春秋繁露 / 『春秋繁露』考功名第二十一・名ではなく実で賞罰を決める
考績之法、考其所積也。天道積聚眾精以為光;聖人積聚眾善以為功;故日月之明、非一精之光也;聖人致太平、非一善之功也。明所從生、不可為源、善所從出、不可為端、量勢立權、因事制義。故聖人之為天下興利也、其猶春氣之生草也、各因其生小大、而量其多少;其為天下除害也、若川瀆之寫於海也、各順其勢傾側、而制於南北;故異孔而同歸、殊施而鈞德、其趣於興利除害、一也。是以興利之要、在於致之、不在於多少;除害之要、在於去之、不在於南北。考績絀陟、計事除廢、有益者謂之公、無益者謂之煩、擥名責實、不得虛言、有功者賞、有罪者罰、功盛者賞顯、罪多者罰重、不能致功、雖有賢名、不予之賞、官職不廢、雖有愚名、不加之罰、賞罰用於實、不用於名、賢愚在於質、不在於文、故是非不能混、喜怒不能傾、姦軌不能弄、萬物各得其冥、則百官勸職、爭進其功。
新字:考績之法、考其所積也。天道積聚衆精以為光;聖人積聚衆善以為功;故日月之明、非一精之光也;聖人致太平、非一善之功也。明所従生、不可為源、善所従出、不可為端、量勢立権、因事制義。故聖人之為天下興利也、其猶春気之生草也、各因其生小大、而量其多少;其為天下除害也、若川瀆之写於海也、各順其勢傾側、而制於南北;故異孔而同帰、殊施而鈞徳、其趣於興利除害、一也。是以興利之要、在於致之、不在於多少;除害之要、在於去之、不在於南北。考績絀陟、計事除廃、有益者謂之公、無益者謂之煩、擥名責実、不得虚言、有功者賞、有罪者罰、功盛者賞顕、罪多者罰重、不能致功、雖有賢名、不予之賞、官職不廃、雖有愚名、不加之罰、賞罰用於実、不用於名、賢愚在於質、不在於文、故是非不能混、喜怒不能傾、姦軌不能弄、万物各得其冥、則百官勧職、争進其功。
書き下し
考績の法は、其の積む所を考うるなり。天道は衆精を積聚して以て光と為す。聖人は衆善を積聚して以て功と為す。故に日月の明は、一精の光に非ざるなり。聖人の太平を致すは、一善の功に非ざるなり。明の従り生ずる所は源と為すべからず。善の従り出ずる所は端と為すべからず。勢いを量りて権を立て、事に因りて義を制す。故に聖人の天下の為に利を興すや、其れ猶春気の草を生ずるがごとし。各々其の生の小大に因りて、其の多少を量る。其の天下の為に害を除くや、川瀆の海に写ぐがごとし。各々其の勢いの傾側に順いて、南北を制す。故に孔を異にして帰を同じくし、施しを殊にして徳を鈞しくす。其の利を興し害を除くに趣くは、一なり。是を以て利を興すの要は、之を致すに在りて、多少に在らず。害を除くの要は、之を去るに在りて、南北に在らず。績を考えて絀陟し、事を計りて廃を除く。益有る者之を公と謂い、益無き者之を煩と謂う。名を擥りて実を責め、虚言を得ず。功有る者は賞し、罪有る者は罰す。功盛んなる者は賞顕かに、罪多き者は罰重し。功を致すこと能わざれば、賢名有りと雖も、之に賞を予えず。官職廃せざれば、愚名有りと雖も、之に罰を加えず。賞罰は実に用い、名に用いず。賢愚は質に在りて、文に在らず。故に是非混ずること能わず、喜怒傾くこと能わず、姦軌弄すること能わず。万物各々其の冥を得て、則ち百官職を勧み、争いて其の功を進む。
現代語訳
人事考課の方法は、その人が積み重ねてきたものを見ることです。天の道は多くの精を積み集めて光とし、聖人は多くの善を積み集めて功績とします。だから日月の明るさは一つの精だけの光ではなく、聖人が太平をもたらすのも一つの善だけの功ではありません。明るさの生まれる所を一つの源に限ってはならず、善の出てくる所を一つの端に限ってはなりません。状況を量って権限を定め、事柄に応じて正しさを定めます。聖人が天下のために利益を興すのは、春の気が草を生やすようなものです。それぞれ草の大小に応じて、与える量を加減します。害を除くのは、川が海へ注ぐようなものです。それぞれ地形の傾きに従って、南北に流れを導きます。穴は違っても帰り着く先は同じ、施し方は違っても徳は等しく、利益を興し害を除くという向かう先は一つです。だから利益を興す要は成し遂げることにあって、多い少ないにはなく、害を除く要は取り去ることにあって、方向にはありません。成績を調べて降格や昇進を決め、仕事を計って廃止すべきを除きます。益のあるものを公といい、益のないものを煩といいます。名声と実績を照らし合わせて実を求め、空言は認めません。功績のある者は賞し、罪のある者は罰します。功績が大きい者は賞を目立つものにし、罪が多い者は罰を重くします。功績をあげられないなら、賢者との評判があっても賞を与えず、職務を怠っていないなら、愚か者との評判があっても罰を加えません。賞罰は実に基づいて行い、名には基づきません。賢いか愚かかは中身にあって、うわべにはありません。こうして是非は混同されず、喜怒の感情にも傾かず、不正な者も手出しできません。万事がそれぞれ適所を得れば、役人たちは職務に励み、争って功績を進めます。
解説

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