酔古堂剣掃 / 集豪・襟懷は疏朗を貴ぶ
襟懷貴疏朗,不宜太逞豪華;文字要雄奇,不宜故求寂寞。
新字:襟懐貴疏朗,不宜太逞豪華;文字要雄奇,不宜故求寂寞。
書き下し
襟懷は疏朗を貴ぶも、太だ豪華を逞しくするに宜しからず。文字は雄奇を要するも、故らに寂寞を求むるに宜しからず。
現代語訳
胸の内はからりと明るく開けていることが大切ですが、あまりに派手さをほしいままにするのはよくありません。文章は雄大で奇抜であることが求められますが、わざとさびしく枯れた味わいを求めるのはよくありません。
解説
心の持ち方と文章の書き方について、行きすぎを戒めた対句です。襟懐は胸の内、疏朗はさっぱりとして明るいさまを言います。心が開けているのはよいことですが、それが派手好みに転じると品を失います。文章は力強さと新しさを持つべきですが、わざと枯淡を装うのも不自然だと言います。どちらも、よい性質が度を越したり作為に変わったりすることへの注意です。豪放を集めた集豪の中にあって、豪放と品位の境目を示している点が味わい深いところです。自分らしさも演出しすぎれば、かえって借り物になってしまいます。
この章句が説くこと
節度風雅文章品格襟懐
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