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慎思録 / 巻之二

爲子孫惜福者。言吾身幸。而多福者。須減其福而不受盡。如此則子孫亦庶幾自可受其餘福而巳。苟吾身一旦咸受盡了。則無餘福之可遺于子孫。天道虧盈而益謙。吾身福盈。則恐其覆敗亦不可測。况無餘福之可以遠及于子孫乎。

新字:為子孫惜福者。言吾身幸。而多福者。須減其福而不受尽。如此則子孫亦庶幾自可受其余福而巳。苟吾身一旦咸受尽了。則無余福之可遺于子孫。天道虧盈而益謙。吾身福盈。則恐其覆敗亦不可測。況無余福之可以遠及于子孫乎。

書き下し

子孫の為に福を惜しむとは、吾が身幸ひにして福多き者は、須らく其の福を減じて受け尽くさざるべきを言ふ。此くの如くなれば則ち子孫も亦た庶幾はくは自ら其の余福を受くべきのみ。苟も吾が身一旦咸く受け尽くし了らば、則ち余福の子孫に遺すべき無し。天道は盈てるを虧きて謙に益す。吾が身の福盈つれば、則ち恐らくは其の覆敗も亦た測るべからず。況んや余福の以て遠く子孫に及ぶべき無きをや。

現代語訳

「子孫のために福を惜しむ」とは、自分が幸いにも福が多いなら、その福を減らして受け尽くさないようにすべきだということです。そうすれば子孫もまた、おのずとその余った福を受けられるでしょう。もし自分が一度にすべて受け尽くしてしまえば、子孫に残す余りの福はありません。天の道は満ちたものを欠けさせ、へりくだったものを増します。自分の福が満ちれば、おそらくその転覆や失敗も測りがたいでしょう。まして子孫に遠く及ぶ余りの福などあるはずがありません。

解説

福は受け尽くさず、余りを子孫に残せ、という「惜福」の教えです。「天道は盈を虧きて謙に益す」は『易経』謙卦の彖伝の言葉です。惜福は益軒が繰り返し説いたテーマで、『養生訓』にも欲を控えて福を長く保つ考えが見えます。成功した時こそ使い切らず、次の世代や組織に余力を残す、という発想は、会社の内部留保や後継者の育成、資源の使い方にも通じます。満ちた時こそ危うい、という感覚を持つことを教えてくれます。

この章句が説くこと

惜福子孫天道余福

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