新論 / 國體上
帝王之所恃以保四海而久安長治天下不動搖者、非畏服萬民把持一世之謂、而億兆一心、皆親其上而不忍離之實誠可恃也、夫自天地剖判始有人民、而 天胤君臨四海、一姓歴歴、未嘗有一人敢覬覦 天位、以至於今日者、豈其偶然哉、夫君臣之義、天地之大義也、父子之親、天下之至恩也、義之大者、與恩之至者、並立天地之間、漸漬積累、洽浹人心、久遠而不變、此 帝王所以經緯天地綱紀億兆之大資也、
新字:帝王之所恃以保四海而久安長治天下不動揺者、非畏服万民把持一世之謂、而億兆一心、皆親其上而不忍離之実誠可恃也、夫自天地剖判始有人民、而 天胤君臨四海、一姓歴歴、未嘗有一人敢覬覦 天位、以至於今日者、豈其偶然哉、夫君臣之義、天地之大義也、父子之親、天下之至恩也、義之大者、与恩之至者、並立天地之間、漸漬積累、洽浹人心、久遠而不変、此 帝王所以経緯天地綱紀億兆之大資也、
書き下し
帝王の恃みて以て四海を保ち、久安長治、天下動揺せざる所の者は、万民を畏服し一世を把持するの謂に非ずして、億兆心を一にし、皆其の上に親しみて之を離るるに忍びざるの実誠、恃むべきなり。夫れ天地剖判して始めて人民有りしより、天胤四海に君臨し、一姓歴歴として、未だ嘗て一人も敢へて天位を覬覦する有らずして、以て今日に至る者は、豈其れ偶然ならんや。夫れ君臣の義は、天地の大義なり。父子の親は、天下の至恩なり。義の大なる者と恩の至れる者と、天地の間に並び立ち、漸漬積累して、人心に洽浹し、久遠にして変ぜず。此れ帝王の天地を経緯し億兆を綱紀する所以の大資なり。
現代語訳
帝王が頼みとして天下を保ち、長く安らかに治め、天下が揺るがないようにするものは、万民を威で従わせ、一世をつかんで離さないことではない。億兆の民が心を一つにし、皆が上に親しんで離れるに忍びないという真心こそが、頼みとなるのである。そもそも天地が分かれて初めて人民が生じて以来、天照大神の子孫が天下に君臨し、一つの血統がはっきりと続いて、いまだかつて一人も天子の位をうかがった者がなく今日に至っているのは、どうして偶然であろうか。君臣の義は天地の大義であり、父子の親しみは天下の最上の恩である。最大の義と最上の恩とが天地の間に並び立ち、少しずつしみこみ積み重なって人の心に行きわたり、長く変わらない。これこそ帝王が天地を治め、億兆をまとめるための大きな資本である。
解説
この章句が説くこと
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