初学訓 / 巻之五
尤あはれむべし。すべて、人のため利あることをなして、害あることを除くべし。人の害になることを、心によく思ひて、假にも爲べからず。わが身を樂まんとて、人を苦むべからず。いにしへより、道なき人は、わが一人の心を樂まんとて、多くの人民を苦ましむ。これ大なる不仁なり。只、われひとり樂むべからず、民とともに樂むべし。人のうれへをうれへ、人の樂を樂むべし。
新字:尤あはれむべし。すべて、人のため利あることをなして、害あることを除くべし。人の害になることを、心によく思ひて、仮にも為べからず。わが身を楽まんとて、人を苦むべからず。いにしへより、道なき人は、わが一人の心を楽まんとて、多くの人民を苦ましむ。これ大なる不仁なり。只、われひとり楽むべからず、民とともに楽むべし。人のうれへをうれへ、人の楽を楽むべし。
書き下し
尤あはれむべし。すべて、人のため利あることをなして、害あることを除くべし。人の害になることを、心によく思ひて、仮にも為べからず。わが身を楽まんとて、人を苦むべからず。いにしへより、道なき人は、わが一人の心を楽まんとて、多くの人民を苦ましむ。これ大なる不仁なり。只、われひとり楽むべからず、民とともに楽むべし。人のうれへをうれへ、人の楽を楽むべし。
現代語訳
最も憐れむべきです。すべて人のために利のあることをして、害のあることを除くべきです。人の害になることは、心によく思って、かりにもしてはいけません。自分が楽しもうとして、人を苦しめてはいけません。昔から、道のない人は、自分一人の心を楽しませようとして、多くの人民を苦しめました。これは大きな不仁です。ただ自分一人で楽しんではならず、民とともに楽しむべきです。人の憂いを憂え、人の楽しみを楽しむべきです。
解説
この章句が説くこと
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『酔古堂剣掃』集法・成るを忌み敗るるを樂しむ人の得意の事有るを見れば、便ち當に忻喜の心を生ずべし。人の失意の事有るを見れば、便ち當に憐憫の心を生ずべし。皆自己の真實の受用の處なり。成るを忌み敗るるを樂しむは、徒らに自ら心術を壞るのみ。
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