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新論 / 國體下

古者大嘗之祭、與天下共其誠敬、新穀已熟、必用以報於 天神、然後與天下嘗之、而天下皆知所食之粟即是 天神所頒之種也、於是乎畏天命而盡地力、人心與天地一、而同受其富、所以與天地無間也、然創業之世、治化猶未洽、而朝政時有盛衰、人或自私其富、 天智天皇革除積弊、令天下廢私地私儲、與天下同其富、至大寶而制度大備矣、

新字:古者大嘗之祭、与天下共其誠敬、新穀已熟、必用以報於 天神、然後与天下嘗之、而天下皆知所食之粟即是 天神所頒之種也、於是乎畏天命而尽地力、人心与天地一、而同受其富、所以与天地無間也、然創業之世、治化猶未洽、而朝政時有盛衰、人或自私其富、 天智天皇革除積弊、令天下廃私地私儲、与天下同其富、至大宝而制度大備矣、

書き下し

古者大嘗の祭、天下と其の誠敬を共にす。新穀已に熟すれば、必ず用ゐて以て天神に報じ、然る後天下と之を嘗む。而して天下皆食ふ所の粟は即ち是れ天神の頒ちたまふ所の種なるを知る。是に於てか天命を畏れて地力を尽くし、人心天地と一にして、同じく其の富を受く。天地と間無き所以なり。然れども創業の世、治化猶未だ洽からずして、朝政時に盛衰有り、人或いは自ら其の富を私す。天智天皇積弊を革除し、天下をして私地私儲を廃せしめ、天下と其の富を同じくし、大宝に至りて制度大いに備はる。

現代語訳

古くは大嘗祭において、天下とその誠と敬いを共にした。新しい穀物が実ると、必ずそれを天神に奉って報い、その後で天下とともに味わった。こうして天下の人々は皆、自分の食べる穀物が天神の分け与えられた種であることを知っていた。そこで天命を畏れて地力を尽くし、人の心は天地と一つになって、ともにその富を受けた。天地との間に隔たりがなかったのである。しかし創業の時代には、まだ治めと教化が行きわたらず、朝廷の政治にも時に盛衰があり、人によっては富を私物化することもあった。天智天皇は積もった弊害を取り除き、天下に私有地や私的な蓄えをやめさせ、天下と富を共にされ、大宝の時代に至って制度が大いに整った。

解説

正志斎は大嘗祭を、天皇が新穀を天神に報じて天下と共に嘗める祭りとして描き、そこに民が天命を畏れて地力を尽くす経済の倫理的な根を見る。天智天皇が私地私儲を廃し、大宝に至って制度が整ったという叙述は、大化改新の公地公民から大宝律令への流れを指すものである。祭祀と経済を結びつけるのは祭政一致を説く正志斎の特色である。現代に移せば、富を生み出す営みに感謝と責任の感覚が伴うとき、人は持てる力を尽くし、富を私物化しにくくなるという示唆として受けとめられる。

この章句が説くこと

祭祀大嘗祭富国公地経済新論

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