新書 / 春秋
楚王欲淫鄒君,乃遺之技樂美女四人。穆公朝觀,而夕畢以妻死事之孤,故婦人年弗稱者弗蓄,節於身而弗衆也。王輿不衣皮帛,御馬不食禾菽,無淫僻之事,無驕燕之行,食不衆味,衣不雜采,自刻以廣民,親賢以定國,親民如子。鄒國之治,路不拾遺,臣下順從,若手之投心。是故以鄒子之細,魯衛不敢經,齊楚不能脅。鄒穆公死,鄒之百姓若失慈父,行哭三月,四境之鄰於鄒者,士民鄉方而道哭,抱手而憂行。酤家不讎其酒,屠者罷列而歸,傲童不謳歌,舂築者不相杵,婦女抉珠瑱,丈夫釋玦靬,琴瑟無音,朞年而後始復。故愛出者愛反,福往者福來。易曰:「鳴鶴在陰,其子和之。」其此之謂乎!故曰:「天子有道,守在四夷;諸侯有道,守在四鄰。」
新字:楚王欲淫鄒君,乃遺之技楽美女四人。穆公朝観,而夕畢以妻死事之孤,故婦人年弗称者弗蓄,節於身而弗衆也。王輿不衣皮帛,御馬不食禾菽,無淫僻之事,無驕燕之行,食不衆味,衣不雑采,自刻以広民,親賢以定国,親民如子。鄒国之治,路不拾遺,臣下順従,若手之投心。是故以鄒子之細,魯衛不敢経,斉楚不能脅。鄒穆公死,鄒之百姓若失慈父,行哭三月,四境之鄰於鄒者,士民郷方而道哭,抱手而憂行。酤家不讎其酒,屠者罷列而帰,傲童不謳歌,舂築者不相杵,婦女抉珠瑱,丈夫釈玦靬,琴瑟無音,朞年而後始復。故愛出者愛反,福往者福来。易曰:「鳴鶴在陰,其子和之。」其此之謂乎!故曰:「天子有道,守在四夷;諸侯有道,守在四鄰。」
書き下し
楚王鄒君を淫せんと欲し、乃ち之に技楽美女四人を遺る。穆公朝に観て、夕に畢く以て死事の孤に妻せ、故に婦人の年称わざる者は蓄えず、身を節して衆くせざるなり。王輿は皮帛を衣ず、御馬は禾菽を食わず、淫僻の事無く、驕燕の行無く、食に衆味せず、衣に雑采せず、自ら刻して以て民を広くし、賢を親しみて以て国を定め、民を親しむこと子の如し。鄒国の治まるや、路に遺を拾わず、臣下順従して、手の心に投ずるが若し。是の故に鄒子の細きを以てすら、魯衛は敢えて経らず、斉楚も脅かす能わず。鄒の穆公死するや、鄒の百姓は慈父を失うが若く、行きて哭すること三月、四境の鄒に隣する者、士民方に鄉いて道に哭し、手を抱きて憂い行く。酤家は其の酒を讎らず、屠者は列を罷めて帰り、傲童は謳歌せず、舂築する者は相杵せず、婦女は珠瑱を抉り、丈夫は玦靬を釈き、琴瑟に音無く、朞年にして後始めて復す。故に愛出づる者は愛反り、福往く者は福来る。易に曰く、「鳴鶴陰に在り、其の子之に和す」と。其れ此れの謂いか。故に曰く、「天子に道有れば、守は四夷に在り。諸侯に道有れば、守は四鄰に在り」と。
現代語訳
楚王は鄒の君主を堕落させようとして、技芸の楽人と美しい女性四人を贈りました。穆公は朝にそれを見て、夕方にはすべて、戦死した者の遺児に嫁がせてしまいました。そのため年に合わない女性は手元に置かず、自分の身を節して贅沢をしませんでした。王の車に毛皮や絹の飾りはなく、馬に穀物や豆を与えず、淫らな行いも、驕って宴に耽ることもなく、食事に品数を増やさず、衣に色を交えず、自分を削って民を豊かにし、賢者を親しんで国を安定させ、民を子のように愛しました。鄒の国が治まると、道に落とし物を拾う者はなく、臣下は従い、手が心に応じるようでした。そのため鄒のように小さな国でも、魯や衛は侵入せず、斉や楚も脅せませんでした。穆公が死ぬと、鄒の民は慈父を失ったかのようで、歩きながら三か月も泣きました。鄒に隣する四方の境でも、士や民がその方角に向かって道で泣き、手を組んで憂いながら歩きました。酒屋は酒を売らず、肉屋は店を閉じて帰り、いたずらな子供は歌わず、杵つきの人たちは調子を合わせず、女性は耳飾りの珠を外し、男性は腰の玉を外し、琴や瑟に音がなく、一年たってやっと元に戻りました。だから愛を出す者には愛が返り、福を送る者には福が来ます。『易』にこうあります。「鳴く鶴が陰にいれば、その子がそれに和する」と。これのことでしょう。だから、「天子に道があれば、守りは四方の異民族にある。諸侯に道があれば、守りは四方の隣国にある」といいます。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『新書』春秋鄒の穆公に令有り、鳧鴈を食わす者は必ず粃を以てし、敢えて粟を以てする毋かれ。是に於いて倉に粃毋く、民に易えんことを求むるに、二石の粟にして一石の粃なり。吏以て請いて曰く、「粃を以て鴈を食わすは、費無きが為なり。今粃を民に求め、二石の粟にして一石の粃に易う。粃を以て鴈を食わせば、則ち費甚だし。請う粟を以て之を食わせん」と。公曰く、「去れ。而の知る所に非ず。夫れ百姓は牛を煦め耕し、背を曝して耘り、苦勤して敢えて墮らざるは、豈に鳥獣の為ならんや。粟米は人の上食なり。奈何ぞ其れ以て鳥を養わんや。且つ汝は小計を知りて大会を知らず。周の諺に『囊漏るるも中に貯う』と曰う、而るに独り聞かざるか。夫れ君は民の父母なり。倉の粟を取り、之を移して民に与うるは、此れ吾が粟に非ずや。鳥苟くも鄒の粃を食らわば、鄒の粟を害せざるのみ。粟の倉に在ると其の民に在るとは、吾に於いて何をか択ばん」と。鄒の民之を聞き、皆な其の私積の公家と一体たるを知る。
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『新書』春秋衛の懿公は鶴を喜び、鶴に飾るに文繡を以てする者有り。賦斂繁多にして其の民を顧みず、優を貴びて大臣を軽んず。群臣或いは諫むれば、則ち面して之を叱る。翟の衛を伐つに及び、寇城堞を挟むに、衛君涙を垂れて其の臣民に拝して曰く、「寇迫れり、士民其れ之を勉めよ」と。士民曰く、「君亦た君の貴ぶ優をして、君の愛する鶴を将いて、以て君が為に戦わしめよ。我が儕は棄てられし人なり、安んぞ能く守戦せん」と。乃ち門を潰して出で走る。翟寇遂に入り、衛君奔りて死し、遂に其の国を喪う。故に賢主は、草木禽獣を以て人民を妨害せず、忠正を進め邪偽を遠ざく。故に民は順い附きて臣下は用を為す。今人民を釈きて鳥獣を愛し、忠道を遠ざけて優笑を貴ぶは、反ること甚だし。人主の人主たるや、挙錯して僨れざるは、賢に杖ればなり。今其の主とする所に倍き、其の杖る所を棄つ。其の僨仆するや、亦た宜ならずや。語に曰く、「禍出づる者は禍反り、人を悪む者は人も亦た之を悪む」と。管子曰く、「其の野を行かずんば、其の馬に違わず」と。此れ其の馬に違う者なり。
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『新書』春秋故に曰く、妖を見て迎うるに徳を以てすれば、妖は反って福と為る。楚の懐王、心矜り人に高からんことを好み、無道にして伯王の号有らんと欲す。金を鋳て以て諸侯人君に象り、大国の王をして編して馬に先たしめ、梁王は御し、宋王は驂乗し、周召畢陳滕薛衛中山の君は、皆な象りて使い隨いて趨らしむ。諸侯之を聞き、以て宜しからずと為し、故に師を興して之を伐つ。楚王士民の用を為すの勧まざるを見、乃ち役を万人に徴し、且つ国人の墓を掘らんとす。国人之を聞きて振動し、昼は旅し夜は乱る。斉人之を襲い、楚師乃ち潰ゆ。懐王逃れて秦に適き、克尹之を西河に殺し、天下の笑いと為る。此れ矜るを好み譲らざるの罪なり。亦た羞ならずや。
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『新序』刺奢第六鄒の穆公令有り、鳧鴈を食わすに必ず粃を以てし、粟を以てするを得る無し。是に於いて倉に粃無くして民に易うるを求む。二石の粟にして一石の粃を得たり。吏以て費と爲し、粟を以て之を食わさんことを請う。穆公曰く、去れ、汝の知る所に非ざるなり。夫れ百姓は牛を飽かして耕し、背を暴して耘り、勤めて惰らざるは、豈に鳥獸の爲ならんや。粟米は、人の上食なり。奈何ぞ其れ以て鳥を養わん。且つ爾は小計を知りて、大會を知らず。周の諺に曰く、囊漏れて中に貯う、と。而るに獨り聞かざるか。夫れ君なる者は、民の父母なり。倉の粟を取りて、之を民に移す。此れ吾が粟に非ずや。鳥苟くも鄒の粃を食らわば、鄒の粟を害せざるなり。粟の倉に在ると民に在ると、我に於いて何をか擇ばん、と。鄒民之を聞き、皆な私積と公家と一體爲るを知る。此れ之を富邦を知ると謂う。
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