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後世への最大遺物 / 第二回・邪魔があるほど事業は大きい

たびたびこういうような考えは起りませぬか。もし私に家族の関係がなかったならば私にも大事業ができたであろう、あるいはもし私に金があって大学を卒業し欧米へ行って知識を磨いてきたならば私にも大事業ができたであろう、もし私に良い友人があったならば大事業ができたであろう、こういう考えは人々に実際起る考えであります。しかれども種々の不幸に打ち勝つことによって大事業というものができる、それが大事業であります。それゆえにわれわれがこの考えをもってみますと、われわれに邪魔のあるのはもっとも愉快なことであります。邪魔があればあるほどわれわれの事業ができる。勇ましい生涯と事業を後世に遺すことができる。とにかく反対があればあるほど面白い。

書き下し

たびたびこういうような考えは起りませぬか。もし私に家族の関係がなかったならば、私にも大事業ができたであろう、あるいは、もし私に金があって大学を卒業し、欧米へ行って知識を磨いてきたならば、私にも大事業ができたであろう、もし私に良い友人があったならば大事業ができたであろう、こういう考えは人々に実際起る考えであります。しかれども、種々の不幸に打ち勝つことによって大事業というものができる、それが大事業であります。それゆえに、われわれがこの考えをもってみますと、われわれに邪魔のあるのはもっとも愉快なことであります。邪魔があればあるほど、われわれの事業ができる。勇ましい生涯と事業を後世に遺すことができる。とにかく反対があればあるほど面白い。

現代語訳

たびたびこういう考えが起こりませんか。もし自分に家族のしがらみがなかったら、自分にも大事業ができただろう。もし自分に金があって大学を卒業し、欧米へ行って知識を磨いてきたなら、自分にも大事業ができただろう。もし自分によい友人がいたら大事業ができただろう。こういう考えは実際に人に起こる考えです。しかし、さまざまな不幸に打ち勝つことによって大事業というものができる。それが大事業なのです。ですからこの考えで見れば、私たちに邪魔があるのはもっとも愉快なことです。邪魔があればあるほど、私たちの事業ができる。勇ましい生涯と事業を後世に遺すことができる。とにかく反対があればあるほど面白い。

解説

条件が揃わないという嘆きを、内村は逆さまにします。不幸に打ち勝つことが大事業なのだから、邪魔は材料だ、と。この理屈でいくと、条件が揃った人ほど遺せるものが小さいことになります。ここまで、金にも事業にも文学にも教育にも関門があると認めてきましたが、その関門そのものが最後の答えの材料に変わる。言い訳の材料を一つずつ潰していく、この講演の最後の仕上げです。

この章句が説くこと

逆境言い訳条件事業転換

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この一句を、あなたの毎日に。

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