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慎思録 / 巻之四

時勢之不幸。不能巧免。方此時。亦無可奈何。唯有修己愼言。安命自寛之工夫而已。苟諂祈神佛。諛索權家。可謂失守。是不知命也。

新字:時勢之不幸。不能巧免。方此時。亦無可奈何。唯有修己慎言。安命自寛之工夫而已。苟諂祈神仏。諛索権家。可謂失守。是不知命也。

書き下し

時勢の不幸は、巧みに免るること能はず。此の時に方りては、亦た奈何ともすべき無し。唯だ己を修め言を慎み、命に安んじ自ら寛くするの工夫有るのみ。苟も神仏に諂ひ祈り、権家に諛ひ索むれば、守りを失ふと謂ふべし。是れ命を知らざるなり。

現代語訳

時勢の不運は、うまく逃れることはできません。そういう時には、どうしようもありません。ただ自分を修め、言葉を慎み、天命に安んじて心をゆったりさせる工夫があるだけです。もし神仏にへつらって祈ったり、権力者にこびて助けを求めたりすれば、自分の守るべきものを失ったと言うべきです。これは命を知らないということです。

解説

時代の巡り合わせによる不運にどう向き合うかを説いた短い条です。益軒は、逃れられない不運に際しては、自分を修め、言葉を慎み、天命に安んじるしかないと言います。神仏に都合のよい祈りをしたり、権力者にすり寄ったりするのは、守るべき節を失うことだと戒めます。『論語』堯曰篇の「命を知らざれば、以て君子為ること無し」に通じる考えです。自分ではどうにもならない状況で焦って筋の悪い手を打たず、自分にできることに集中するという態度は、逆境を乗り切る知恵になります。

この章句が説くこと

修身逆境安命

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