尚書 / 五子之歌
其二曰:「訓有之,
書き下し
其の二に曰く、「訓に之有り、
現代語訳
その第二の歌に言う。「祖先の教えにこうある。
解説
五子之歌の第二の歌の書き出しである。この後に「内に色荒を作し、外に禽荒を作し、酒を甘み音を嗜み、宇を峻くし牆を彫る。此に一有らば、未だ亡びざる或らず」と続き、女色・狩猟・酒・音楽・豪壮な宮殿という五つの溺れやすいものを挙げ、そのうち一つでも耽れば国は必ず滅びると戒める。ここで弟たちが「訓に之有り」と、自分の意見ではなく祖先の教えとして語り出しているのは、兄である王を諫めるために、個人の非難ではなく共有された規範に拠ろうとしたからである。言いにくいことを伝えるとき、自分の感情ではなく、皆が認める原則や約束に立ち返って語ると、相手も受け入れやすくなる。本篇は東晋期に伝わった古文尚書に属し、後世の編纂とみる説が有力である。
関連する章句
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尚書・五子之歌内には色荒(しきこう)を作(な)し、外には禽荒(きんこう)を作す。酒を甘(うま)しとし音を嗜(たしな)み、宇(いえ)を峻(たか)くし牆(かき)を彫(ほ)る。此(これ)に一つも有れば、未(いま)だ嘗(かつ)て亡びざるはあらず。
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尚書・五子之歌太康、位に尸(し)して逸豫(いつよ)を以て厥(そ)の徳を滅ぼし、黎民咸(みな)弐(ふたごころ)あり。乃ち盤遊すること度無く、有洛の表に畋(かり)して、十旬反(かへ)らず。有窮の后羿(こうげい)、民の忍びざるに因りて、河に距(ふせ)ぐ。厥の弟五人、其の母を御して以て従ひ、洛の汭(ぜい)に徯(ま)つ。五子咸怨み、大禹の戒めを述べて以て歌を作る。其の一に曰く、「皇祖訓有り。
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尚書・五子之歌其の三に曰く、「惟れ彼の陶唐、此の冀方を有(たも)つ。今厥(そ)の道を失ひ、其の紀綱を乱り、乃ち滅亡を厎(いた)す」と。其の四に曰く、「明明たる我が祖、万邦の君なり。典有り則有り、厥の子孫に貽(のこ)す。関石和鈞(くわんせきくわきん)、王府には則ち有り。厥の緒を荒墜(くわうつゐ)し、宗を覆し祀を絶つ」と。其の五に曰く、「嗚呼(ああ)曷(いづく)にか帰せん。予が懐(おも)ひの悲しき。万姓予を仇とす、予将(はた)疇(たれ)にか依らん。鬱陶(うつたう)たり予が心、顔厚くして忸怩(ぢくぢ)たる有り。
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尚書・五子之歌厥(そ)の徳を慎まざれば、悔ゆと雖(いえど)も追(お)う可(べ)けんや。
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尚書・五子之歌予天下を視るに、愚夫愚婦も、一(いつ)に能く予に勝つ。一人三たび失へば、怨み豈に明らかなるに在らんや。見えざるに是れ図れ。
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尚書・五子之歌予、兆民に臨むこと、懍乎(りんこ)として朽索(きゅうさく)の六馬を馭(ぎょ)するが若(ごと)し。人の上と為る者、柰何(いかん)ぞ敬せざらんや。
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