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新書 / 孽產子

民賣產子,得爲之繡衣、編絲履、偏諸緣,入之閑中,是古者天子后之服也,后之所以廟而不以燕也,而衆庶得以衣孽妾。白縠之表,薄紈之裏,緁以偏諸,美者黼繡,是古者天子之服也,今貴富人大賈者喪資,若兄弟召客者得以被墻。古者以天下奉一帝一后而節適,今貴富人大賈屋壁得爲帝服,賈婦優倡下賤同產子得爲后飾,然而天下不屈者,殆未有也。且主帝之身,自衣皂綈,而靡賈侈貴,墻得被繡;帝以衣其賤,后以緣其領,孽妾以緣其履,此臣之所謂踳也。

新字:民売産子,得為之繍衣、編糸履、偏諸縁,入之閑中,是古者天子后之服也,后之所以廟而不以燕也,而衆庶得以衣孽妾。白縠之表,薄紈之裏,緁以偏諸,美者黼繍,是古者天子之服也,今貴富人大賈者喪資,若兄弟召客者得以被墻。古者以天下奉一帝一后而節適,今貴富人大賈屋壁得為帝服,賈婦優倡下賤同産子得為后飾,然而天下不屈者,殆未有也。且主帝之身,自衣皂綈,而靡賈侈貴,墻得被繍;帝以衣其賤,后以縁其領,孽妾以縁其履,此臣之所謂踳也。

書き下し

民、産子を売り、之が繍衣、編糸の履、偏諸の縁を為すことを得て、之を閑中に入る。是れ古者天子后の服なり、后の廟して燕せざる所以なり。而るに衆庶以て孽妾に衣するを得。白縠の表、薄紈の裏、緁るに偏諸を以てし、美なる者は黼繍あり、是れ古者天子の服なり。今貴富人大賈の者喪資するに、兄弟客を召す若き者、以て墻に被らしむるを得。古者天下を以て一帝一后を奉じて節適す。今貴富人大賈の屋壁帝服を為すを得、賈婦優倡下賤の同産子后飾を為すを得。然り而して天下屈せざる者は、殆ど未だ有らざるなり。且つ主帝の身、自ら皂綈を衣て、而るに賈は靡にして貴を侈り、墻は繍を被らるるを得。帝以て其の賤に衣し、后以て其の領に緑し、孽妾以て其の履に緑す。此れ臣の所謂踳なり。

現代語訳

民間では、子を産んで売るような商いの者でも、刺繍の衣や編み糸の履き物、偏諸(へんしょ)の縁飾りを作らせて、奥向きの部屋に納めることができます。これらはもともと古の天子や皇后の服であり、皇后が廟の祭りには着ても、くつろぎの席では着なかったものです。それを今は庶民が妾の衣装に使っています。白い絹の表地に薄い絹の裏をつけ、偏諸で縁取り、上等なものには黼の刺繍まである。これも古の天子の服でした。ところが今は富貴の人や大商人が葬儀を出したり、兄弟が客を招いたりするとき、それを壁に掛けて飾るほどです。昔は天下をあげて一人の帝と一人の后に仕えることで、節度が保たれていました。今は大商人の家の壁が帝の服をまとい、商人の妻や芸人など身分の低い者の子が后の飾りを着けています。それでも天下が窮しないということは、まずありえません。そのうえ主上ご自身は黒い粗絹をお召しなのに、商人はぜいたくに高価な物を誇り、壁は刺繍をかぶっています。帝が着るものをいやしい者が着、后の襟の縁取りを妾が履き物の縁にしている。これが私のいう「踳(あべこべ)」です。

解説

この段は、身分に応じた服飾の秩序が崩れ、商人や妾が天子や皇后の装いを使っている現状を嘆く箇所です。賈誼は、上が質素な黒い絹を着ているのに下が刺繍を壁に掛けるという逆転を、「踳(あべこべ)」の一語に収めています。服飾は等級を目に見える形で示す仕組みで、それが崩れれば上下の区別そのものが危うくなる、というのが当時の発想でした。奢侈が広がれば天下の財が足りなくなる、という経済の見方も背後にあります。現代の組織で言えば、役割ごとの権限や待遇の線引きが、実績と無関係に崩れていく状態に近いでしょう。線引きが形ばかりになると、責任と見返りがずれ、現場の納得感が先に傷みます。管理職は格付けの必要性を一度言葉にしておくとよいでしょう。

この章句が説くこと

奢侈等級上下節度身分秩序新書

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