初学訓 / 巻之二
一君過あらば、諫むべし。君の寵を失はんことをおそれて、わが身を愛し、私すべからず。君をいさむるに、君の惡をいひあらはし、言をはげしくして、怒り爭ふべからず。君の心の善なる所、明らかなる所に本づきて、それを譽めておしひろめ、惡しき所くらき所におし及ぼすべし。如斯すれば、其諫入りやすし。是、約をいるゝに、まどよりするの理なり。惡しき所くらき所よりは、諫入りがたし。故に、君をいさめ、親をいさむるには法あり。其法を學んで知るべし。
新字:一君過あらば、諫むべし。君の寵を失はんことをおそれて、わが身を愛し、私すべからず。君をいさむるに、君の悪をいひあらはし、言をはげしくして、怒り争ふべからず。君の心の善なる所、明らかなる所に本づきて、それを誉めておしひろめ、悪しき所くらき所におし及ぼすべし。如斯すれば、其諫入りやすし。是、約をいるゝに、まどよりするの理なり。悪しき所くらき所よりは、諫入りがたし。故に、君をいさめ、親をいさむるには法あり。其法を学んで知るべし。
書き下し
一君過あらば、諫むべし。君の寵を失はんことをおそれて、わが身を愛し、私すべからず。君をいさむるに、君の悪をいひあらはし、言をはげしくして、怒り争ふべからず。君の心の善なる所、明らかなる所に本づきて、それを誉めておしひろめ、悪しき所くらき所におし及ぼすべし。如斯すれば、其諫入りやすし。是、約をいるるに、まどよりするの理なり。悪しき所くらき所よりは、諫入りがたし。故に、君をいさめ、親をいさむるには法あり。其法を学んで知るべし。
現代語訳
主君に過ちがあれば諫めるべきです。主君の寵愛を失うことを恐れて自分の身をかばい、私心を持ってはいけません。主君を諫めるときは、主君の悪を言いあらわし、言葉を激しくして、怒り争ってはいけません。主君の心の善い所、明らかな所に基づいて、それをほめて押し広め、悪い所、暗い所に及ぼしていくべきです。このようにすれば、その諫めは入りやすい。これが『易経』にいう「約を納るるに牖よりす(窓から差し入れる)」の理です。悪い所、暗い所からでは、諫めは入りにくい。だから主君を諫め、親を諫めるには方法があります。その方法を学んで知るべきです。
解説
この章句が説くこと
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『不動智神妙録』諫言 其一 忠を尽くす忠を尽くすといふは、先づ我心を正くし身を治め、毛頭君に二心なく、人を恨み咎めず、日々に出仕怠らず、一家に於ては父母に能く孝を尽し、夫婦の間少しも猥になく、礼義正しく妾婦を愛せず、色の道を絶ち、父母の間おごそかに道を以てし、下を使ふに私のへだてなく、善人を用ゐ近付け、我足らざる所を諫め、御国の政を正敷し、不善人を遠ざくる様にするときは、善人は日々に進み、不善人もおのづから主人の善を好む所に化せられ、悪を去り善に遷るなり、
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