新書 / 大都
昔楚靈王問范無宇曰:「我欲大城陳蔡葉與不羮,賦車各千乘焉,亦足以當晉矣,又加之以楚,諸侯其來朝乎?」范無宇曰:「不可。臣聞大都疑國,大臣疑主,亂之謀也。都疑則交争,臣疑則並令,禍之深者也。今大城陳蔡葉與不羮,或不充,不足以威晉;若充之以資財,實之以重禄之臣,是輕本而重末也。臣聞尾大不掉,末大必折,此豈不施威諸侯之心哉。然終爲楚國大患者,必此四城也。」靈王弗聽,果城陳蔡葉與不羮,實之以兵車,充之以大臣,是嵗也,諸侯果朝。居數年,陳蔡葉與不羮或奉公子棄疾,内作難,楚國雲亂,王遂死於乾溪。宇守亥之井爲計若此,豈不痛也哉!悲夫!本細末大,弛必至心,時乎時乎,可痛惜者此也。天下之勢方病大尰:一脛之大㡬如要,一指之大㡬如股。
新字:昔楚霊王問范無宇曰:「我欲大城陳蔡葉与不羹,賦車各千乗焉,亦足以当晋矣,又加之以楚,諸侯其来朝乎?」范無宇曰:「不可。臣聞大都疑国,大臣疑主,乱之謀也。都疑則交争,臣疑則並令,禍之深者也。今大城陳蔡葉与不羹,或不充,不足以威晋;若充之以資財,実之以重禄之臣,是軽本而重末也。臣聞尾大不掉,末大必折,此豈不施威諸侯之心哉。然終為楚国大患者,必此四城也。」霊王弗聴,果城陳蔡葉与不羹,実之以兵車,充之以大臣,是歳也,諸侯果朝。居数年,陳蔡葉与不羹或奉公子棄疾,内作難,楚国雲乱,王遂死於乾渓。宇守亥之井為計若此,豈不痛也哉!悲夫!本細末大,弛必至心,時乎時乎,可痛惜者此也。天下之勢方病大尰:一脛之大㡬如要,一指之大㡬如股。
書き下し
昔、楚の霊王范無宇に問いて曰く、「我、大いに陳・蔡・葉と不羹とに城き、賦車各おの千乗ならしめんと欲す。亦た以て晋に当たるに足らん。又之に加うるに楚を以てせば、諸侯其れ来朝せんか」と。范無宇曰く、「不可なり。臣聞く、大都は国を疑わしめ、大臣は主を疑わしむるは、乱の謀なり。都疑えば則ち交ごも争い、臣疑えば則ち並び令す、禍いの深き者なり。今大いに陳・蔡・葉と不羹とに城くも、或いは充たず、以て晋を威するに足らず。若し之を充つるに資財を以てし、之を実たすに重禄の臣を以てせば、是れ本を軽んじて末を重んずるなり。臣聞く、尾大なれば掉わず、末大なれば必ず折る、と。此れ豈に威を諸侯に施すの心に非ざらんや。然れども終に楚国の大患と為る者は、必ず此の四城ならん」と。霊王聴かず、果たして陳・蔡・葉と不羹とに城き、之を実たすに兵車を以てし、之を充つるに大臣を以てす。是の歳、諸侯果たして朝す。居ること数年、陳・蔡・葉と不羹と或いは公子棄疾を奉じ、内に難を作し、楚国雲のごとく乱れ、王遂に乾溪に死す。宇、亥の井を守るの計を為すこと此くの若し、豈に痛ましからずや。悲しいかな。本細く末大なれば、弛めば必ず心に至る。時なるかな時なるかな、痛惜す可き者は此れなり。天下の勢い方に大尰を病む。一脛の大なること幾ど要の如く、一指の大なること幾ど股の如し。
現代語訳
昔、楚の霊王が范無宇に尋ねました。「私は陳・蔡・葉と不羹に大きな城を築き、それぞれ兵車千乗を賦課したい。それで晋に当たるに足りるだろう。さらに楚の力も加えれば、諸侯は入朝してくるだろうか」と。范無宇は答えました。「いけません。私は、大きな都は国を疑わせ、大臣は主を疑わせると聞いています。これは乱れの謀りです。都が疑われれば互いに争い、臣が疑われれば命令が並び立つ、禍いの深いものです。いま陳・蔡・葉と不羹に大きく城を築いても、満たされないかもしれず、晋を威嚇するには足りません。もし資財で満たし、重禄の臣で充実させれば、本を軽んじて末を重んじることになります。尾が大きければ振るえず、末が大きければ必ず折れる、と聞いています。これは諸侯に威を示す心に合わないでしょうか。しかし最後に楚国の大患となるのは、必ずこの四つの城でしょう」と。霊王は聞き入れず、結局陳・蔡・葉と不羹に城を築き、兵車で充実させ、大臣で満たしました。この年、諸侯は果たして入朝しました。数年たつと、陳・蔡・葉と不羹は公子棄疾を奉じて内で難を起こし、楚国は雲のように乱れ、王はついに乾溪で死にました。宇が「亥の井」を守る計を立てたのもこのようであった、とあるのは、意味を取りきれません。なんと痛ましいことでしょう。悲しいことです。本が細く末が大きければ、緩めば必ず心臓に至ります。時なるかな、時なるかな、痛み惜しむべきはこれです。いま天下の勢いは大きな腫れ物を病んでいます。一本のすねが腰ほどに大きく、一本の指が股ほどに大きいのです。
解説
この章句が説くこと
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