新書 / 鑄錢
夫農事不爲,而採銅日煩,釋其耒耨,冶鎔鑪炭。奸錢日繁,正錢日亡。善人怵而爲奸邪,愿民陷而之刑僇。黥罪繁積,吏民且日鬬矣。少益於今,將甚不祥,奈何而忽?國知患此,吏議必曰︰「禁之。」禁之不得其術,其傷必大,何以圉之?令禁鑄錢,錢必還重,四錢之粟,必還二錢耳。重則盜鑄錢如雲而起,則棄市之罪又不足以禁矣。姦不勝而法禁數潰,難言已,大事也。久亂而弗蚤振,恐不稱陛下之明。凡治不得,應天地星辰有動,非小故也。或累王德,陛下不可以怠,方今始伏,望可善圖也。
新字:夫農事不為,而採銅日煩,釈其耒耨,冶鎔鑪炭。奸銭日繁,正銭日亡。善人怵而為奸邪,愿民陥而之刑僇。黥罪繁積,吏民且日闘矣。少益於今,将甚不祥,奈何而忽?国知患此,吏議必曰︰「禁之。」禁之不得其術,其傷必大,何以圉之?令禁鋳銭,銭必還重,四銭之粟,必還二銭耳。重則盗鋳銭如雲而起,則棄市之罪又不足以禁矣。姦不勝而法禁数潰,難言已,大事也。久乱而弗蚤振,恐不称陛下之明。凡治不得,応天地星辰有動,非小故也。或累王徳,陛下不可以怠,方今始伏,望可善図也。
書き下し
夫れ農事を為さずして、採銅日に煩わし、其の耒耨を釈てて、冶鎔・鑪炭す。奸銭日に繁く、正銭日に亡ぶ。善人は怵れて奸邪を為し、愿民は陥りて刑戮に之く。黥罪繁く積もり、吏民且に日に闘わんとす。少しく今に益さば、将に甚だ不祥ならん、奈何ぞ忽せにせん。国此の患を知らば、吏議して必ず曰わん︰「之を禁ぜよ」と。之を禁ずるに其の術を得ざれば、其の傷必ず大なり、何を以て之を圉がん。令して鋳銭を禁ぜば、銭必ず還た重くならん、四銭の粟は、必ず還た二銭のみ。重ければ則ち盗鋳銭は雲の如く起こり、則ち棄市の罪も又以て禁ずるに足らず。奸勝えずして法禁数しば潰ゆ、言い難きのみ、大事なり。久しく乱れて蚤く振わざれば、恐らくは陛下の明に称わず。凡そ治の得られざるとき、天地星辰に応じて動く有り、小故に非ざるなり。或いは王徳を累わさん、陛下以て怠る可からず、方今始めて伏す、望むらくは善く図る可きなり。
現代語訳
農作業をやめて銅の採掘に日々追われ、農具を捨てて、溶かし、炭を焚く者が増えています。偽の銭は日ごとに増え、正しい銭は日ごとに失われます。善人は恐れて悪に手を染め、素直な民は罠に落ちて刑罰に向かいます。黥罪が積み重なり、役人と民が日々争うことになるでしょう。今よりさらに悪くなれば、ひどく不吉な事態です。どうして軽んじられましょうか。国がこの憂いを知れば、役人は協議して必ず「これを禁じよ」と言うでしょう。しかし禁じるのに適切な方法でなければ、その傷は必ず大きく、何をもって防げましょうか。令を下して鋳銭を禁じれば、銭はまた重い価値に戻り、四銭で買えた穀物は、元通り二銭で済むようになるでしょう。そうなれば盗鋳は雲が湧くように起こり、市で死刑にする罪でも抑えきれません。悪事に勝てず、法の禁も次々に破れる、これは言うのも難しい大事です。長く乱れたまま早く立て直さなければ、陛下の聡明さにふさわしくありません。およそ政治がうまくいかないとき、天地や星辰の異変として応じて現れることがあり、小さな出来事ではありません。王の徳を損なうかもしれません。陛下は怠ってはならず、今ようやく兆しが伏している段階です。どうか善く計らってください。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『新書』銅布銅の下に布かるるは、天下の災いと為る。何を以て之を言う。銅の下に布かるれば、則ち民の銭を鋳る者、大抵必ず鉛鉄を雑う。黥罪日びに繁し。此れ一禍なり。銅の下に布かるれば、偽銭止む無く、銭用信ならず、民愈いよ相疑う。此れ二禍なり。銅の下に布かるれば、銅を采る者は其の田疇を棄て、家に鋳る者は其の農事を損い、穀為さざれば則ち飢に鄰る。此れ三禍なり。故に銭を鋳るを禁ぜざれば、則ち銭常に乱れ、黥罪日びに積む。是れ陥穽なり。且つ農事為さざれば、疑い有り災いと為る。故に民の銭を鋳るは禁ぜざる可からず。上、銭を鋳るを禁ずるに、必ず死罪を以てす。銭を鋳る者禁ぜらるれば、則ち銭必ず還りて重し。銭重ければ則ち盗みて銭を鋳る者起こり、則ち死罪又た複た積む。銅之をして然らしむるなり。故に銅の下に布かるれば、其の禍い博し。
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『新書』鑄錢迺者竊かに聞く、吏の復た銭を鋳る者あり、民人罪に抵たる、多き者は一県に百数、少なき者は十数なりと。家属・知識及び吏の疑う所、擊囚・榜笞及び犇走する者、類甚だ少なからず。僕は未だ之を験することを得ざれども、然れども其の刑は必ず然らん。禍罪に抵たる者は、固より乃ち始まるのみ。此れ息む時無く、事甚だ少なからず、上に於いて大いに便ならず、原わくは陛下幸いに忽せにすること勿れ。
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『新書』鑄錢法は天下をして公に租を顧みて銭を鋳しめ、敢えて銅・鉛・鉄を雑えて它の巧を為す者は、其の罪は黥なり。然れども鋳銭の情、鉛鉄を殽え及び以て銅を雑うるに非ざれば、贏を得べからず。而して之を殽うること甚だ微にして、又為し易く、鹽羹の易きに異なること無く、其の利甚だ厚し。法を張ること公に銅錫を鋳ると雖も、鋳る者の情は必ず奸偽なり。名は顧租公鋳と曰うは、法なり、而して実は皆黥罪なり。法有ること此くの若し、上将に何をか頼まんや。夫れ事に禍を召く有り、法に奸を起こす有り、今細民をして造弊の勢を操らしめ、各おの其の家を隠親して公に鋳作せしめ、因りて其の大利微姦を禁ぜんと欲せば、黥罪日に報ぜらるると雖も、其の勢い止まず、民の理は然り。夫れ白着して以て之を請えば、則ち吏随いて之を揜う、民の為に阱を設くること、孰か是より積めるや。上早く之を図れ、民の勢い且に尽きんとす。曩に鋳銭を禁じて、死罪下に積む。今公に銭を鋳しめて、黥罪下に積む。少しく異なると雖も、未だ甚だしからず。民方に陥溺す、上且に救わざらんや。
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『新書』鑄錢且つ世民の銭を用うること、県に異なりて郡に同じからず。或いは軽銭を用い、百に加うること若干、軽小異行す。或いは重銭を用い、平称受けず。法銭立たざれば、将に天下をして権族を操らしめんとす、而して吏急にして之を壱にせんとすれば、則ち吏は煩苛にして民は任えず、且つ力能わずして勢い施す可からず。縦にして苛せざれば、則ち郡県異なりて市肆同じからず、小大用を異にし、銭文大いに乱る。夫れ苟くも其の術に非ざれば、則ち何れに嚮うて可ならんや。
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『新書』銅布今、博き禍いは除く可く、七福は致す可し。何をか七福と謂う。上、銅を収めて下に布かしむる勿ければ、則ち民銭を鋳ず、黥罪積まず、一なり。銅下に布かざれば、則ち偽銭繁からず、民相疑わず、二なり。銅下に布かざれば、銅を采るを得ず、銭を鋳るを得ず、則ち民反って田を耕す、三なり。銅下に布かず、畢く上に帰すれば、上、銅の積を挟みて以て軽重を御し、銭軽ければ則ち術を以て之を斂め、銭重ければ則ち術を以て之を散ず、則ち銭必ず治まる、四なり。銅の積を挟み、以て兵器を鋳、以て貴臣に仮し、小大多少、各おの制度有り、以て貴賤を別ち、以て上下を差とすれば、則ち等級明らかなり、五なり。銅の積を挟み、以て万貨に臨み、以て盈虚を調え、以て畸羨を収むれば、則ち官必ず富みて、末民困しむ、六なり。銅の積を挟み、吾が棄財を制し、以て匈奴と其の民を逐争せば、則ち敵必ず懐く。此れを七福と謂う。故に善く天下を為むる者は、禍いに因りて福と為し、敗を転じて功と為す。今顧って七福を退けて博禍を行う。長太息す可き者、此れ其の一なり。
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『新書』孽產子且つ試みに事理を観よ。夫れ百人之を作るも、一人に衣するに能わず、天下の寒き無きを欲するも、胡ぞ得可けんや。一人之を耕し、十人聚まりて之を食らい、天下の飢うる無きを欲するも、胡ぞ得可けんや。飢寒民の肌膚に切なれば、其の奸邪盗賊を為す無きを欲するも、得可からず。国已に素より屈せり。奸邪盗賊特だ時を須つのみ、歳適たま為さざれば、雲の如く起こらんのみ。若し夫れ為さざること見われば、室満つるも胡ぞ撫するに勝う可けんや。夫れ此に錞して上を安んずる者有るは、殆ど未だ有らざるなり。今や平居には則ち茈施無く、敬せずして素より寛にし、故有れば必ず困しむ。然り而して計を献ずる者類ね曰く、「動く無きを大と為す」と。夫れ動く無くして以て天下の敗を振う可き者は、何等ぞや。曰く、大夫の治を為すは可なり。若し大乱を為さば、豈に其の小なるに若かんや。悲しきかな。俗の不敬に至り、等無きに至り、其の上を冒すに至る。計を進むる者、猶お「無為」と曰う。長大息を為す可き者は此れなり。
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