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初学訓 / 巻之三

一學問は、只善を行ふ道なりと知りて、常に善心をおこし、日々に善行をなすべし。其上道理を以てわが身を責むべし、道理を以て人を責むべからず。古法にかゝはりて、人を責むべからず、古法になづみて、國法に背くべからず。

新字:一学問は、只善を行ふ道なりと知りて、常に善心をおこし、日々に善行をなすべし。其上道理を以てわが身を責むべし、道理を以て人を責むべからず。古法にかゝはりて、人を責むべからず、古法になづみて、国法に背くべからず。

書き下し

一学問は、只善を行ふ道なりと知りて、常に善心をおこし、日々に善行をなすべし。其上道理を以てわが身を責むべし、道理を以て人を責むべからず。古法にかかはりて、人を責むべからず、古法になづみて、国法に背くべからず。

現代語訳

学問とは、ただ善を行う道であると知って、常に善い心を起こし、日々善い行いをすべきです。そのうえ、道理をもって自分を責めるべきで、道理をもって人を責めてはいけません。古い法にこだわって人を責めてはならず、古い法になずんで国の法に背いてはいけません。

解説

巻之三の結びです。学んだ道理は自分を正すために使い、人を責める道具にしてはならないと戒めます。論語衛霊公篇の「躬自ら厚くして薄く人を責むれば、則ち怨に遠ざかる」に通じる考えです。また、古い書物の法にこだわって今の国法に背くなという言葉には、古典を尊びながらも現実の社会との調和を重んじた益軒の姿勢が表れています。知識を身につけると、人の誤りを指摘したくなるものです。けれども学びの成果は、まず自分の行いに向けるべきなのです。

この章句が説くこと

自省道理学問論語寛容

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