酔古堂剣掃 / 集峭・腸を翻し肚を倒にす
隨口利牙,不顧天荒地老;翻腸倒肚,那管鬼哭神愁。
新字:随口利牙,不顧天荒地老;翻腸倒肚,那管鬼哭神愁。
書き下し
口に隨ひ牙を利くし、天荒れ地老ゆるを顧みず;腸を翻し肚を倒にし、那ぞ鬼哭し神愁ふるを管せん。
現代語訳
口に任せて鋭い言葉を吐き、天が荒れ地が老いるのも顧みません。腹の底をすべてさらけ出して、鬼が泣き神が憂えるのも構いません。
解説
思いのたけを遠慮なく言い尽くす姿を、激しい誇張で描いた対句です。利牙は鋭い歯、転じて鋭い弁舌です。天荒地老は天地が荒れ果て老いるほどの長い時間や、世の大きな変わり目を言う言葉です。翻腸倒肚は腸をひっくり返し腹を逆さにするように、胸の内をすべてさらけ出すことです。鬼哭神愁は、鬼神さえ泣き憂えるほどの激しさを表します。集峭の序に言うように、武力を持たない書生が言葉で世を揺さぶろうとする意気込みが感じられます。ただし、言いたいことを言い尽くす爽快さの裏には、人を傷つける危うさもあります。本音を出すときこそ、何のために言うのかを見失わないようにしたいものです。
この章句が説くこと
直言本音気骨弁舌処世
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