新論 / 長計
從茲而後、 列聖相承、據基業以服荒俗、土疆日廣、海外有截、降及 元正朝、亦嘗遣使靺鞨、觀省風土、亦猶未忘遠略也、〈養老中、遣度島津輕津司諸君鞍男、〉 神聖觀於大勢、以經略天下、規模宏遠、奕世遵奉、餘烈猶存者如此、則 神聖志氣所蓋者、亦可見也、〈唐堯之開基業、先命羲和、居四方極遠之地、而暦象日月星辰、以授人時、既經緯天地、極其遠大、然後舜禹諸臣之功、次第而施之、非先審其大勢則不能也、周禮天官首以六典總制邦國官府萬民、天覆之也、地官首掌天下土地之圖人民之數、地載之也、周公之營洛邑、初至其地、用牲于郊者、最先於百事、所以天覆萬姓者、最宜先也、漢祖入秦、先收圖籍、遂得以審地形而蹙項籍之勢、所以觀於大勢而決進取之策者、宜急也、〉
新字:従茲而後、 列聖相承、拠基業以服荒俗、土疆日広、海外有截、降及 元正朝、亦嘗遣使靺鞨、観省風土、亦猶未忘遠略也、〈養老中、遣度島津軽津司諸君鞍男、〉 神聖観於大勢、以経略天下、規模宏遠、奕世遵奉、余烈猶存者如此、則 神聖志気所蓋者、亦可見也、〈唐堯之開基業、先命羲和、居四方極遠之地、而暦象日月星辰、以授人時、既経緯天地、極其遠大、然後舜禹諸臣之功、次第而施之、非先審其大勢則不能也、周礼天官首以六典総制邦国官府万民、天覆之也、地官首掌天下土地之図人民之数、地載之也、周公之営洛邑、初至其地、用牲于郊者、最先於百事、所以天覆万姓者、最宜先也、漢祖入秦、先収図籍、遂得以審地形而蹙項籍之勢、所以観於大勢而決進取之策者、宜急也、〉
書き下し
茲より後、列聖相承け、基業に拠りて以て荒俗を服し、土疆日に広く、海外截たる有り。降りて元正朝に及ぶまで、亦嘗て使を靺鞨に遣はし、風土を観省せしむ。亦猶ほ未だ遠略を忘れざるなり。(養老中、渡嶋津軽津司諸君鞍男を遣はす。)神聖大勢を観て、以て天下を経略し、規模宏遠にして、奕世遵奉し、余烈猶ほ存する者此くの如くなれば、則ち神聖の志気の蓋ふ所の者も、亦見るべきなり。(唐堯の基業を開くや、先づ羲和に命じ、四方極遠の地に居りて、日月星辰を暦象し、以て人時を授けしむ。既に天地を経緯し、其の遠大を極めて、然る後舜禹諸臣の功、次第にして之を施す。先づ其の大勢を審らかにするに非ざれば則ち能はざるなり。周礼の天官は首めに六典を以て邦国官府万民を総制す、天の之を覆ふなり。地官は首めに天下の土地の図、人民の数を掌る、地の之を載するなり。周公の洛邑を営むや、初め其の地に至り、牲を郊に用ゐたるは、百事に最も先んず。天の万姓を覆ふ所以の者、最も宜しく先にすべければなり。漢祖秦に入るや、先づ図籍を収め、遂に以て地形を審らかにして項籍の勢を蹙むるを得たり。大勢を観て進取の策を決する所以の者、宜しく急にすべきなり。)
現代語訳
それ以後、歴代の天皇が受け継ぎ、築かれた基盤に拠って未開の風俗を服従させ、国土は日に日に広がり、海外も整えられた。下って元正天皇の時代に至るまで、靺鞨(大陸東北の民)に使者を遣わし、その風土を視察させたこともあった。なお遠方への策略を忘れていなかったのである。(養老年間に、渡嶋津軽津司の諸君鞍男を遣わした。)神々や聖なる天皇たちが大きな形勢を見て天下を治め開き、その構想は広大で遠大であり、代々守り継がれ、その遺した功績がなお残っていることがこのとおりであるから、その志がどれほど広く及んでいたかもわかる。(唐堯が基業を開いたとき、まず羲氏・和氏に命じて四方の最も遠い地に住まわせ、日月星辰の運行を観測して暦を作り、人々に季節を授けさせた。天地を縦横に治め、その遠大さを極めたうえで、舜や禹ら臣下の功業を順序立てて施した。まず大きな形勢を詳しく知らなければできないことである。『周礼』の天官はまず六典によって諸国・官府・万民をまとめて治める。天がすべてを覆うようにである。地官はまず天下の土地の地図と人民の数を掌る。地がすべてを載せるようにである。周公が洛邑を造営したとき、まずその地に行って郊外で犠牲をささげて天を祭ったのは、あらゆる事に先立った。天が万民を覆うことが、最も先にすべきことだからである。漢の高祖(劉邦)が秦に入ると、まず地図と戸籍を収め、それによって地形を詳しく知り、項籍(項羽)の勢いを追い詰めることができた。大きな形勢を見て進み取る策を決めることは、急ぐべきなのである。)
解説
この章句が説くこと
関連する章句
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『墨子』尚同下子墨子言いて曰く、「知者の事は、必ず國家百姓の治まる所以の者を計りて之を為し、必ず國家百姓の亂るる所以の者を計りて之を辟く。然らば國家百姓の治まる所以の者を計るに何ぞや。上の政を為すや、下の情を得れば則ち治まり、下の情を得ざれば則ち亂る。何を以て其の然るを知るや。上の政を為すや、下の情を得れば、則ち是れ民の善非に明らかなり。茍くも民の善非に明らかなるが若くんば、則ち善人を得て之を賞し、暴人を得て之を罰するなり。善人賞せられて暴人罰せらるれば、則ち國必ず治まる。上の政を為すや、下の情を得ざれば、則ち是れ民の善非に明らかならず。若し茍くも民の善非に明らかならずんば、則ち是れ善人を得て之を賞せず、暴人を得て之を罰せず。善人賞せられずして暴人罰せられず、政を為すこと此くの若くんば、國衆必ず亂る。故に賞は下の情を得ざれば、而ち察せざる可からざる者なり」と。
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『墨子』尚同中故に古者、聖王は唯だ壹に尚同を以て正長と為す。是れ上下、請謁して通を為す。上に隠事遺利有れば、下、得て之を利し、下に蓄怨積害有れば、上、得て之を除く。是を以て數千萬里の外に善を為す者有れば、其の室人未だ徧く知らず、鄉里未だ徧く聞かざるに、天子、得て之を賞す。數千萬里の外に不善を為す者有れば、其の室人未だ徧く知らず、郷里未だ徧く聞かざるに、天子、得て之を罰す。是を以て天下の人を舉げて皆な恐懼振動惕慄して、敢えて淫暴を為さず、曰く、「天子の視聴や神なり」と。先王の言に曰く、「神に非ざるなり。夫れ唯だ能く人の耳目をして己が視聴を助けしめ、人の吻をして己が言談を助けしめ、人の心をして己が思慮を助けしめ、人の股肱をして己が動作を助けしむればなり」と。之を視聴するを助くる者衆ければ、則ち其の聞見する所の者は逺し。之を言談するを助くる者衆ければ、則ち其の徳音の撫循する所の者は博し。之を思慮するを助くる者衆ければ、則ち其の謀慮は速やかに得らる。之を動作するを助くる者衆ければ、則ち其の事を舉ぐること速やかに成る。
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孫子・九地篇能く士卒の耳目を愚にして、之をして知ること無からしむ。其の事を易え、其の謀を革めて、人をして識ること無からしむ。其の居を易え、其の途を迂にして、人をして慮ることを得ざらしむ。
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孫子・用間篇相守ること数年、以て一日の勝を争う。而るに爵禄百金を愛しみて、敵の情を知らざる者は、不仁の至りなり。人の将に非ざるなり、主の佐に非ざるなり、勝の主に非ざるなり。
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孫子・用間篇先知は、鬼神に取るべからず、事に象るべからず、度に験すべからず、必ず人に取り、敵の情を知る者なり。
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『墨子』尚同下是の故に古の聖王の天下を治むるや、千里の外に賢人有り、其の鄉里の人、皆な未だ之を均しく聞き見ざるに、聖王、得て之を賞す。千里の外に暴人有り、其の鄉里、未だ之を均しく見ざるに、聖王、得て之を罰す。故に唯だ聖王を以て耳聡く目明らかなりと為す毋からんや。豈に能く一たび視て千里の外を通見せんや、一たび聴きて千里の外を通聞せんや。聖王は往きて視るにあらざるなり、就きて聴くにあらざるなり。然れども天下の冦亂盜賊を為す者をして、天下を周流するも足を重ぬる所無からしむるは、何ぞや。其の尚同を以て政を為すこと善ければなり。
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