尚書 / 五子之歌
內作色荒,外作禽荒。甘酒嗜音,峻宇彫牆;有一于此,未或不亡
書き下し
内には色荒(しきこう)を作(な)し、外には禽荒(きんこう)を作す。酒を甘(うま)しとし音を嗜(たしな)み、宇(いえ)を峻(たか)くし牆(かき)を彫(ほ)る。此(これ)に一つも有れば、未(いま)だ嘗(かつ)て亡びざるはあらず。
現代語訳
内では女色に溺れ、外では狩猟に溺れる。酒を美味とし音楽に耽り、屋敷を高くそびえさせ塀に彫刻を施す。これらのうち一つでも身にあれば、滅びなかった例はない。
解説
女色・遊興・酒・音楽・贅沢な住まいという六つの耽溺を並べ、そのどれか一つでもあれば必ず身を滅ぼすと断じる厳しい句である。大きな快楽である必要はなく、日々の小さな逃避や見栄の積み重ねが、気づかぬうちに生活や関係を蝕んでいくという指摘は今も生々しい。何かに没頭すること自体が悪いのではなく、それが他を犠牲にして際限なく広がることが危ういのだろう。自分が今、何に歯止めを失いかけているかを振り返る材料になる。なお、本篇は東晋期に伝わった古文尚書に属し、後世の編纂とみる説が有力である。
この章句が説くこと
六つの耽溺放蕩自制