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初学訓 / 巻之一

是、人倫をあつくするなり。次には、鳥獸蟲魚を愛し、次に、草木を愛す。人倫は、わが同類なり。天地のいとあつく憐み給ふ物なる故、我も亦、天地の御心に隨ひて、人倫をあつくあはれむべし。次に、鳥獸蟲魚草木も、皆天地の產み給へる物なれば、わが同類にはあらざれども、すでに、人倫を愛して後、是をあはれむも、亦天地の御惠にしたがひて、天地につかへ奉る道なり。すべて、かくの如く、人倫と萬物に情ふかきを、仁といふ。仁とは、人と物とをあはれみめぐむ善心をいへり。天地につかへ奉りて、人の道とする理は、仁の外には出でず。仁は、義禮智をかねて、其内にあり。

新字:是、人倫をあつくするなり。次には、鳥獣虫魚を愛し、次に、草木を愛す。人倫は、わが同類なり。天地のいとあつく憐み給ふ物なる故、我も亦、天地の御心に随ひて、人倫をあつくあはれむべし。次に、鳥獣虫魚草木も、皆天地の産み給へる物なれば、わが同類にはあらざれども、すでに、人倫を愛して後、是をあはれむも、亦天地の御恵にしたがひて、天地につかへ奉る道なり。すべて、かくの如く、人倫と万物に情ふかきを、仁といふ。仁とは、人と物とをあはれみめぐむ善心をいへり。天地につかへ奉りて、人の道とする理は、仁の外には出でず。仁は、義礼智をかねて、其内にあり。

書き下し

是、人倫をあつくするなり。次には、鳥獣虫魚を愛し、次に、草木を愛す。人倫は、わが同類なり。天地のいとあつく憐み給ふ物なる故、我も亦、天地の御心に随ひて、人倫をあつくあはれむべし。次に、鳥獣虫魚草木も、皆天地の産み給へる物なれば、わが同類にはあらざれども、すでに、人倫を愛して後、是をあはれむも、亦天地の御恵にしたがひて、天地につかへ奉る道なり。すべて、かくの如く、人倫と万物に情ふかきを、仁といふ。仁とは、人と物とをあはれみめぐむ善心をいへり。天地につかへ奉りて、人の道とする理は、仁の外には出でず。仁は、義礼智をかねて、其内にあり。

現代語訳

これが人倫を厚くすることです。次には鳥・獣・虫・魚を愛し、次に草木を愛します。人々は自分の同類です。天地がとても厚く憐れまれるものなので、自分もまた天地の御心に従って、人々を厚く憐れむべきです。次に、鳥獣虫魚や草木も、みな天地が生まれたものなので、自分の同類ではないけれども、まず人々を愛した後に、これを憐れむのも、また天地の恵みに従って天地に仕える道です。すべてこのように、人々と万物に情け深いことを仁といいます。仁とは、人と物とを憐れみ恵む善い心をいいます。天地に仕えて人の道とする理は、仁のほかには出ません。仁は義・礼・智を兼ねて、その内にあります。

解説

前の条に続き、仁の広がりを人から鳥獣、草木へとたどります。人は同類なので最も厚く、生き物や草木は同類ではないが天地の子として憐れむ、という段階の区別がはっきりしています。そして仁は義・礼・智を内に含む最も大きな徳だと結びます。朱子学で仁を「心の徳の全体」とする考え方です。現代の動物愛護や環境保護も、この延長で理解できます。ただし益軒は、人を大切にしない自然愛護を戒めています。順序を守った思いやりが大切なのです。

この章句が説くこと

仁万物自然人倫情け

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