導師導古典を学びたいすべての人に

初学訓 / 巻之五

尤あはれむべし。すべて、人のため利あることをなして、害あることを除くべし。人の害になることを、心によく思ひて、假にも爲べからず。わが身を樂まんとて、人を苦むべからず。いにしへより、道なき人は、わが一人の心を樂まんとて、多くの人民を苦ましむ。これ大なる不仁なり。只、われひとり樂むべからず、民とともに樂むべし。人のうれへをうれへ、人の樂を樂むべし。

新字:尤あはれむべし。すべて、人のため利あることをなして、害あることを除くべし。人の害になることを、心によく思ひて、仮にも為べからず。わが身を楽まんとて、人を苦むべからず。いにしへより、道なき人は、わが一人の心を楽まんとて、多くの人民を苦ましむ。これ大なる不仁なり。只、われひとり楽むべからず、民とともに楽むべし。人のうれへをうれへ、人の楽を楽むべし。

書き下し

尤あはれむべし。すべて、人のため利あることをなして、害あることを除くべし。人の害になることを、心によく思ひて、仮にも為べからず。わが身を楽まんとて、人を苦むべからず。いにしへより、道なき人は、わが一人の心を楽まんとて、多くの人民を苦ましむ。これ大なる不仁なり。只、われひとり楽むべからず、民とともに楽むべし。人のうれへをうれへ、人の楽を楽むべし。

現代語訳

最も憐れむべきです。すべて人のために利のあることをして、害のあることを除くべきです。人の害になることは、心によく思って、かりにもしてはいけません。自分が楽しもうとして、人を苦しめてはいけません。昔から、道のない人は、自分一人の心を楽しませようとして、多くの人民を苦しめました。これは大きな不仁です。ただ自分一人で楽しんではならず、民とともに楽しむべきです。人の憂いを憂え、人の楽しみを楽しむべきです。

解説

自分一人の楽しみのために人を苦しめるなという戒めと、民とともに楽しめという教えです。『孟子』梁恵王篇で孟子が王に説いた「民と楽しみを同じくす」「民の楽しみを楽しむ者は、民も亦其の楽しみを楽しむ」の考えに基づきます。人の憂いを自分の憂いとし、人の喜びを自分の喜びとすることが、仁の実践なのです。自分の楽しみが誰かの負担の上に成り立っていないかを考え、周りの人と喜びを分かち合う。それが益軒の説く楽しみ方です。

この章句が説くこと

与民同楽仁楽しみ孟子共感

関連する章句

古典の入門書『人生の教科書』の表紙

人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。

古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。

本の中身を見る
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)+師導1か月=700円 本を見る