慎思録 / 巻之一
事務雖多。不可急迫。急迫。則不能思慮周詳。且動作草率。而不過者少矣。故凡事緩則得。忙則失。學者須知其要。而務守之。所謂知其要者。一言而盡矣。殆非虛言矣。葢爲學之要。在立志。心術之要。在主忠信。躬行之要。在篤敬。讀書之要。在精熟。進學之要。在致知。克己之要。在勇猛。免禍之要。在愼言。葢知其要而守之。則用力專一。而得效多矣。苟不知其要。雖泛求之。難爲功。故程子曰。所守不約。泛濫而無功。
新字:事務雖多。不可急迫。急迫。則不能思慮周詳。且動作草率。而不過者少矣。故凡事緩則得。忙則失。学者須知其要。而務守之。所謂知其要者。一言而尽矣。殆非虚言矣。葢為学之要。在立志。心術之要。在主忠信。躬行之要。在篤敬。読書之要。在精熟。進学之要。在致知。克己之要。在勇猛。免禍之要。在慎言。葢知其要而守之。則用力専一。而得効多矣。苟不知其要。雖泛求之。難為功。故程子曰。所守不約。泛濫而無功。
書き下し
事務多しと雖も、急迫すべからず。急迫すれば、則ち思慮周詳なること能はず。且つ動作草率にして、過たざる者少し。故に凡そ事は緩なれば則ち得、忙なれば則ち失ふ。学者須らく其の要を知りて、務めて之を守るべし。所謂其の要を知る者は、一言にして尽くと。殆ど虚言に非ず。蓋し学を為すの要は、志を立つるに在り。心術の要は、忠信を主とするに在り。躬行の要は、篤敬に在り。読書の要は、精熟に在り。進学の要は、致知に在り。克己の要は、勇猛に在り。禍を免るるの要は、言を慎むに在り。蓋し其の要を知りて之を守れば、則ち力を用ふること専一にして、効を得ること多し。苟も其の要を知らざれば、泛く之を求むと雖も、功を為し難し。故に程子曰く、守る所約ならざれば、泛濫して功無しと。
現代語訳
仕事が多くても、慌ててはいけません。慌てれば、考えが行き届かず、しかも動作が雑になって、誤らないことは少ないのです。だから、およそ物事は、ゆったりしていれば得られ、忙しくしていれば失います。学ぶ者は、その要を知って、努めてそれを守らなければなりません。いわゆる「要を知る者は一言で尽くせる」というのは、決して空言ではありません。学問の要は志を立てることにあり、心の持ち方の要は忠信を主とすることにあり、身の行いの要は篤く敬うことにあり、読書の要は精しく熟すことにあり、学問を進める要は知を極めることにあり、己に克つ要は勇猛にあり、禍を免れる要は言葉を慎むことにあります。要を知って守れば、力の用い方が専一になり、得る効果が多いのです。要を知らなければ、広く求めても成果を上げにくいのです。だから程子は「守るところが簡約でなければ、広がりすぎて成果がない」と言いました。
解説
この章句が説くこと
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