなり。公戎と唐に盟ふ、舊好を修むるなり。冬、公唐より至る、廟に告ぐるなり。凡そ公行けば、宗廟に告ぐ。行より反れば、飲至し、舍爵し、勳を策す、禮なり。特に相會すれば、往來ともに地を稱す、事を讓るなり。參より以上なれば、則ち往くには地を稱し、來るには會を稱す、事を成すなり。初め、晉の穆侯の夫人姜氏、條の役を以って太子を生む。之に命じて仇と曰ふ。其の弟千畝の戰を以って生まる。之に命じて成師と曰ふ。師服曰く、「異なるかな、君の子に名づくるや。夫れ名は以って義を制し、義は以って禮を出だし、禮は以って政を體し、政は以って民を正す。是を以って政成りて民聽く。易ふれば則ち亂を生ず。嘉耦を妃と曰ひ、怨耦を仇と曰ふ、古の命なり。今君大子に命じて仇と曰ひ、弟を成師と曰ふ。始めて亂を兆せり。兄其れ替れんか」と。
現代語訳
秋七月、杞侯が魯に朝見に来たが、態度が恭しくなかった。杞侯が帰ると、魯はさっそく杞を討つことを謀った。蔡侯と鄭伯が鄧で会見した。はじめて楚を恐れるようになったのである。九月、魯は杞に攻め入った。不敬を罰したのである。桓公は戎と唐で盟約した。昔からの友好を修めたのである。冬、「公唐より至る」と記すのは、帰還を宗廟に報告したからである。およそ君主が出かけるときは宗廟に報告し、戻れば宗廟で酒宴を開き、杯を置いて労をねぎらい、功績を簡策に記す。これが礼である。二国の君だけで会う場合は、行きも帰りも会見の地名を記す。どちらが主催者かを譲り合っているからである。三国以上であれば、行くときは地名を記し、帰ったときは「会」と記す。会合として事が成ったからである。以前、晋の穆侯の夫人姜氏は、条の戦役の年に太子を生み、仇と名づけた。その弟は千畝の戦いの年に生まれ、成師と名づけた。師服(晋の大夫)は言った。「おかしなことだ、君の子の名づけ方は。そもそも名は義を定めるもの、義は礼を生み出すもの、礼は政治を形づくるもの、政治は民を正すものである。だから政治がうまくいけば民は従う。これを取り違えれば乱が生じる。よい連れ合いを妃といい、憎み合う相手を仇というのが、古くからの名づけ方である。いま君は太子を仇と名づけ、弟を成師(軍を成す)と名づけた。これで乱の兆しが始まった。兄はやがて衰えるのではないか」。
解説
この章句が説くこと
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論語・八佾篇子曰く、『夏の礼、吾能く之を言う。杞は徵すに足らず。殷の礼、吾能く之を言う。宋は徵すに足らず。文献足らざる故なり。足らば、則ち吾能く之を徵せん。』
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