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新書 / 數寧

臣竊惟事勢,可爲痛惜者一,可爲流涕者二,可爲長大息者六。若其它倍理而傷道者,難徧以疏舉。進言者皆曰「天下已安矣」,臣獨曰「未安」。或者曰 「天下已治矣」,臣獨曰「未治」。恐逆意觸死罪,雖然,誠不安,誠不治,故不敢顧身,敢不昧死以聞。夫曰「天下安且治」者,非至愚無知,因諛者耳,皆非事實知治亂之體者也。夫抱火措之積薪之下而寢其上,火未及燃,因謂之安,偷安者也。方今之勢,何以異此!夫本末舛逆,首尾橫決,國制搶攘,非有紀也,胡可謂治。陛下何不一令以數日之間,令臣得熟數之於前,因陳治安之策,陛下試擇焉,何甚傷哉?

新字:臣窃惟事勢,可為痛惜者一,可為流涕者二,可為長大息者六。若其它倍理而傷道者,難遍以疏舉。進言者皆曰「天下已安矣」,臣独曰「未安」。或者曰 「天下已治矣」,臣独曰「未治」。恐逆意触死罪,雖然,誠不安,誠不治,故不敢顧身,敢不昧死以聞。夫曰「天下安且治」者,非至愚無知,因諛者耳,皆非事実知治乱之体者也。夫抱火措之積薪之下而寝其上,火未及燃,因謂之安,偸安者也。方今之勢,何以異此!夫本末舛逆,首尾横決,国制搶攘,非有紀也,胡可謂治。陛下何不一令以数日之間,令臣得熟数之於前,因陳治安之策,陛下試択焉,何甚傷哉?

書き下し

臣竊かに事勢を惟うに、痛惜す可き者一、流涕す可き者二、長大息す可き者六なり。其の它の理に倍き道を傷う者の若きは、徧く疏し挙げ難し。言を進むる者は皆「天下已に安し」と曰うも、臣独り「未だ安からず」と曰う。或る者は「天下已に治まれり」と曰うも、臣独り「未だ治まらず」と曰う。意に逆らい死罪に触れんことを恐る。然りと雖も、誠に安からず、誠に治まらざれば、故に敢えて身を顧みず、敢えて昧死して以て聞せざらんや。夫れ「天下安く且つ治まる」と曰う者は、至愚無知に非ざれば、諛うに因る者のみ、皆事実の治乱の体を知る者に非ざるなり。夫れ火を抱きて之を積薪の下に措き、其の上に寝ね、火未だ燃ゆるに及ばざるを、因りて之を安しと謂うは、偸安する者なり。方今の勢い、何を以て此に異ならん。夫れ本末舛逆し、首尾横決し、国制搶攘として、紀有るに非ず、胡ぞ治と謂う可けんや。陛下何ぞ一たび令して数日の間を以てし、臣をして熟く之を前に数うるを得しめ、因りて治安の策を陳べしめ、陛下試みに択ばざる。何の甚だしき傷かあらん。

現代語訳

私がひそかに天下の事勢を考えると、痛み惜しむべきことが一つ、涙を流すべきことが二つ、長く嘆息すべきことが六つあります。その他、理に背き道を傷つけることは、すべて並べて挙げにくいほどです。意見を進める者は皆「天下はすでに安らかです」と言いますが、私だけは「まだ安らかでない」と言います。ある者は「天下はすでに治まっています」と言いますが、私だけは「まだ治まっていない」と言います。お気持ちに逆らって死罪に触れることを恐れます。しかし本当に安らかでなく、本当に治まっていないのですから、身を顧みず、死を覚悟して申し上げないわけにはまいりません。「天下は安らかで治まっている」と言う者は、極めて愚かで無知でなければ、へつらう者に過ぎず、事実や治乱の本体を知る者ではありません。火を抱いて積み薪の下に置き、その上で寝て、火がまだ燃えていないからと安らかだと言うのは、一時の安逸をむさぼる者です。いまの勢いはこれと何が違いましょうか。本末が逆さまになり、首尾が乱れ、国の制度は混乱して筋が通っていません。どうして治まっていると言えましょうか。陛下はどうか数日の間を命じ、私が前でじっくりそれを数え上げ、治安の策を述べることをお許しください。陛下は試しに選んでください。何も大きな害はないでしょう。

解説

『治安策』として知られる上疏の冒頭にあたる段です。痛惜すべきこと一、涙すべきこと二、長嘆息すべきこと六という数え方で、賈誼は自分が見ている問題の重さを示します。ここで特徴的なのは、周囲が「天下は安らかだ」と言う中で「臣独り未だ安からずと曰う」と言い切る態度です。火の上の積み薪に寝て、燃えていないから安心だとする例えは、問題が表に出ていないことと安全は別だという指摘です。経営でも、数字が出ていないだけで構造が崩れている場面があり、周囲に反対されても言うべき人が組織には必要です。

この章句が説くこと

治安策偸安積薪直言事勢新書

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