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新論 / 國體上

天祖既以此二者而建人紀、垂訓萬世、夫君臣也、父子也、天倫之最大者、而至恩隆於内、大義明於外、忠孝立、而天人之大道昭昭乎其著矣、忠以貴貴、孝以親親、億兆之能一心、上下之能相親、良有以也、若夫至敎之存於不言百姓日用而不知者、此其故何也、天祖在天、照臨下土、天孫盡誠敬於下、以報 天祖、祭政維一、所治之天職、所代之天工、無一非所以事 天祖者、尊祖臨民、既與天一矣、故與天同悠久、亦其勢之宜然也、故 列聖之申大孝也、秩 山陵、崇祀典、其所以盡誠敬者、禮制大備、而其報本尊 祖之義、至大嘗而極矣、

新字:天祖既以此二者而建人紀、垂訓万世、夫君臣也、父子也、天倫之最大者、而至恩隆於内、大義明於外、忠孝立、而天人之大道昭昭乎其著矣、忠以貴貴、孝以親親、億兆之能一心、上下之能相親、良有以也、若夫至教之存於不言百姓日用而不知者、此其故何也、天祖在天、照臨下土、天孫尽誠敬於下、以報 天祖、祭政維一、所治之天職、所代之天工、無一非所以事 天祖者、尊祖臨民、既与天一矣、故与天同悠久、亦其勢之宜然也、故 列聖之申大孝也、秩 山陵、崇祀典、其所以尽誠敬者、礼制大備、而其報本尊 祖之義、至大嘗而極矣、

書き下し

天祖既に此の二者を以て人紀を建て、訓を万世に垂る。夫れ君臣や、父子や、天倫の最も大なる者にして、至恩内に隆く、大義外に明かにして、忠孝立ちて、天人の大道昭昭乎として其れ著る。忠以て貴を貴び、孝以て親を親しむ。億兆の能く心を一にし、上下の能く相親しむは、良に以有るなり。若し夫れ至教の言はざるに存し、百姓日に用ゐて知らざる者は、此れ其の故何ぞや。天祖天に在りて下土を照臨し、天孫誠敬を下に尽して、以て天祖に報ず。祭政維れ一にして、治むる所の天職、代る所の天工、一として天祖に事ふる所以に非ざる者無し。祖を尊び民に臨み、既に天と一なり。故に天と悠久を同じくするも、亦其の勢の宜しく然るべきなり。故に列聖の大孝を申ぶるや、山陵を秩し、祀典を崇び、其の誠敬を尽す所以の者、礼制大いに備はりて、其の本に報い祖を尊ぶの義、大嘗に至りて極まれり。

現代語訳

天祖はこの二つ(君臣の義と父子の親)によって人の道の大綱を建て、万世に教えを垂れた。君臣と父子は人倫のうち最も大きいもので、最上の恩が内に厚く、大義が外に明らかで、忠と孝が立って、天と人とをつらぬく大道があざやかに現れる。忠によって貴い者を貴び、孝によって親しい者に親しむ。億兆の民が心を一つにし、上下が親しみ合えるのは、まことに理由がある。さて、最上の教えが言葉にされないところにあり、民が日々それを用いながら気づかないのは、なぜか。天祖は天にあって地上を照らし、天孫は地上で誠と敬を尽くして天祖に報いる。祭祀と政治は一つであり、治める天の職も、代わって行う天の働きも、すべて天祖に仕えるためのものである。祖先を尊んで民に臨み、すでに天と一体となっている。だから天とともに悠久であるのも、自然の勢いである。それゆえ歴代の天皇が大いなる孝を示すときには、山陵(陵墓)を整え、祭祀の制度を重んじ、誠と敬を尽くす礼の制度が大いに備わり、根本に報い祖先を尊ぶ意義は大嘗祭において極まる。

解説

ここで正志斎は「祭政一致」という本書の鍵となる考えを示す。天皇が天祖を祀ることがそのまま政治であり、民は教えを言葉で聞かなくとも日々の暮らしの中で忠孝を身につける、というのである。「百姓日に用ゐて知らず」は『易経』繋辞伝の語で、教えが意識されないほど生活に溶け込んでいる状態をいう。こうした祭政一致の主張は、幕末の尊王論や明治初年の神祇政策にも影響を与えたとされる。説教ではなく日々の慣習や場の中で価値観が伝わるという見方は、組織文化の根づき方を考える手がかりになる。

この章句が説くこと

祭祀忠孝祭政大嘗報本国体

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