尚書 / 皐陶謨
彰厥有常,吉哉。日宣三德,夙夜浚明有家。日嚴祗敬六德,亮采有邦。翕受敷施九德,咸事俊乂在官,百僚、師師、百工。惟時撫于五辰,庶績其凝。無教逸欲有邦,
新字:彰厥有常,吉哉。日宣三徳,夙夜浚明有家。日厳祗敬六徳,亮采有邦。翕受敷施九徳,咸事俊乂在官,百僚、師師、百工。惟時撫于五辰,庶績其凝。無教逸欲有邦,
書き下し
厥の常有るを彰(あら)はさば、吉なるかな。日に三徳を宣ぶれば、夙夜浚明にして家を有(たも)つ。日に厳に祗みて六徳を敬すれば、采(こと)を亮(たす)けて邦を有つ。翕(あは)せ受けて九徳を敷き施せば、咸事へて俊乂官に在り、百僚師師として、百工なり。惟れ時五辰に撫(したが)へば、庶績其れ凝(な)る。逸欲を教へて邦を有つこと無かれ。
現代語訳
九つの徳を常に保っていることを明らかにして用いれば、吉である。毎日三つの徳を発揮していれば、朝から晩まで深く明らかにして、卿大夫として家を保つことができる。毎日おごそかにつつしんで六つの徳を敬い行えば、政務を助けて諸侯として国を保つことができる。九つの徳を兼ねそなえた人を集めて受け入れ、それを広く施せば、すぐれた人々がみな官職に就いて仕え、百官は互いに見習い合って、多くの役人がそれぞれの務めを果たす。四季の時節に従って政務を行えば、さまざまな事業はみな成し遂げられる。国を治める者が安逸と欲望を下の者に教えてはならない。
解説
皐陶が九徳の用い方を説く部分である。九徳のうち三つを日々発揮する者は家を保つ卿大夫に、六つをつつしんで行う者は国を保つ諸侯にふさわしく、九つをすべて集めて施すのが天子の務めだとする。徳の多寡に応じて任せる責任の大きさを変えるという、人材登用の段階的な考え方である。さらに、すぐれた人々が官にあって互いに見習い合えば、多くの役人がそれぞれの務めを果たすと述べる。末尾の「逸欲を教へて邦を有つこと無かれ」は、上に立つ者が安逸や欲望を下に見せれば、下もそれに倣うという戒めである。人を任用するときは、その人の徳の厚みに見合った責任を与え、良い手本が組織の中で連鎖するように配置することが大切である。
関連する章句
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史記 夏本紀皋陶曰く、「亦た行に九徳有り、亦た其の徳有るを言はん」と。乃ち言ひて曰く、「寛にして栗、柔にして立、願にして共、治にして敬、擾にして毅、直にして温、簡にして廉、剛にして実、彊にして義なり。其の常有るを章せば、吉なり。翕受普施し、九徳咸事へば、俊乂官に在り、百吏粛謹たり。其の人に非ずして其の官に居るは、是れ天事を乱すと謂ふ」と。
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尚書・皐陶謨能く哲にして恵ならば、何ぞ驩兜(くわんとう)を憂へん。何ぞ有苗を遷さん。何ぞ巧言令色孔壬(こうじん)を畏れん」と。皐陶曰く、「都(ああ)、亦行ひに九徳有り。亦其の人に徳有りと言ふには、乃ち言ひて曰く、載(こと)を采采(さいさい)すと」と。禹曰く、「何ぞや」と。皐陶曰く、
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尚書・皐陶謨寬(ひろ)くして栗(りつ)、柔(やわ)らかにして立ち、愿(げん)にして恭、亂(おさ)めて敬、擾(じゅう)にして毅(き)、直くして溫、簡にして廉、剛にして塞(そく)、彊(きょう)にして義。
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尚書・皐陶謨曰若(ここ)に古(いにしへ)の皐陶(かうえう)を稽(かんが)ふるに、曰く、「允(まこと)に厥(そ)の徳を迪(ふ)めば、謨(はかりごと)明らかに弼(たす)け諧(かな)ふ」と。禹曰く、「俞(しか)り、如何」と。皐陶曰く、「都(ああ)、厥の身を慎み、修めて永きを思ふ。九族を惇(あつ)く敘(つい)で、庶明(しよめい)励み翼(たす)くれば、邇(ちか)きより遠きに可なるは茲(ここ)に在り」と。禹昌言を拝して曰く、「俞り」と。皐陶曰く、「都、
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尚書・皐陶謨上下に達す。敬まんかな有土」と。皐陶曰く、「朕が言恵(したが)ひて厎(いた)し行ふべきか」と。禹曰く、「俞(しか)り、乃(なんぢ)の言、績を可(な)すを厎す」と。皐陶曰く、「予未だ知る有らず、思ひて曰に賛賛して襄(たす)けんかな」と。
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尚書・大禹謨水・火・金・木・土・穀、惟れ修まり、正徳・利用・厚生、惟れ和す。九功惟れ敘(つい)で、九敘惟れ歌ふ。之を戒むるに休(よろこび)を用ひ、之を董(ただ)すに威を用ひ、之を勧むるに九歌を以てし、壊(やぶ)ること勿(な)からしめよ」と。帝曰く、「俞(しか)り。地平らかに天成り、六府三事允(まこと)に治まり、万世永く頼る、時(こ)れ乃(なんぢ)の功なり」と。帝曰く、「格(きた)れ、汝禹。朕帝位に宅(を)ること三十有三載、耄期(ばうき)にして勤むるに倦む。汝惟れ怠らず、朕が師を総(す)べよ」と。禹曰く、「朕が徳克(よ)くせず、民依らず。皐陶は邁(つと)めて徳を種(し)き、徳乃ち降り、黎民之に懐(なつ)く。帝念へや。茲(これ)を念ふも茲に在り、茲を釈(す)つるも茲に在り、名言するも茲に在り、允に出だすも茲に在り。惟れ帝功を念へ」と。帝曰く、「皐陶よ、惟れ茲の臣庶、予が正を干(をか)すこと或る罔(な)し。汝士と作りて、五刑に明らかにし、以て五教を弼(たす)け、予が治に期す。
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