師導古典を学びたいすべての人に

慎思録 / 巻之四

自衒自矜者。貪名之事。而又喪名之基也。務實自謙者。忘名之事。而又得名之基也。葢務實者。雖或不速得於一時之美譽。久而自著矣。譬如植木之有根本。而枝葉自生也。務外者。雖或忽得一旦之浮名。久而自息矣。譬如潢潦之無根源而漸涸也。故貪名者却喪名。愚之甚也。

新字:自衒自矜者。貪名之事。而又喪名之基也。務実自謙者。忘名之事。而又得名之基也。葢務実者。雖或不速得於一時之美誉。久而自著矣。譬如植木之有根本。而枝葉自生也。務外者。雖或忽得一旦之浮名。久而自息矣。譬如潢潦之無根源而漸涸也。故貪名者却喪名。愚之甚也。

書き下し

自ら衒ひ自ら矜る者は、名を貪るの事にして、又名を喪ふの基なり。実を務め自ら謙る者は、名を忘るるの事にして、又名を得るの基なり。蓋し実を務むる者は、或いは一時の美誉を速やかに得ずと雖も、久しくして自ら著る。譬へば木を植うるに根本有りて、枝葉自ら生ずるが如し。外を務むる者は、或いは忽ち一旦の浮名を得と雖も、久しくして自ら息む。譬へば潢潦の根源無くして漸く涸るるが如し。故に名を貪る者は却つて名を喪ふ。愚の甚だしきなり。

現代語訳

自分をひけらかし自分を誇る者は、名を貪ることをしており、それはまた名を失うもとです。実質に務めて自らへりくだる者は、名を忘れることをしており、それはまた名を得るもとです。実質に務める者は、一時の評判をすぐには得られなくても、長い間にはおのずから知られるようになります。木を植えれば根があって、枝や葉がおのずから生えてくるようなものです。外見に務める者は、ふいに一時の浮ついた評判を得ても、長い間にはおのずから消えてしまいます。溜まり水に源がなく、しだいに涸れていくようなものです。ですから名を貪る者はかえって名を失います。はなはだ愚かなことです。

解説

名声を求める者はかえって名声を失い、実質に務めて謙虚な者は結局名声を得る、という逆説を説いた条です。根のある木と源のない溜まり水のたとえは、『孟子』離婁下の「源泉混混として昼夜を舎かず」の対比を思わせます。自己宣伝で得た評判は一時のもので、地道な実力の積み重ねこそが長く残る信用になるという教えは、発信力が重視される現代にあっても変わらない真理でしょう。見せ方に力を注ぐ前に、まず根となる実質を育てることの大切さを考えさせます。

この章句が説くこと

謙虚評判

関連する章句

この一句を、あなたの毎日に。

古典の教えを、今の状況に当てはめて考えてみる——師導があなたの学びと選択を支えます。

師導で古典を学ぶ
いま登録すると、7日間すべての機能を無料でお試しいただけます。 無料ではじめる