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慎思録 / 巻之一

道理本自廣大。其粗淺處。雖愚夫愚婦。可以與知焉。其精深處。非知者。則不能通徹矣。苟欲知慮精明。雖天資聰敏之人。亦非有寡慾養心之助。則不能也。

新字:道理本自広大。其粗浅処。雖愚夫愚婦。可以与知焉。其精深処。非知者。則不能通徹矣。苟欲知慮精明。雖天資聰敏之人。亦非有寡慾養心之助。則不能也。

書き下し

道理は本自ら広大なり。其の粗浅なる処は、愚夫愚婦と雖も、以て与に知るべし。其の精深なる処は、知者に非ざれば、則ち通徹すること能はず。苟も知慮精明ならんと欲せば、天資聡敏の人と雖も、亦寡欲養心の助け有るに非ざれば、則ち能はざるなり。

現代語訳

道理はもともと広大なものです。その粗く浅いところは、愚かな男女でも共に知ることができます。その精しく深いところは、知者でなければ通じ尽くすことはできません。もし知恵と思慮を精密で明らかにしたいなら、生まれつき聡明な人であっても、欲を少なくして心を養う助けがなければ、それはできません。

解説

深い理解には頭の良さだけでなく、欲を減らし心を養うことが必要だと説いた条です。「心を養ふは寡欲より善きは莫し」は『孟子』尽心下篇の言葉で、益軒はこれを知の働きと結びつけています。欲が多いと心が曇り、物事を正しく見られなくなるという考えは、朱子学に一貫しています。才能ある人ほど、名誉や利益への欲で判断が曇ることがあります。落ち着いた心で考える時間を持つことが、鋭い洞察を生む土台になると教えてくれる一条です。

この章句が説くこと

寡欲養心道理孟子

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