初学訓 / 巻之三
一善を行ふ道は、まづ、孝弟を本として、人倫を篤く行ふべし。力あらば、ひろく施し衆をすくひ、貧賤にして下にありとも、其身にしたがひて善を行ふべし。人倫をあつくして、次には、鳥獸蟲魚草木までも、憐み惠むべし。是善を行ふ次第なり。
新字:一善を行ふ道は、まづ、孝弟を本として、人倫を篤く行ふべし。力あらば、ひろく施し衆をすくひ、貧賤にして下にありとも、其身にしたがひて善を行ふべし。人倫をあつくして、次には、鳥獣虫魚草木までも、憐み恵むべし。是善を行ふ次第なり。
書き下し
一善を行ふ道は、まづ、孝弟を本として、人倫を篤く行ふべし。力あらば、ひろく施し衆をすくひ、貧賤にして下にありとも、其身にしたがひて善を行ふべし。人倫をあつくして、次には、鳥獣虫魚草木までも、憐み恵むべし。是善を行ふ次第なり。
現代語訳
善を行う道は、まず孝行と兄弟への敬愛を本として、人倫を厚く行うべきです。力があれば広く施して多くの人を救い、貧しく低い身分であっても、その身に応じて善を行うべきです。人々を厚くして、次には鳥・獣・虫・魚・草木までも憐れみ恵むべきです。これが善を行う順序です。
解説
善を行うにも順序があり、まず家族への孝と兄弟への敬愛から始めよと説く短い条です。論語学而篇に「孝弟なる者は其れ仁を為すの本か」とあるように、身近な人への誠が善のすべての出発点だという儒学の考えです。そして力のある者は広く施し、力のない者も身の丈に応じて善を行えばよいと言います。寄付やボランティアのような大きな善も大切ですが、まず家族や身近な人を大切にすることが土台です。できる範囲で、近くから遠くへ善を広げていけばよいのです。
この章句が説くこと
善孝弟順序施し仁
関連する章句
-
論語・雍也篇宰我問いて曰く、「仁者は之に告げて『井に仁有り』と曰うと雖も、其れ之に従わんか。」子曰く、「何為れぞ其れ然らんや。君子は逝かしむ可きも、陥る可からず。欺く可きも、罔う可からず。」
-
論語・八佾篇子曰く、人にして仁ならずんば、礼を如(いかん)せん;人にして仁ならずんば、楽を如せん。
-
論語・憲問篇「克・伐・怨・欲、行われずんば、以て仁と為す可きか。」子曰く、「以て難しと為す可し。仁は則ち吾知らざるなり。」
-
論語・里仁篇子曰わく、不仁者は久しく約に処るべからず、長く楽に処るべからず。仁者は仁に安んじ、知者は仁を利とす。
-
論語・里仁篇子曰わく、ただ仁者のみよく人を好み、よく人を悪む。
-
論語・微子篇微子これを去り、箕子これに為に奴となり、比干諫めて死す。孔子曰わく、殷に三仁有り。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る