初学訓 / 巻之一
一易に、天地の大德を生といふといへり。生とは、天地の萬物を生じて、めぐみ給ふ理をいふ。さきにいへる、天地の御心是なり。天地に在りては、生といひ、人の心に在りては、仁といふ。天にあり人にありて、其名はかはれども、其理は一なり。
新字:一易に、天地の大徳を生といふといへり。生とは、天地の万物を生じて、めぐみ給ふ理をいふ。さきにいへる、天地の御心是なり。天地に在りては、生といひ、人の心に在りては、仁といふ。天にあり人にありて、其名はかはれども、其理は一なり。
書き下し
一易に、天地の大徳を生といふといへり。生とは、天地の万物を生じて、めぐみ給ふ理をいふ。さきにいへる、天地の御心是なり。天地に在りては、生といひ、人の心に在りては、仁といふ。天にあり人にありて、其名はかはれども、其理は一なり。
現代語訳
『易経』に「天地の大いなる徳を生という」とあります。生とは、天地が万物を生じて恵まれる理をいいます。先に述べた天地の御心がこれです。天地にあっては生といい、人の心にあっては仁といいます。天にあるか人にあるかでその名は変わりますが、その理は一つです。
解説
『易経』繋辞下伝の「天地の大徳を生と曰ふ」を引き、天地の生む働きと人の仁とは同じ理だと説く短い条です。宋代の儒者たちは、仁を「生き生きと物を生かす心」と理解し、たとえば脈が通わず手足が麻痺することを「不仁」と呼ぶ医学の言葉にも注目しました。医学にも通じた益軒には親しい考えでした。人を生かし育てる働きこそ仁だと考えると、子育てや部下の育成、介護や看護も、すべて天地の徳を人が行うことだといえます。
この章句が説くこと
生仁易経天地大徳
関連する章句
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論語・雍也篇宰我問いて曰く、「仁者は之に告げて『井に仁有り』と曰うと雖も、其れ之に従わんか。」子曰く、「何為れぞ其れ然らんや。君子は逝かしむ可きも、陥る可からず。欺く可きも、罔う可からず。」
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論語・憲問篇「克・伐・怨・欲、行われずんば、以て仁と為す可きか。」子曰く、「以て難しと為す可し。仁は則ち吾知らざるなり。」
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論語・微子篇微子これを去り、箕子これに為に奴となり、比干諫めて死す。孔子曰わく、殷に三仁有り。
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