新書 / 大都
臣聞「尾大不掉,末大必折」,惡病也,平居不可屈信,一二指搐,身固無聊也。失今弗治,必爲錮疾,後雖有扁鵲,弗能爲已,悲夫!枝拱苟大,弛必至心,此所以竊爲陛下患也。病非徒尰也,又苦䟝盭。元王之子,帝之從弟也;今之王者,從弟之子也。恵王親兄之子也;今之王者,兄子之子也。親者或無分地以安天下,䟽者或專大權以偪天子。臣故曰非徒病尰也,又苦䟝盭也。可痛哭者,此病是也。
新字:臣聞「尾大不掉,末大必折」,悪病也,平居不可屈信,一二指搐,身固無聊也。失今弗治,必為錮疾,後雖有扁鵲,弗能為已,悲夫!枝拱苟大,弛必至心,此所以窃為陛下患也。病非徒尰也,又苦䟝盭。元王之子,帝之従弟也;今之王者,従弟之子也。恵王親兄之子也;今之王者,兄子之子也。親者或無分地以安天下,䟽者或専大権以偪天子。臣故曰非徒病尰也,又苦䟝盭也。可痛哭者,此病是也。
書き下し
臣聞く「尾大なれば掉わず、末大なれば必ず折る」と。悪病なり。平居には屈信す可からず、一二指搐すれば、身は固より無聊なり。今を失いて治めずんば、必ず錮疾と為り、後に扁鵲有りと雖も、已を為す能わず。悲しいかな。枝拱苟くも大なれば、弛めば必ず心に至る。此れ竊かに陛下の為に患うる所以なり。病は徒だ尰のみに非ず、又䟝盭に苦しむ。元王の子は、帝の従弟なり。今の王者は、従弟の子なり。恵王は親兄の子なり。今の王者は、兄の子の子なり。親しき者は或いは分地無くして以て天下を安んじ、疏き者は或いは専ら大権を以て天子に偪る。臣故に曰く、徒だ尰を病むのみに非ず、又䟝盭に苦しむと。痛哭す可き者は、此の病是れなり。
現代語訳
私は「尾が大きければ振るえず、枝先が大きければ必ず折れる」と聞いています。これは悪い病です。平常は曲げ伸ばしもできず、一、二本の指がひきつるだけでも、身はもとより安らかでありません。いま治さなければ、必ず治りにくい持病となり、その後に扁鵲がいても、治すことはできません。悲しいことです。枝や手首がもし大きければ、緩んだときに必ず心臓に至ります。これが私がひそかに陛下のために患うところです。病は単に腫れているだけでなく、足のねじれにも苦しんでいます。元王の子は、帝の従弟にあたります。いまの王は、従弟の子です。恵王は実の兄の子です。いまの王は、兄の子の子です。親しい者には領地を与えられないものが天下を安んじ、疏い者には専ら大権を持って天子に迫るものがいます。だから私は、単に腫れを病むだけでなく、足のねじれにも苦しむと申します。痛哭すべきはこの病です。
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『新書』大都昔、楚の霊王范無宇に問いて曰く、「我、大いに陳・蔡・葉と不羹とに城き、賦車各おの千乗ならしめんと欲す。亦た以て晋に当たるに足らん。又之に加うるに楚を以てせば、諸侯其れ来朝せんか」と。范無宇曰く、「不可なり。臣聞く、大都は国を疑わしめ、大臣は主を疑わしむるは、乱の謀なり。都疑えば則ち交ごも争い、臣疑えば則ち並び令す、禍いの深き者なり。今大いに陳・蔡・葉と不羹とに城くも、或いは充たず、以て晋を威するに足らず。若し之を充つるに資財を以てし、之を実たすに重禄の臣を以てせば、是れ本を軽んじて末を重んずるなり。臣聞く、尾大なれば掉わず、末大なれば必ず折る、と。此れ豈に威を諸侯に施すの心に非ざらんや。然れども終に楚国の大患と為る者は、必ず此の四城ならん」と。霊王聴かず、果たして陳・蔡・葉と不羹とに城き、之を実たすに兵車を以てし、之を充つるに大臣を以てす。是の歳、諸侯果たして朝す。居ること数年、陳・蔡・葉と不羹と或いは公子棄疾を奉じ、内に難を作し、楚国雲のごとく乱れ、王遂に乾溪に死す。宇、亥の井を守るの計を為すこと此くの若し、豈に痛ましからずや。悲しいかな。本細く末大なれば、弛めば必ず心に至る。時なるかな時なるかな、痛惜す可き者は此れなり。天下の勢い方に大尰を病む。一脛の大なること幾ど要の如く、一指の大なること幾ど股の如し。
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『新書』解縣天下の勢い方に倒県す、竊かに願わくは陛下之を省みられんことを。凡そ天子とは、天下の首なり。何となれば、上なればなり。蛮夷とは、天下の足なり。何となれば、下なればなり。蛮夷の徴令は、是れ主上の操なり。天子の共貢は、是れ臣下の礼なり。足反って上に居り、首顧って下に居る、是れ倒県の勢いなり。天下倒県し、之を解く能う莫し、猶お国に人有りと為さんや。特に倒県するのみに非ず、又た慮るに躄し、且つ痱を病まん。夫れ躄とは一面病み、痱とは一方痛む。今西は上流と為り、東は下流と為る、故に隴西を上と為し、東海を下と為せば、則ち北境一倒するなり。西郡、北郡、長爵有りと雖も軽がるしくは復を得ず、五尺以上軽がるしくは息を得ず、苦しみ甚し。中地は左戍し、延行すること数千里、糧食の饋饟難し。斥候する者は烽燧を望みて敢えて臥せず、将吏の戍る者は或いは介冑して睡る、而るに匈奴は欺侮侵掠して未だ息む時を知らず。焉に於いて威を信べ徳を広むること難し。臣故に曰く、「一方病めり」と。医能く之を治せども、上肯えて使わざるなり。天下の倒県すること甚だ苦しく、竊かに陛下の為に惜しむ。
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『新書』親疏危亂然れども尚お諉す可き者有り、曰く疏なりと。臣請う試みに其の親しき者を言わん。仮令い斉の悼惠王は斉に王たり、元王は楚に王たり、中子は趙に王たり、幽王は淮陽に王たり、共王は梁に王たり、霊王は燕に王たり、厲王は淮南に王たり、六七貴人皆な恙無く、各おの其の国を案じて居らしむ、是の時に当たり、陛下即ち天子の位に即かば、能く治を為さんか。臣又た竊かに陛下の能わざるを知るなり。諸侯王名は人臣と為すと雖も、実は皆な布衣昆弟の心あり、慮るに帝制して天子自ら為さざる無し。擅に人に爵し、死罪を赦し、甚だしき者は或いは黄屋を戴く、漢の法立たず、漢の令行われざるなり。淮南王の如き道を離るる者と雖も、之に令すれば安んぞ肯えて聴かん、之を召せば焉んぞ致す可けん。幸いにして至るも、法安んぞ加うるを得可けん。一たび親戚を動かせば、天下環視して起こる、天下安んぞ制するを得可けん。陛下の臣、悍なること馮敬の如き者有りと雖も、適たま其の口を啓けば、匕首已に胸に陥らん。陛下賢なりと雖も、誰と与に諸侯を領せん。此れ所謂親なる者なり。故に疏なれば必ず危うく、親なれば必ず乱る。陛下今に因りて以て治安と為す、奈何ぞ其の必ず且に危乱せんとするを知る、然り而して吟𪘆して堅く之を控守し、何如なる制を為して𦇺を以て相県くるか。臣、能く令して乱を知ること今の如く、利は百金□□□□□□
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『新書』權重諸侯の勢い以て専制するに足り、力以て逆を行うに足れば、冠せしむと雖も処女を、敢えて無しと謂う勿かれ。勢い以て専制するに足らず、力以て逆を行うに足らざれば、夏・育を生ずると雖も、仇讎の怨み有れども、猶お之れ傷つくる無きがごとし。然れども天下の当今 恬然たるは、諸侯の俱に少きに遇えばなり。後 数歳に至らず、諸侯 皆 冠せば、陛下 且に之を見んとす、豈に苦しからずや。力 当に能く為すべくして為さず、乱を畜え禍を宿し、高拱して憂えざるは、其の紛るるや宜なり。甚だしきは知らず且つ不仁と謂う可し。夫れ秦は自ら逆い、日夜 深く惟い、心を苦しめ力を竭くし、危うきこと存亡に在り、以て六国の憂いを除く。今 陛下 力 天下を制し、頤もて指せば如意なり。而るに故に六国の禍を称す、以て知を言い難し。苟くも身 常に患無きも、但だ禍を為すこと未だ制する所に在らざるなり。乱媒 日に長じ、孰視して定まらず。万年の後、之を老母弱子に伝え、曹・勃をして制する能わざらしめば、仁と謂う可けんや。
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