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新論 / 國體中

然事逐時變革者、天下之常勢、而如兵制、其變不一、古者用來目物部之兵、而參以民兵、國造縣主、亦各有兵、以保民社、國家立制之初、大約如之、而一變爲軍團、再變爲募兵、於是乎兵皆世業、號爲弓馬之家、而兵農之分、始起於此矣、及天下爲戰國、而英雄割據、遂成封建之勢、兵制亦隨而變、此其大略也、兵制屢變矣、如論其大勢、則亦其變者三、

新字:然事逐時変革者、天下之常勢、而如兵制、其変不一、古者用来目物部之兵、而参以民兵、国造県主、亦各有兵、以保民社、国家立制之初、大約如之、而一変為軍団、再変為募兵、於是乎兵皆世業、号為弓馬之家、而兵農之分、始起於此矣、及天下為戦国、而英雄割拠、遂成封建之勢、兵制亦随而変、此其大略也、兵制屡変矣、如論其大勢、則亦其変者三、

書き下し

然れども事の時を逐ひて変革するは、天下の常勢なり。兵制の如きは、其の変一ならず。古者来目・物部の兵を用ゐて、参ふるに民兵を以てし、国造・県主も亦各兵有りて、以て民社を保つ。国家制を立つるの初め、大約之の如し。而して一変して軍団と為り、再変して募兵と為る。是に於てか兵は皆世業にして、号して弓馬の家と為し、兵農の分、始めて此に起こる。天下戦国と為るに及び、英雄割拠し、遂に封建の勢を成し、兵制も亦随ひて変ず。此れ其の大略なり。兵制屡々変ずるも、如し其の大勢を論ぜば、則ち亦其の変ずる者三あり。

現代語訳

しかし、物事が時とともに変わっていくのは天下の常の勢いである。兵制もその変化は一度ではない。古くは来目部・物部の兵を用い、それに民兵を加え、国造や県主もそれぞれ兵を持って民と社稷を守った。国家が制度を立てた初めは、おおよそこのようであった。それが一変して軍団の制となり、再び変わって募兵となった。ここで兵はみな家業として世襲され、「弓馬の家」と呼ばれるようになり、兵と農の分離がはじめてここから起こった。天下が戦国の世になると、英雄が割拠して、ついに封建の形勢ができあがり、兵制もそれにつれて変わった。これがそのあらましである。兵制はたびたび変わったが、その大きな流れを論じるなら、変化は三つある。

解説

正志斎は兵制の変遷を、来目・物部と民兵の時代から、律令の軍団制、平安期の募兵と武士の世襲、戦国の封建へと要約する。兵農分離の起点を武士の世襲化に置く見方は、のちに論じる「兵が土地を離れた」ことへの批判の伏線である。制度史を大づかみにして、表面の変化ではなく「大勢」の変化を三つに絞る手つきに、経世家としての正志斎の特色がある。現代でも、組織の仕組みの変遷を細部の改廃ではなく、性格を変えた転換点で捉え直すことは、改革の方向を見定める助けになる。

この章句が説くこと

兵制変遷兵農大勢制度新論

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