墨子 / 號令
守樓臨質宫而善周,必宻塗樓,令下無見上,上見下,下無知上有人無人。守之所親舉吏貞亷忠信、無害可任事者,其飲食酒肉勿禁,錢金、布帛、財物各自守之,慎勿相盜。葆宫之牆必三重,牆之垣,守者皆累瓦釜牆上。門有吏,主者門里,筦閉必須太守之節。葆衛必取戍卒有重厚者,請擇吏之忠信者、無害可任事者。令将衛自築十尺之垣,周還牆。門、閨者,非令衛司馬門。望氣者舍必近太守,巫舍必近公社,必敬神之。巫、祝、史與望氣者必以善言告民,以請報守上,守獨知其請而已。無與望氣妄為不善言驚恐民,斷勿赦。
新字:守楼臨質宮而善周,必密塗楼,令下無見上,上見下,下無知上有人無人。守之所親舉吏貞廉忠信、無害可任事者,其飲食酒肉勿禁,銭金、布帛、財物各自守之,慎勿相盗。葆宮之牆必三重,牆之垣,守者皆累瓦釜牆上。門有吏,主者門里,筦閉必須太守之節。葆衛必取戍卒有重厚者,請択吏之忠信者、無害可任事者。令将衛自築十尺之垣,周還牆。門、閨者,非令衛司馬門。望気者舎必近太守,巫舎必近公社,必敬神之。巫、祝、史与望気者必以善言告民,以請報守上,守独知其請而已。無与望気妄為不善言驚恐民,断勿赦。
書き下し
守樓は質宫に臨みて善く周し、必ず宻に樓を塗り、下をして上を見る無く、上は下を見、下は上に人有ると人無きとを知る無からしむ。守の親しく舉ぐる所の吏の貞亷忠信にして害無く事に任ず可き者は、其の飲食酒肉、禁ずる勿かれ。錢金・布帛・財物は各おの自ら之を守り、慎んで相い盜む勿かれ。葆宫の牆は必ず三重、牆の垣、守る者、皆な瓦釜を牆上に累ぬ。門に吏有り、門里を主る者、筦閉には必ず太守の節を須つ。葆衛には必ず戍卒の重厚なる者を取り、吏の忠信なる者、害無く事に任ず可き者を擇ぶを請う。将衛をして自ら十尺の垣を築き、周く牆を還らしむ。門・閨なる者は、令衛の司馬門に非ず。氣を望む者の舍は必ず太守に近くし、巫の舍は必ず公社に近くし、必ず之を敬神す。巫・祝・史と氣を望む者とは、必ず善言を以て民に告げ、請を以て守上に報じ、守、獨り其の請を知るのみ。氣を望むに與らずして妄りに不善の言を為して民を驚恐せしむれば、斷じて赦す勿かれ。
現代語訳
守りの楼は人質の館に臨んでよく巡らせ、必ず楼を塗り込めて、下から上が見えず、上からは下が見え、下からは上に人がいるかいないか分からないようにする。守将が親しく取り立てた役人で、正直で清廉で忠信、害が無く任に堪える者には、飲食も酒肉も禁じない。銭も金も布も財物もそれぞれ自分で守り、慎んで盗み合ってはならない。人質の館の塀は必ず三重、塀の垣には、守る者がみな瓦や釜を積み上げる。門には役人がいて、門の内を管理する者は、開け閉めに必ず太守の割り符を待つ。守衛には必ず守備兵の重厚な者を取り、役人の忠信な者、害が無く任に堪える者を選ぶ。将の衛兵に自分で十尺の垣を築かせ、ぐるりと塀を巡らせる。門と小門は、令の衛兵の司馬門ではない。気を望み見る者の住まいは必ず太守の近くに置き、巫女の住まいは必ず公の社の近くに置き、必ず敬って神として扱う。巫女も祝も史も気を望み見る者も、必ず善い言葉を民に告げ、実情は守将に報告し、守将だけがその実情を知る。気を望み見る役でもないのに、みだりに悪い言葉を並べて民を驚かせ恐れさせれば、裁いて赦さない。
解説
この章句が説くこと
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孫子・九地篇能く士卒の耳目を愚にして、之をして知ること無からしむ。其の事を易え、其の謀を革めて、人をして識ること無からしむ。其の居を易え、其の途を迂にして、人をして慮ることを得ざらしむ。
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『墨子』尚同下是の故に古の聖王の天下を治むるや、千里の外に賢人有り、其の鄉里の人、皆な未だ之を均しく聞き見ざるに、聖王、得て之を賞す。千里の外に暴人有り、其の鄉里、未だ之を均しく見ざるに、聖王、得て之を罰す。故に唯だ聖王を以て耳聡く目明らかなりと為す毋からんや。豈に能く一たび視て千里の外を通見せんや、一たび聴きて千里の外を通聞せんや。聖王は往きて視るにあらざるなり、就きて聴くにあらざるなり。然れども天下の冦亂盜賊を為す者をして、天下を周流するも足を重ぬる所無からしむるは、何ぞや。其の尚同を以て政を為すこと善ければなり。
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言志四録・言志晩録 第百十八条 崎人の話余往年崎に遊び、崎人の話を聞く。曰く、「漢土に不逞の徒有り、多く満州に出奔し、満より再び蕃舶に投ず。故に蕃舶の中往往漢人有りて、之が耳目と為る。憎むべきの甚しきなり。今漢満一家にして、関門厳ならず。奈何ともすべからず」と。此の話徒に聞くべきに非ず。

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