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政談 / 金銀錢員數減少する仔細の事

此等のたぐひ、其外世間にある無用の銅器を鑄つぶし、錢を鑄は如何程も出來し、夫にて世界の困窮を救はゝ佛の慈悲心に叶ふべし、但し俗人の取捌きにて寺々の鐘を取りあくること愚かなる人の人情にさかふへけれは、智德ある高僧に御相談ありて、敎化させて其うへにて、屹としたる寺の鐘樓もあり、鐘をもつく用事のある寺はかりを遺し置きて、其外の小寺小院の鐘を悉く錢に鑄させ、その鐘を其の寺々に之を下され寺の修理に用ひたきことなり、

新字:此等のたぐひ、其外世間にある無用の銅器を鋳つぶし、銭を鋳は如何程も出来し、夫にて世界の困窮を救はゝ仏の慈悲心に叶ふべし、但し俗人の取捌きにて寺々の鐘を取りあくること愚かなる人の人情にさかふへけれは、智徳ある高僧に御相談ありて、教化させて其うへにて、屹としたる寺の鐘楼もあり、鐘をもつく用事のある寺はかりを遺し置きて、其外の小寺小院の鐘を悉く銭に鋳させ、その鐘を其の寺々に之を下され寺の修理に用ひたきことなり、

書き下し

此等のたぐひ、其外世間にある無用の銅器を鋳つぶし、銭を鋳は如何程も出来し、夫にて世界の困窮を救はゝ仏の慈悲心に叶ふべし、但し俗人の取捌きにて寺々の鐘を取りあくること愚かなる人の人情にさかふへけれは、智徳ある高僧に御相談ありて、教化させて其うへにて、屹としたる寺の鐘楼もあり、鐘をもつく用事のある寺はかりを遺し置きて、其外の小寺小院の鐘を悉く銭に鋳させ、その鐘を其の寺々に之を下され寺の修理に用ひたきことなり、

現代語訳

これらの類や、そのほか世間にある無用の銅器を鋳つぶして銭を鋳れば、いくらでもできるであろう。それで世の中の困窮を救えば、仏の慈悲心にかなうであろう。ただし俗人の取りさばきで寺々の鐘を取り上げることは、愚かな人の人情に逆らうであろうから、知徳ある高僧にご相談になり、教え導かせたうえで、しっかりした寺で鐘楼もあり鐘を撞く用事もある寺だけを残しておいて、そのほかの小さな寺院の鐘をことごとく銭に鋳させ、その銭をその寺々に下されて寺の修理に用いさせたいことである。

解説

徂徠は無用の鐘や銅器を鋳つぶして銭にし、世の困窮を救えば仏の慈悲にかなうと説く。ただ俗人が力ずくで取り上げれば人情に逆らうので、知徳ある高僧に相談して教化させ、本当に鐘を使う寺だけ残し、鋳た銭はその寺の修理に回すという。資源の再配分にあたって、権威ある第三者を立て、相手の利益にも配慮する手順まで設計している。現代の事業整理や遊休資産の活用でも、理屈の正しさだけで押し切らず、納得を得る段取りと見返りを用意することが成否を分ける。

この章句が説くこと

資源銭寺院合意再配分慈悲

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