新書 / 匈奴
凡賞於國,此不可以均。賞均則國窾,而賞薄不足以動人。故善賞者,踔之,駮轢之,從而時厚之。令視之足見也,誦之足語也,乃可傾一國之心。陛下幸聽臣之計,則國有餘財。匈奴之來者,家長已上固必衣繡,家少者必衣文錦,將爲銀車五乘,大雕畫之,駕四馬,載綠蓋,從數騎,御驂乘,且雖單于之出入也,不輕都此矣。令匈奴降者,時時得此而賜之耳。一國聞之者、見之者,希心而相告,人人冀幸,以爲吾至亦可以得此,將以壞其目,一餌。匈奴之使至者,若大人降者也,大衆之所聚也,上必有所召,賜食焉。飯物故四五盛,美胾膹炙,肉具醯醢,方數尺於前,令一人坐此,胡人欲觀者,固百數在旁。得賜者之喜也,且笑且飯,味皆所嗜而所未嘗得也。令來者時時得此而饗之耳。
新字:凡賞於国,此不可以均。賞均則国窾,而賞薄不足以動人。故善賞者,踔之,駮轢之,従而時厚之。令視之足見也,誦之足語也,乃可傾一国之心。陛下幸聴臣之計,則国有余財。匈奴之来者,家長已上固必衣繍,家少者必衣文錦,将為銀車五乗,大雕画之,駕四馬,載緑蓋,従数騎,御驂乗,且雖単于之出入也,不軽都此矣。令匈奴降者,時時得此而賜之耳。一国聞之者、見之者,希心而相告,人人冀幸,以為吾至亦可以得此,将以壊其目,一餌。匈奴之使至者,若大人降者也,大衆之所聚也,上必有所召,賜食焉。飯物故四五盛,美胾膹炙,肉具醯醢,方数尺於前,令一人坐此,胡人欲観者,固百数在旁。得賜者之喜也,且笑且飯,味皆所嗜而所未嘗得也。令来者時時得此而饗之耳。
書き下し
凡そ国に賞するは、此れ均しくす可からず。賞均しければ則ち国窾しく、賞薄ければ以て人を動かすに足らず。故に善く賞する者は、之を踔し、之を駮轢し、従いて時に之を厚くす。之を視れば見るに足り、之を誦すれば語るに足らしめ、乃ち一国の心を傾く可し。陛下幸いに臣の計を聴かば、則ち国に余財有り。匈奴の来たる者は、家長已上は固より必ず繍を衣、家少き者は必ず文錦を衣、将に銀車五乗を為り、大いに之に雕画し、四馬を駕し、緑蓋を載せ、数騎に従え、驂乗を御せしめ、且つ単于の出入すと雖も、軽がるしく此に都せず。匈奴の降る者をして、時時此を得て之に賜うのみ。一国の聞く者、見る者、心を希いて相告げ、人人冀幸して、吾至らば亦た此を得可しと以為い、将に以て其の目を壊らんとす、一餌なり。匈奴の使いの至る者は、大人の降る者の若く、大衆の聚まる所なり、上必ず召す所有り、食を賜う。飯物は故に四五盛、美なる胾、膹炙、肉具、醯醢、方数尺前に、一人をして此に坐せしむ、胡人の観んと欲する者、固より百数旁に在り。賜わる者の喜ぶや、且つ笑い且つ飯らい、味皆な嗜む所にして未だ嘗て得ざる所なり。来たる者をして時時此を得て之を饗するのみ。
現代語訳
一般に国が恩賞を与えるとき、それを均等にしてはいけません。均等にすれば国の財が空になり、薄ければ人を動かすのに足りません。だから上手に賞する者は、あるものを際立たせ、あるものを次々と重ね、そのうえで折々に厚くします。見ればよく見えるほど、語ればよく語れるほどにして、はじめて一国の心を傾けることができるのです。陛下がもし私の計をお聞き入れくださるなら、国に余りの財が生まれるでしょう。匈奴から来た者のうち、家長以上の者には必ず刺繍の衣を着せ、年少の者には必ず模様のある錦を着せ、銀の車五乗を作って大いに彫り飾り、四頭の馬に牽かせ、緑の傘を載せ、数騎を従え、同乗の御者を付けるようにします。単于でさえ出入りの際に、軽々しくこれほどは整えないでしょう。降った匈奴の者に、折々これらを得させて賜うのです。一国の聞いた者、見た者は、心を寄せて語り合い、人々が願い、自分が来ればこれを得られると思い、これで彼らの目を駄目にします。これが一つ目の餌です。匈奴の使者が来たときには、降った大人のようにもてなします。大勢が集まる場で、上は必ず召して食事を賜います。食べ物は四、五品を盛り、上等な肉、焼き肉、肉料理、塩漬けの肉などを、数尺の広さの前に並べ、一人をそこに座らせます。見たがる胡人は、もちろん百人ほどが傍らにいます。賜わる者の喜びは、笑いながら食べ、味はどれも好きで、まだ口にしたことのないものです。来た者に折々これを得させてもてなすのです。
解説
この章句が説くこと
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『智囊』見大・唐高祖李淵、霍邑に克つ。行賞の時、軍吏は奴の募に応ずるものを擬して、良人と同じくするを得ずとす。淵曰く、「矢石の間は、貴賤を弁ぜず。論勲の際に、何ぞ等差有らん。宜しく並びに本勲に従いて授くべし」と。霍邑の吏民を引見し、西河に労賞し、その壮丁を選びて、軍に従わしむ。関中の軍士の帰らんと欲する者には、並びに五品の散官を授けて遣り帰す。或いは諫むるに官の太だ濫なるを以てす。淵曰く、「隋氏は勲賞を吝惜し、人心を失うを致す。奈何ぞこれに效わんや。且つ衆を収むるに官を以てするは、兵を用うるに勝らずや」と。
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『新書』匈奴一国の聞く者、見る者、涎を垂れて相告げ、人ごとに其の自る所を悇憛し、吾至らば亦た将に此を得んとすと以い、将に以て其の口を壊らんとす、一餌なり。降る者の傑なる、使者の至るが若きは、上必ず人をして客を召す所有らしむ。其の知識を召すを得しめ、胡人の観んと欲する者は禁ずる勿れ。婦人をして白を傅け墨を黒くし、繍衣して其の堂に侍る者二三十人ならしめ、或いは薄く或いは揜い、其の為に胡戯して以て相飯せしむ。上、楽府をして倡楽を幸い仮せしめ、簫鼓鞀を吹き、倒挈面者更ごも進み、舞う者蹈む者時に作り、少間にして鼓を撃ちて其の偶人を舞わしめ、莫の時乃ち戎楽を為し、手を携えて上客の後に胥彊し、婦人先後に扶侍する者固より十余人、使者、降る者をして時に或いは此を得て之を楽しましむるのみ。一国の聞く者、見る者、希盱して相告げ、人人忣忣として其の後れて来至するを恐る、将に此を以て其の耳を壊らんとす、一餌なり。凡そ降る者は、陛下の召幸する所、約致する所以の若し。陛下必ず時に富ます所有り、必ず此をして高堂邃宇、善き廚処、大囷京有らしめ、厩に編馬有り、庫に陣車有り、奴婢、諸嬰児、畜生具わらしむ。此をして時に大いに具えて胡客を召し、胡使を饗せしめ、上、幸いに官をして之が具を助けしめ、之に楽を仮す。
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『新書』匈奴此をして其の居処楽虞し、囷京の畜、畜は皆な其の故王に過ぎ、慮るに其の単于に出づる或いは、時時此を賜いて家と為すのみ。匈奴の一国心を傾けて冀い、人人忣忣として其の後れて来至するを惟れ恐る、将に此を以て其の腹を壊らんとす、一餌なり。来降する者に於いては、上必ず時時にして召幸する所有り、拊循して後に官に入るを得。夫れ胡の大人は親しみ難し、若し上、胡の嬰児に於いて貴人の子の好く愛す可き者を召さば、上必ず召幸すること大数十人、此が為に繍衣好閼し、且つ出ずれば則ち従い、居れば則ち更ごも侍す。上即ち胡人を饗する、大觳抵する、胡使を客する、力士、武士固より近く旁に侍し、胡の嬰児は側に近侍するを得、故に貴人更ごも進みて酒を佐くるを前に得、上乃ち幸いに自ら此の薄を御し、酒銭を付せしめ、時の人之に偶す。間を為せば則ち繍衣を出だし、帯服賓餘を具え、時に以て之に賜う。上即ち幸いに胡の嬰児を拊し、擣遒し、之を戯弄し、乃ち炙を授けて幸いに自ら之を啗らい、好衣を出だし、閑にして且つ自ら之を贛う。上起つや、胡の嬰児或いは前し或いは後し、胡の貴人既に酒を奉ずるを得て、出ずれば則ち衣を服し綬を佩び、貴人にして前に立つ、数人をして此を得て居らしむるのみ。
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『新書』匈奴一国の聞く者、見る者、希盱して欲し、人人忣忣として其の後れて来至するを惟れ恐る。将に此を以て其の心を壊らんとす、一餌なり。故に其の耳を牽き、其の目を牽き、其の口を牽き、其の腹を牽く、四者已に牽き、又た其の心を引く、安んぞ来たらざるを得ん、下胡抑抎す。此れを五餌と謂う。
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『新書』匈奴若し夫れ大変の応は、大約権を以て決塞し、宜しきに因りて行い、豫め形す可からず。翁主を尊び、相室を重んじ、其の長吏を多くし、衆門の大夫は皆な謀士なり、必ず之に財を足す。且つ吾が人を用い、且つ其の尊を用い、其の限を観、其の謀を窺い、中外の符節適たま[糹冓]拘せん。夫れ或人且に安んぞ久しく悍なること此くの若きを得んや。故に三表已に諭し、五餌既に明らかなれば、則ち匈奴の中は乖きて相疑い、単于をして寝ぬれども聊んぜず、飯して其の口を失わしめ、剣を揮い弓を挟み、穹盧の隅に蹲り、左視右視して、以て尽く仇と為さしむ。彼の其の群臣、走る毋からんと欲すと雖も、虎の後に在るが若し。衆来る無からんと欲すれども、恐らくは或いは之を軒げん、此れを勢い然りと謂う。其の貴人の単于に見ゆるは、猶お虎狼に迕うがごとし。其の南面して漢に帰するは、猶お弱子の慈母を慕うがごとし。其の衆人の将吏に見ゆるは、猶お噩として仇讎に迕うがごとし。南郷して漢に走らんと欲するは、猶お水の下に流るるがごとし。将に単于をして臣の使う無く、民の守る無からしめんとす。夫れ悪んぞ頸を係け稽顙して、陛下の義に帰せんことを請わざるを得んや。此れを徳に戦うと謂う。彼の匈奴は略せられ、且に引きて遠く去らんとす。此れに連なること数有り。
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