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慎思録 / 巻之六

冬氣閉藏者。乃所以成終而兼成始也。葢春生夏長秋收。三時各有所爲也。至於冬。則功成事遂。而無所爲者。是所以成往歲之功也。且閉藏之中。含蓄於生意者。乃所以爲來春生物之始也。譬諸穀實。其成熟者。所以成功也。其中有生性者。所以含來春發生之氣也。

新字:冬気閉蔵者。乃所以成終而兼成始也。葢春生夏長秋収。三時各有所為也。至於冬。則功成事遂。而無所為者。是所以成往歳之功也。且閉蔵之中。含蓄於生意者。乃所以為来春生物之始也。譬諸穀実。其成熟者。所以成功也。其中有生性者。所以含来春発生之気也。

書き下し

冬気の閉蔵する者は、乃ち終はりを成して兼ねて始めを成す所以なり。蓋し春生じ夏長じ秋収め、三時は各為す所有り。冬に至りては、則ち功成り事遂げて、為す所無き者、是れ往歳の功を成す所以なり。且つ閉蔵の中、生意を含蓄する者は、乃ち来春物を生ずるの始めと為る所以なり。諸を穀実に譬ふれば、其の成熟する者は、功を成す所以なり。其の中に生性有る者は、来春発生の気を含む所以なり。

現代語訳

冬の気が閉じ蔵めるのは、終わりを成すとともに始めをも成すためです。思うに春に生じ、夏に伸び、秋に収めて、三つの季節にはそれぞれなすことがあります。冬になると働きが成り事が遂げられて、なすことがありません。これが過ぎた一年の働きを完成させるゆえんです。また閉じ蔵めた中に生きる力を含み蓄えていることが、来春に物を生じる始まりとなるゆえんです。穀物の実に譬えれば、熟したことは働きを完成させたことであり、その中に芽を出す性質があることは、来春に生じ発する気を含んでいることです。

解説

前条を受けて、冬の閉蔵が一年の終わりの完成と来春の始まりを兼ねることを、穀物の実に譬えて説いた条です。熟した実は収穫という成果であると同時に、次の芽を宿す種でもあります。益軒は本草学者として農作物を詳しく観察し、『大和本草』や『花譜』『菜譜』を著しました。何もしていないように見える冬こそ、次の成長を蓄える時期です。休養や準備の期間を無駄と思わず、力を蓄える大切な季節と捉える見方を教えてくれます。

この章句が説くこと

閉蔵循環天道

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