尚書 / 呂刑
伯父、伯兄、仲叔、季弟、幼子、童孫,皆聽朕言,庶有格命。今爾罔不由慰日勤,爾罔或戒不勤。天齊于民,俾我一日。非終惟終,在人。爾尚敬逆天命,以奉我一人。雖畏勿畏,雖休勿休;惟敬五刑,以成三德。
新字:伯父、伯兄、仲叔、季弟、幼子、童孫,皆聴朕言,庶有格命。今爾罔不由慰日勤,爾罔或戒不勤。天斉于民,俾我一日。非終惟終,在人。爾尚敬逆天命,以奉我一人。雖畏勿畏,雖休勿休;惟敬五刑,以成三徳。
書き下し
伯父・伯兄・仲叔・季弟・幼子・童孫、皆朕が言を聴け、庶はくは格命有らん。今爾日に勤むるを慰むるに由らざる罔し、爾或いは勤めざるを戒むる罔し。天は民を斉へんとし、我をして一日ならしむ。終へざると惟れ終ふるとは、人に在り。爾尚はくは敬みて天命を逆へ、以て我一人を奉ぜよ。畏るべしと雖も畏るる勿く、休しと雖も休とする勿かれ。惟れ五刑を敬み、以て三徳を成せ。
現代語訳
伯父・伯兄・仲叔・季弟・幼子・童孫(同姓の諸侯たち)よ、みな私の言葉を聴け。どうか天の至上の命にかなうように。いま汝らは日々勤めることで自らを慰めない者はない。汝らは勤めないことを戒められるようなことがあってはならない。天は民を整えようとして、我らに一時の機会を与えているにすぎない。天命を全うできないか全うできるかは、人にかかっている。汝らはどうか謹んで天命を迎え、それによって私一人を奉じよ。人が恐れるような刑であっても、それを恐れさせることを目的とせず、人がよいとするような赦しであっても、それをよいこととして誇ってはならない。ただ五刑を慎んで用い、それによって三徳(剛・柔・正直)を成し遂げよ。
解説
王は同姓の諸侯たちに呼びかけ、日々の勤めを怠らず、天命を謹んで迎えよと説く。天が我らに治めさせているのは一時のことであり、天命を全うできるかどうかは人の努めにかかっているという。そして「畏るべしと雖も畏るる勿く、休しと雖も休とする勿かれ」と、刑罰で人を恐れさせることも、赦しを誇ることも目的にしてはならず、ただ五刑を慎んで用いて剛・柔・正直の三徳を成せと命じる。刑罰の運用に感情や見栄を持ち込まず、あくまで公正を旨とせよという戒めである。処分を下すときに、自分の威厳を示したい気持ちや、寛大と思われたい気持ちが紛れ込んでいないか。人を裁く立場にある者の自省を促す言葉である。
関連する章句
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尚書・呂刑惟れ府辜功あらば、報ゆるに庶尤を以てせん。永く畏れよ惟れ罰を。天中ならざるに非ず、惟れ人命に在り。天罰極まらずんば、庶民令政の天下に在る有る罔し。」王曰く、「嗚呼(ああ)!嗣孫よ。今往何をか監みん。民の中を徳とするに非ずや。尚はくは明らかに之を聴けや。哲人惟れ刑し、無疆の辞あり、五極に属し、咸く中りて慶有り。王の嘉師を受けば、茲の祥刑に監みよ。」
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尚書・呂刑王曰く、「吁(ああ)!来たれ、有邦有土よ、爾に祥刑を告ぐ。今に在りて爾百姓を安んずるに、何をか択ぶ、人に非ずや。何をか敬む、刑に非ずや。何をか度る、及に非ずや。両造具備すれば、師五辞を聴く。五辞簡孚なれば、五刑に正す。五刑簡ならざれば、五罰に正す。五罰服せざれば、五過に正す。五過の疵は、惟れ官、惟れ反、惟れ内、惟れ貨、惟れ来なり。其の罪惟れ均し、其れ審らかに之を克くせよ。五刑の疑はしきは赦す有り、五罰の疑はしきは赦す有り、其れ審らかに之を克くせよ。簡孚衆有るも、惟れ貌に稽ふる有り。簡無ければ聴かず、具に天威を厳れよ。墨辟の疑はしきは赦し、其の罰百鍰、其の罪を閲実せよ。劓辟の疑はしきは赦し、其の罰惟れ倍、其の罪を閲実せよ。剕辟の疑はしきは赦し、其の罰倍差、其の罪を閲実せよ。宮辟の疑はしきは赦し、其の罰六百鍰、其の罪を閲実せよ。大辟の疑はしきは赦し、其の罰千鍰、其の罪を閲実せよ。墨罰の属千、劓罰の属千、剕罰の属五百、宮罰の属三百、大辟の罰、其の属二百。五刑の属三千。上下罪を比し、僭乱の辞無かれ。行はれざるを用ふる勿く、惟れ察し惟れ法とし、其れ審らかに之を克くせよ。上刑も適に軽ければ、下に服す。下刑も適に重ければ、上に服す。軽重の諸罰に権有り。
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尚書・呂刑惟れ斉しきも斉しからず、倫有り要有り。罰の懲らしむるは死に非ざるも、人は病に極まる。佞は獄を折むるに非ず、惟れ良は獄を折む。中に在らざる罔し。辞を差に察し、従はざるも惟れ従ふ。哀敬して獄を折め、明らかに刑書を啓きて胥占り、咸く中正に庶からしめよ。其の刑其の罰、其れ審らかに之を克くせよ。獄成りて孚あり、輸して孚あり。其の刑は上に備へ、両刑を并する有り。」王曰く、「嗚呼(ああ)!之を敬めや。官伯族姓よ、朕が言は懼るること多し。朕は刑を敬む、徳有るもの惟れ刑す。今天民を相け、配と作して下に在り、単辞を明清にせよ。民の乱るるは、獄の両辞を中聴せざるに罔し。或いは獄の両辞に私家すること無かれ。
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尚書・召誥今天其れ哲を命じ、吉凶を命じ、歴年を命ず。今我初めて服し、新邑に宅るを知る、肆に惟れ王其れ疾(すみや)かに徳を敬せよ。王其れ徳を之れ用ひて、天の永命を祈れ。其れ惟れ王小民の非彝を淫用するを以て、亦敢て殄戮すること勿かれ、用て民を乂めば、功有るが若し。其れ惟れ王位徳の元に在らば、小民乃ち惟れ刑(のっと)りて天下に用ひ、越に王顕らかならん。上下勤め卹(うれ)ひ、其れ曰へ、『我天命を受け、丕いに有夏の歴年の若く、式て有殷の歴年を替(す)つること勿からん』と。王の小民を以て天の永命を受けんことを欲す。」拝手稽首して曰く、「予小臣、敢て王の讎民・百君子と越に友民とを以て、王の威命明徳を保受せん。王末に成命有り、王も亦顕らかならん。我敢て勤むるに非ず、惟れ恭しく幣を奉じ、用て王の能く天の永命を祈るに供するのみ。」
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尚書・君陳曰く、『斯の謀、斯の猷は、惟れ我が后の徳なり』と。嗚呼(ああ)!臣人咸く時の若くならば、惟れ良にして顕らかなるかな。」王曰く、「君陳よ、爾惟れ周公の丕訓を弘め、勢に依りて威を作すこと無く、法に倚りて以て削ること無かれ。寛にして制有り、従容として以て和せよ。殷民の辟に在るもの、予辟せよと曰ふとも、爾惟れ辟すること勿かれ。予宥せと曰ふとも、爾惟れ宥すこと勿かれ。惟れ厥の中にせよ。汝の政に若はず、汝の訓に化せざる有らば、辟して以て辟を止むるならば、乃ち辟せよ。奸宄に狃(な)れ、常を敗り俗を乱すものは、三つの細なるも宥さざれ。
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尚書・呂刑惟れ呂の命。王国を享くること百年、耄いて、荒いに度りて刑を作り、以て四方を詰す。王曰く、「古の訓有るが若し、蚩尤惟れ始めて乱を作し、平民に延及し、寇賊せざる罔く、鴟義姦宄、奪攘矯虔す。苗民は霊を用ひず、制するに刑を以てし、惟れ五虐の刑を作りて法と曰ひ、無辜を殺戮す。爰に始めて淫りに劓・刵・椓・黥を為し、越に茲れ刑に麗るもの并せて制し、辞有るを差ぶ罔し。民興りて胥漸(ひた)り、泯泯棼棼として、信に中る罔く、以て詛盟を覆す。虐威の庶戮、方く無辜を上に告ぐ。上帝民を監るに、馨香の徳有る罔く、刑の発して聞こゆるは惟れ腥し。皇帝庶戮の不辜を哀矜し、虐に報ゆるに威を以てし、苗民を遏絶し、世々下に在ること無からしむ。乃ち重・黎に命じて、地天の通ずるを絶ち、降格有る罔からしむ。群后の逮びて下に在るもの、明明として常を棐け、鰥寡蓋はるること無し。帝清く下民に問ふに、苗に辞有り。徳の威は惟れ畏れ、徳の明は惟れ明らかなり。乃ち三后に命じて、功を民に恤ましむ。伯夷は典を降し、民を折むるに惟れ刑を以てす。禹は水土を平らげ、山川に主名す。稷は播種を降し、農は嘉穀を殖す。三后功を成し、惟れ民を殷んにす。士は百姓を刑の中に制し、以て祗徳を教ふ。穆穆として上に在り、明明として下に在り、四方に灼き、徳に之れ勤めざる罔し。故に乃ち刑の中に明らかにし、民を率ゐ乂めて彝を棐く。典獄は威に訖るに非ず、惟れ富に訖るにも非ず。敬忌して、択言の身に在る有る罔し。惟れ克く天徳ありて、自ら元命を作し、配して下に享く。」王曰く、「嗟(ああ)!四方の司政典獄よ。爾惟れ天牧と作るに非ずや。今爾何をか監みる、時の伯夷の刑を播くの迪に非ずや。其れ今爾何をか懲らす。惟れ時の苗民、獄の麗を察せず、吉人を択びて五刑の中を観る罔く、惟れ時の庶威貨を奪ひ、五刑を断制し、以て無辜を乱す。上帝蠲さず、咎を苗に降す。苗民罰に辞無く、乃ち厥の世を絶つ。」王曰く、「嗚呼(ああ)!之を念へや。
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