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慎思録 / 巻之六

孔子迅雷風烈必變。玉藻曰。若有疾風迅雷甚雨。則必變。雖夜必興。衣冠而坐。變者改舊容也。所以敬天之怒也。臨危不懼。當義不愛其身。是君子處變之道。不可不如此。須於此能勇猛果敢。而奮發矣。若恐怖苟免。則雖平日有小廉曲謹。不足觀而已。葢臨大節不可奪。可爲君子人也。

新字:孔子迅雷風烈必変。玉藻曰。若有疾風迅雷甚雨。則必変。雖夜必興。衣冠而坐。変者改旧容也。所以敬天之怒也。臨危不懼。当義不愛其身。是君子処変之道。不可不如此。須於此能勇猛果敢。而奮発矣。若恐怖苟免。則雖平日有小廉曲謹。不足観而已。葢臨大節不可奪。可為君子人也。

書き下し

孔子は迅雷風烈には必ず変ず。玉藻に曰く、若し疾風迅雷甚雨有らば、則ち必ず変ず。夜と雖も必ず興き、衣冠して坐すと。変ずとは旧容を改むるなり。天の怒りを敬する所以なり。危きに臨みて懼れず、義に当たりて其の身を愛まず、是れ君子の変に処するの道なり。此くの如くならざるべからず。須らく此に於いて能く勇猛果敢にして、奮発すべし。若し恐怖して苟も免れんとせば、則ち平日小廉曲謹有りと雖も、観るに足らざるのみ。蓋し大節に臨みて奪ふべからざるは、君子人と為すべきなり。

現代語訳

孔子は激しい雷や烈しい風のときには、必ず顔つきを改めました。『礼記』玉藻篇には「もし疾風や激しい雷、大雨があれば、必ず顔つきを改める。夜であっても必ず起きて、衣冠を整えて座る」とあります。「変ず」とはふだんの様子を改めることで、天の怒りを敬うためです。危機に臨んで恐れず、義に当たってはその身を惜しまない。これが君子の非常時に処する道で、このようでなければなりません。ここでこそ勇猛果敢に奮い立つべきです。もし恐れおののいてその場しのぎに免れようとするなら、ふだん小さな清廉さや細かな慎み深さがあっても、見るに足りません。思うに大きな節義に臨んで奪えないものを持つ人こそ、君子の人とすべきです。

解説

雷や嵐のとき孔子が姿勢を改めたこと(『論語』郷党篇)から始め、非常時にこそ君子の真価が問われると説く条です。「大節に臨みて奪ふべからず、君子人か」は『論語』泰伯篇の曾子の言葉です。天の怒りを敬う慎みと、危機に身を惜しまない勇とは、ともに非常時にふさわしい態度として並べられています。ふだん几帳面で礼儀正しい人でも、いざというとき逃げれば評価は崩れます。本当の人柄は、平時ではなく危機のときに現れます。

この章句が説くこと

大節論語危機

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