呂氏春秋 / 論威③
凡軍欲其眾也,心欲其一也,三軍一心則令可使無敵矣。令能無敵者,其兵之於天下也亦無敵矣。古之至兵,民之重令也。重乎天下,貴乎天子。其藏於民心,捷於肌膚也,深痛執固,不可搖蕩,物莫之能動。若此則敵胡足勝矣?故曰其令(疆)〔彊〕者其敵弱,其令信者其敵詘。先勝之於此,則必勝之於彼矣。
新字:凡軍欲其眾也,心欲其一也,三軍一心則令可使無敵矣。令能無敵者,其兵之於天下也亦無敵矣。古之至兵,民之重令也。重乎天下,貴乎天子。其蔵於民心,捷於肌膚也,深痛執固,不可揺蕩,物莫之能動。若此則敵胡足勝矣?故曰其令(疆)〔彊〕者其敵弱,其令信者其敵詘。先勝之於此,則必勝之於彼矣。
書き下し
凡そ軍は其の衆きを欲し、心は其の一なるを欲す。三軍心を一にすれば、則ち令、敵無からしむ可し。令能く敵無き者は、其の兵の天下に於けるや、亦た敵無し。古の至兵、民の令を重んずること、天下より重く、天子より貴し。其の民心に藏せられ、肌膚に捷するや、深痛執固にして、搖蕩す可からず、物の之を能く動かすもの莫し。此の若ければ則ち敵胡ぞ勝つに足らん。故に曰く、其の令彊き者は其の敵弱く、其の令信なる者は其の敵詘す、と。先づ之に此に勝てば、則ち必ず之に彼に勝つ。
現代語訳
およそ軍隊は数の多さを望み、心は一つであることを望む。全軍が心を一つにすれば、命令は無敵たらしめることができる。命令が無敵であれば、その軍は天下において無敵となる。古の最高の軍では、兵士が命令を重んじることが、天下より重く天子より貴かった。それが民の心に刻まれ、肌身に染み込めば、深く固く根づいて揺るがず、何ものも動かせない。こうであれば敵などどうして勝てようか。だから『命令が強い者は敵が弱く、命令が信頼される者は敵が屈服する』という。まずここで勝てば、必ずあちらでも勝つ。
解説
この段は、全軍が心を一にし命令が徹底されれば無敵になり、まず内で勝てば外にも勝てると説きます。兵の多さより心の統一を重んじ、命令が兵士の心身に深く根づいて揺るがない状態を最高の軍とします。命令の強さと信頼が、そのまま敵の弱さと屈服を生むとするのです。内部の規律と信頼が先にあってこそ外部での成果が出るというこの順序は、まず組織内の一体感と信頼を固めてから外の競争に臨む、現代の経営やチーム運営の要諦にも通じます。
この章句が説くこと
令一心無敵規律信頼内なる勝利
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