新書 / 俗激
大臣之俗,特以牘書不報,小期會不答耳,以爲大故,以爲大故不可矣。天下之大指,舉之而激。俗流失,世壞敗矣。因恬弗不知怪,大故也。加刀筆之吏,務在筐箱,而不知大體,陛下又弗自憂,故如哉。
新字:大臣之俗,特以牘書不報,小期会不答耳,以為大故,以為大故不可矣。天下之大指,舉之而激。俗流失,世壊敗矣。因恬弗不知怪,大故也。加刀筆之吏,務在筐箱,而不知大体,陛下又弗自憂,故如哉。
書き下し
大臣の俗は、特だ牘書 報ぜず、小しく期会 答えざるを以て大故と為さず。以為えらく大故なり、大故なれば不可なり、と。天下の大指は、之を挙げて激す。俗 流れ失い、世 壊敗す。恬として怪しむを知らざるに因りて、大故なり。刀筆の吏に加え、務めは筐箱に在り、而して大体を知らず。陛下も又 自ら憂えず、故に如かざるかな。
現代語訳
大臣たちの風潮は、ただ文書に返事をしない、小さな約束の期日に応えない程度のことを大事とは見ないことです。これを大きな問題だとして、大きな問題なら許されないとするのです。天下の大きな方向は、これを取り上げれば激しく動きます。風俗が流れ失われ、世が崩れ傷みます。平然として怪しみもしないことこそ大きな問題です。そのうえ、筆と書類を扱う役人は、仕事が箱の中の書類にあって大体を知りません。陛下も自ら憂えておられないので、このようになるのです。
解説
短い段で、文意の取りにくい箇所があるため、細部は確定できません。大意は、文書への無返答や約束の期日の遅れを軽く見る風潮が、実は大きな問題の入口だというものです。賈誼は、風俗が少しずつ流れて失われても、それを怪しまないことこそ重大だと言います。さらに、書類仕事に追われる役人は全体像を見ず、陛下も憂えないので放置されると続けます。小さな礼儀や報告の乱れは、組織の緩みを示す早い兆候です。現代の会社でも、返信の遅れや期日の軽視を放置すると、風土全体が緩みます。小さな約束を守る習慣は、信頼の土台として軽視できません。
この章句が説くこと
俗激風俗期日報告緩み新書
関連する章句
-
『新書』俗激臣の意を以てすれば、吏は慮るに耳目に動かさず、以為えらく是れ特だ適然なるのみ、と。夫れ風を移し俗を易え、天下をして心を移して道に向かわしむること、類 俗吏の能く為す所に非ず。陛下も又 自ら憂えず、窃かに陛下の為に惜しむ。夫れ君臣を立て上下を等しくし、父子をして礼有らしめ、六親をして紀有らしむるは、此れ天の設くる所に非ず。夫れ人の設くる所なり。為さずんば特だ此れ植つれば則ち僵れ、循わざれば則ち壊る。秦 四維を滅ぼして張らず、故に君臣 乖きて相い攘い、上下 乱れ僭して差無く、父子六親 殃僇して其の宜しきを失い、奸人 幷び起こり、万民 離畔し、凡そ十三歳にして社稷 墟と為る。今にして四維 猶お未だ備わらず、故に奸人は冀幸し、而して衆下は疑惑す。豈に如かんや、今 経制を定め、主は主、臣は臣として、上下に差有り、父子六親 各おの其の宜しきを得、奸人に冀幸する所無く、群衆 上を信じて疑惑せざるに。此の業 一たび定まらば、世世 常に安く、而る後に持循する所有らん。若し夫れ経制 定まらざれば、是れ猶お江河を渡るに維楫無く、中流にして風波に遇うがごとし。船は必ず覆敗せん。悲しいかな、備え 之を豫め具えざるは。察せざる可けんや。
-
『新書』俗激夫れ邪俗 日に長じ、民 相い然りとして無廉醜に席く。行義 循うに非ざるなり。豈に且に人の子と為りて其の父に背き、人の臣と為りて因りて主に忠ならんや。豈に人の弟と為りて其の兄を欺き、人の下と為りて因りて其の上を信ぜんや。陛下 権柄・事業 有りと雖も、将に何をか之に寄せんとするや。管子 曰く、「四維とは、一に曰く礼、二に曰く義、三に曰く廉、四に曰く耻」と。「四維 張らざれば、国 乃ち滅亡す」と。云し管子をして愚にして人を識る無からしめば、則ち可なり。管子をして少しく治体を知らしめば、則ち是れ豈に寒心を為す可からざらんや。今の世 侈靡を以て相い競い、而して上に制度無く、礼義を棄て、廉醜を損すること、日に甚だしく、月に異にして歳に同じからずと謂う可し。利を逐うこと不らず、慮念は行いを顧みず。今 其の甚だしき者は、父を剄し、大母を賊い、嫗を踝し、兄を刺す。盗む者は慮るに柱下の金を探り、寝戸の簾を剟り、両廟の器を搴い、白昼の大都の中に、吏を剽して之が金を奪う。矯偽の者は十幾拾萬石の粟を出だし、六百余萬の銭を賦し、伝に乗じて郡諸侯を行く。此れ靡の行義無きの尤も至れる者のみ。其の余の猖蹶して之に趨る者は、乃ち豕羊の駆けて往くが如し。是れ管子の謂う「四維 張らず」の類なるか。窃かに陛下の為に惜しむ。
-
『新書』時變今は何如。進取の時 去り、幷兼の勢い 過ぐ。胡ぞ孝弟循順を以て為さんや。書を善くして吏と為るのみ。胡ぞ行義節を以て為さんや。家 富みて官に出づるのみ。驕恥 偏にして祭尊と為り、黥劓の者 臂を攘いて祭政と為る。行い狗彘なりと雖も、苟くも家 富み財 足らば、机に隠れ盱視して天子と為るのみ。唯だ昆弟に罪を告げ、伯父を欺突し、父母に逆らうも、然れども銭財 多く、衣服 修まる。我 何ぞ世の基公たるを妨げん。唯だ季母・妻公の接女を愛するも、車馬 厳しく、走犬 良し。矯誙して家 美しく、盗賊して財 多し、何ぞ傷まん。交わらんと欲すれば、吾 貴寵の者を択びて之と交わり、勢いを欲すれば、吏権の者を択びて之を使う。婦を取り子を嫁がしむるに、権勢有るに非ざれば、吾 与に婚姻せず。貴戚有るに非ざれば、与に兄弟たらず。富大家に非ざれば、与に出入せず。何に因る。今 俗は侈靡にして倫を出で等を踰ゆるを以て相い驕り、富の其の事に過ぐるを以て相い競う。今世は空爵を貴び良を賤しみ、俗は靡にして奸を尊ぶ。富民は奸を為さずして貧なるは里に侮られ、廉吏は官を釈てて帰れば邑に笑わる。官に居りて敢えて奸を行いて富む者は賢吏と為り、家に処りて法を犯して利を為す者は才士と為る。
-
『新書』孽產子且つ試みに事理を観よ。夫れ百人之を作るも、一人に衣するに能わず、天下の寒き無きを欲するも、胡ぞ得可けんや。一人之を耕し、十人聚まりて之を食らい、天下の飢うる無きを欲するも、胡ぞ得可けんや。飢寒民の肌膚に切なれば、其の奸邪盗賊を為す無きを欲するも、得可からず。国已に素より屈せり。奸邪盗賊特だ時を須つのみ、歳適たま為さざれば、雲の如く起こらんのみ。若し夫れ為さざること見われば、室満つるも胡ぞ撫するに勝う可けんや。夫れ此に錞して上を安んずる者有るは、殆ど未だ有らざるなり。今や平居には則ち茈施無く、敬せずして素より寛にし、故有れば必ず困しむ。然り而して計を献ずる者類ね曰く、「動く無きを大と為す」と。夫れ動く無くして以て天下の敗を振う可き者は、何等ぞや。曰く、大夫の治を為すは可なり。若し大乱を為さば、豈に其の小なるに若かんや。悲しきかな。俗の不敬に至り、等無きに至り、其の上を冒すに至る。計を進むる者、猶お「無為」と曰う。長大息を為す可き者は此れなり。
-
『新書』時變故に兄は其の弟に勧め、父は其の子に勧む。則ち俗の邪、此に至る。商君 礼義に違い、倫理を棄て、心を進取に幷せ、之を行うこと二歳にして、秦俗 日に敗る。秦人 子有り、家 富み子 壮なれば則ち出でて分かれ、家 貧しく子 壮なれば則ち出でて贅たり。父に仮るに耰鉏・杖篲を以てすれば、耳慮に徳色有り。母 瓢椀・箕帚を取れば、慮 立ちて訊語す。其の子を抱哺するに、公と併せ踞す。婦姑 相い説ばざれば、則ち唇を反して睨む。其の子を慈しみて利を嗜み、父母を軽簡するや、慮るに倫理有るに非ず、亦た禽獣と同じからざること僅かなるのみ。然れども猶お心を幷せて時に赴く者は、曰く「功成りて義を敗るのみ」と。六国を蹷し、天下を兼ね、求めて得たり。然れども廉恥の節、仁義の厚さに反るを知らず、幷兼の法を信じ、進取の業を遂げ、凡そ十三歳にして社稷 墟と為る。守成の数を知らざるは、得失の無術なり。悲しいかな。
-
『新書』鑄錢迺者竊かに聞く、吏の復た銭を鋳る者あり、民人罪に抵たる、多き者は一県に百数、少なき者は十数なりと。家属・知識及び吏の疑う所、擊囚・榜笞及び犇走する者、類甚だ少なからず。僕は未だ之を験することを得ざれども、然れども其の刑は必ず然らん。禍罪に抵たる者は、固より乃ち始まるのみ。此れ息む時無く、事甚だ少なからず、上に於いて大いに便ならず、原わくは陛下幸いに忽せにすること勿れ。
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
古典の入門書『人生の教科書』(PDF)と、師導の全機能1か月がセットで700円。二十四の悩みに、論語・老子・孫子から徒然草・五輪書までが答えます。
本の中身を見る