初学訓 / 巻之五
かくの如くすれば、過すくなし。事を行ふに、いそがしく急なれば、かならず誤あり。程子も、事以急而敗者十常七八、といへり。待とは、急ならざる事は、詳にしていそがず、よく思案するをいふ。怠り忽にして、急なることをいそがず、時におくるゝは惡しし。
新字:かくの如くすれば、過すくなし。事を行ふに、いそがしく急なれば、かならず誤あり。程子も、事以急而敗者十常七八、といへり。待とは、急ならざる事は、詳にしていそがず、よく思案するをいふ。怠り忽にして、急なることをいそがず、時におくるゝは悪しし。
書き下し
かくの如くすれば、過すくなし。事を行ふに、いそがしく急なれば、かならず誤あり。程子も、事急なるを以て敗るる者十に常に七八、といへり。待とは、急ならざる事は、詳にしていそがず、よく思案するをいふ。怠り忽にして、急なることをいそがず、時におくるるは悪しし。
現代語訳
このようにすれば、過ちは少ない。事を行うのに、慌ただしく急げば、必ず誤りがあります。程子も「事を急いで失敗する者は、十に七、八はある」と言いました。待つとは、急がなくてよい事は詳しくして急がず、よく思案することをいいます。けれども、怠っておろそかにし、急ぐべき事を急がずに、時機に遅れるのは悪いことです。
解説
前の条の「待」の字の説明を締めくくります。急いで失敗する者は十に七、八という程子の言葉は、多くの人に思い当たるところがあるでしょう。ただし益軒は、待つことを怠けの言い訳にしてはならないと付け加えます。急ぐべき事を急がずに時機を逃すのは、それはそれで悪いのです。急がなくてよい事は落ち着いて、急ぐべき事は速やかに。その見極めこそが判断力です。仕事の優先順位をつけるときにも役立つ、実践的な知恵です。
この章句が説くこと
待つ急ぎ判断程子時機
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