初学訓 / 巻之三
一わが善は大なりとも、かくして自褒むべからず。是身にほこらざるなり。人の善をば、小なりともあらはして褒むべし。是、人の善を助くるなり。わが過は文らずしてあらはし、早く改むべし。これわが身の益なり。人の過をばあらはすべからず。これ人を害せざるなり。愛の道なり、これ君子の心なり。
書き下し
一わが善は大なりとも、かくして自褒むべからず。是身にほこらざるなり。人の善をば、小なりともあらはして褒むべし。是、人の善を助くるなり。わが過は文らずしてあらはし、早く改むべし。これわが身の益なり。人の過をばあらはすべからず。これ人を害せざるなり。愛の道なり、これ君子の心なり。
現代語訳
自分の善は大きくても、隠して自らほめてはいけません。これが身に誇らないということです。人の善は、小さくてもあらわしてほめるべきです。これが人の善を助けることです。自分の過ちは飾らずにあらわし、早く改めるべきです。これは自分の身の益です。人の過ちはあらわしてはいけません。これは人を損なわないことです。愛の道であり、これが君子の心です。
解説
自分の善は隠し、人の善はあらわす。自分の過ちはあらわし、人の過ちは隠す。四つの対になった心得を簡潔に示した条です。論語子張篇に「小人の過つや必ず文る」とあるように、過ちを飾って隠すのは小人のすることです。自分には厳しく人には温かく、という姿勢は、上に立つ人ほど求められます。部下の小さな手柄を人前でほめ、自分の失敗は率直に認める上司のもとでは、人は安心して力を発揮できます。愛の道とはこういうことなのです。
この章句が説くこと
謙称賛改過愛君子
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