尚書 / 皐陶謨
天敘有典,勑我五典五惇哉。天秩有禮,自我五禮五庸哉。同寅協恭和衷哉。天命有德,五服五章哉;天討有罪,五刑五用哉。政事懋哉懋哉。
新字:天敘有典,勑我五典五惇哉。天秩有礼,自我五礼五庸哉。同寅協恭和衷哉。天命有徳,五服五章哉;天討有罪,五刑五用哉。政事懋哉懋哉。
書き下し
天典有るを敘(つい)づ、我が五典を勑(ただ)して五つながら惇(あつ)くせんかな。天礼有るを秩(つい)づ、我が五礼に自(よ)りて五つながら庸(もち)ゐんかな。寅(つつしみ)を同じくし恭を協(あは)せ衷(ちゆう)を和せんかな。天徳有るに命ず、五服五章あらんかな。天罪有るを討つ、五刑五用あらんかな。政事懋(つと)めんかな懋めんかな。
現代語訳
天は人の世に常の道を秩序立てている。わが五つの人倫の道(父子・君臣・夫婦・長幼・朋友)を正して、五つともに厚くしよう。天は人の世に礼の序列を定めている。わが五つの礼に従って、五つともに用いよう。君臣がともにつつしみ、ともに恭しくして、心を和合させよう。天は徳ある者に命を下す。五等の礼服と五種の模様でそれを表彰しよう。天は罪ある者を討つ。五つの刑罰をそれぞれ適切に用いよう。政務に努めよう、努めよう。
解説
皐陶が、人の世の秩序はすべて天に根ざしていると説く一節である。人倫の道も、礼の序列も、徳ある者への褒賞も、罪ある者への刑罰も、人が勝手に作ったものではなく天が定めたものであり、君主はそれを正しく執り行う代行者にすぎないという考えが示される。この後に続く「天の聡明は我が民の聡明に自る」という句とあわせ、天の意志は民の意志を通して現れるとする思想の出発点とされる。「寅を同じくし恭を協せ衷を和す」は、君臣が同じ慎みと恭しさを持って心を一つにすることを求める言葉で、協調と和衷の語源の一つとなった。組織の規則や評価も、上の者の気分で決めるものではなく、全員が納得できる筋道に根ざしてこそ重みを持つ。
関連する章句
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尚書・皐陶謨天の聡明なるは、我が民より聡明にす。天の明畏なるは、我が民より明威にす。
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尚書・皐陶謨曰若(ここ)に古(いにしへ)の皐陶(かうえう)を稽(かんが)ふるに、曰く、「允(まこと)に厥(そ)の徳を迪(ふ)めば、謨(はかりごと)明らかに弼(たす)け諧(かな)ふ」と。禹曰く、「俞(しか)り、如何」と。皐陶曰く、「都(ああ)、厥の身を慎み、修めて永きを思ふ。九族を惇(あつ)く敘(つい)で、庶明(しよめい)励み翼(たす)くれば、邇(ちか)きより遠きに可なるは茲(ここ)に在り」と。禹昌言を拝して曰く、「俞り」と。皐陶曰く、「都、
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尚書・皐陶謨上下に達す。敬まんかな有土」と。皐陶曰く、「朕が言恵(したが)ひて厎(いた)し行ふべきか」と。禹曰く、「俞(しか)り、乃(なんぢ)の言、績を可(な)すを厎す」と。皐陶曰く、「予未だ知る有らず、思ひて曰に賛賛して襄(たす)けんかな」と。
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尚書・皐陶謨庶官(しょかん)を曠(むな)しゅうすること無かれ、天工(てんこう)は人(ひと)其(そ)れ之(これ)に代わる。
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