新語 / 本行
夫懷璧玉,要環佩,服名寶,藏珍怪,玉斗酌酒,金罍刻鏤,所以夸小人之目者也;高臺百仞,金城文畫,所以疲百姓之力者也。故聖人卑宮室而高道德,惡衣服而勤仁義,不損其行,以好其容,不虧其德,以飾其身,國不興不事之功,家不藏不用之器,所以稀力役而省貢獻也。璧玉珠璣,不御於上,則翫好之物棄於下;琱琢刻畫之類,不納於君,則淫伎曲巧絕於下。夫釋農桑之事,入山海,采珠璣,捕豹翠,消䈥力,散布泉,以極耳目之好,快淫侈之心,豈不謬哉?
新字:夫懐璧玉,要環佩,服名宝,蔵珍怪,玉斗酌酒,金罍刻鏤,所以夸小人之目者也;高台百仞,金城文画,所以疲百姓之力者也。故聖人卑宮室而高道徳,悪衣服而勤仁義,不損其行,以好其容,不虧其徳,以飾其身,国不興不事之功,家不蔵不用之器,所以稀力役而省貢献也。璧玉珠璣,不御於上,則翫好之物棄於下;琱琢刻画之類,不納於君,則淫伎曲巧絶於下。夫釈農桑之事,入山海,采珠璣,捕豹翠,消䈥力,散布泉,以極耳目之好,快淫侈之心,豈不謬哉?
書き下し
夫れ璧玉を懐き、環佩を要め、名宝を服し、珍怪を蔵し、玉斗もて酒を酌み、金罍に刻鏤するは、小人の目に夸る所以なり。高台百仞、金城文画は、百姓の力を疲れしむる所以なり。故に聖人は宮室を卑くして道徳を高くし、衣服を悪しくして仁義に勤め、其の行いを損せずして以て其の容を好くし、其の徳を虧かずして以て其の身を飾り、国は不事の功を興さず、家は不用の器を蔵せず、力役を稀にして貢献を省く所以なり。璧玉珠璣、上に御せざれば、則ち翫好の物は下に棄てられ、琱琢刻画の類、君に納れざれば、則ち淫伎曲巧は下に絶ゆ。夫れ農桑の事を釈て、山海に入り、珠璣を采り、豹翠を捕え、䈥力を消し、布泉を散じ、以て耳目の好みを極め、淫侈の心を快くするは、豈に謬らずや。
現代語訳
宝玉を懐に入れ、環や佩玉を身につけ、名高い宝を着け、珍しい品を蔵し、玉の枡で酒を酌み、金の酒器に彫刻を施すのは、つまらない人の目に見せびらかすためです。百仞の高い台や、金の城壁に模様を描くのは、民の力を疲れさせるためです。だから聖人は宮殿を低くして道徳を高くし、衣服を粗末にして仁義に励み、行いを損なわずに姿を整え、徳を欠かさずに身を飾り、国は必要のない事業を興さず、家は使わない器を蔵しません。それは労役を減らし、貢ぎ物を省くためです。璧玉や珠玉を君主が用いなければ、もてあそぶ品は下で捨てられ、彫り飾るたぐいを君が受け入れなければ、淫らな技や曲がった巧みは下で絶えます。農耕と養蚕を放って山や海に入り、珠玉を採り、豹や翡翠の羽を捕え、体力を使い、貨幣をばらまいて、耳目の好みを尽くし、淫らな贅沢の心を満たすのは、誤りではないでしょうか。
解説
この章句が説くこと
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論語・顔淵篇季康子、盗を患えて、孔子に問う。孔子対えて曰く、「苟くも子の欲せずんば、之を賞すと雖も竊まざらん。」
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呂氏春秋・精通③德なる者は、萬民の宰なり。月なる者は、群陰の本なり。月望なれば則ち蚌蛤實ち、群陰盈つ。月晦なれば則ち蚌蛤虚しく、群陰虧く。夫れ月、天に形われて、群陰、淵に化す。聖人、德を己に行いて、四方咸仁に飭し。
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『春秋左氏伝』閔公二年 慶父、自ら縊る二年春、虢公犬戎を渭汭に敗る。舟之僑曰く、「德無くして祿あるは、殃なり。殃將に至らんとす」と。遂に晉に奔る。夏、莊公に吉禘す、速やかなるなり。初め、公の傅卜齮の田を奪ふ。公禁ぜず。秋八月辛丑、共仲卜齮をして公を武闈に賊せしむ。成季僖公を以って邾に適く。共仲莒に奔る。乃ち入りて、之を立つ。賂を以って共仲を莒に求む。莒人之を歸す。密に及び、公子魚をして請はしむ。許さず。哭して往く。共仲曰く、「奚斯の聲なり」と。乃ち縊る。閔公は、哀姜の娣叔姜の子なり。故に齊人之を立つ。共仲哀姜に通ず。哀姜之を立てんと欲す。閔公の死するや、哀姜與り知る。故に邾に孫る。齊人取りて之を夷に殺し、其の尸を以って歸る。僖公請ひて之を葬る。成季の將に生まれんとするや、桓公卜楚丘の父をして之を卜せしむ。曰く、「男なり。其の名を友と曰ひ、公の右に在らん。兩社に間はり、公室の輔と爲らん。季氏亡びなば、則ち魯昌えず」と。又之を筮し、《大有》の《乾》に之くに遇ふ。曰く、「同じく父に復り、敬すること君の所の如し」と。生まるるに及び、文の其の手に在る有りて「友」と曰ふ。遂に以って之に命く。
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『山鹿語類』士道・勵忠孝出て君に仕ふるに徳を不以、入て父兄に仕へて其孝弟に誠あらざらんには、養気存心の用更にあらはれず。抑徳と云は、内に養ひ存する処を、外に用ひて其誠を尽して無不究理、是をなづけて徳とす。養気存心すと云とも、君父にをいて其誠たらずんば、何ぞ其下に及ばん。然れば所養所存、唯空談にして実なし。凡そ聖人の道は普く天下に施し、大小精粗ともに其用足りて、四海其化に及ぶにをいて、初めて道々たり。わづかに一己にてらし一身を清くせんことは、碌々たる小人、言必信じ行必果すの輩也。されば君父につかへ、其可致のつとめ聊不怠して、しかも其理にかなひ、四海安寧に、家内無事にして、常に変に更に滞る処なきときは、天地の覆て無外、のせて無棄にことならず。是大徳に非ずや。故に徳を練る事は、先づ忠孝を励まして其誠を尽し、君父に事る間、天性にしたがひ守て、更に不違を以て本とすべきなり。
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『慎思録』巻之二造化の人に於けるや、富貴爵禄を靳しまずして、独り徳を靳しむ。此れ造化靳惜に心有るに非ず、自然にして然り。故に富貴なる者は、古今常に多く、賢哲なる者は、古今常に少なし。蓋し徳は是れ天地神秀の気、純粋精美の理にして、鍾会して人身に附与する者なり。夫れ陰陽の気は、霄壌の間に充塞すと雖も、然れども清明粋美なる者は少なし。故に人の生まるる、其の清粋の気を禀受する者甚だ寡し。亦た宜ならずや。此れ君子の常に寡く、小人の常に衆き所以なり。天の命を降すや、人をして徳有りて道を知らしむる者は、是れ天の独り君子を寵異する所にして、富貴爵禄の其の生を厚くする者に百倍す。此れ君子の以て至楽と為して、富貴爵禄を願はざる所以なり。然らば則ち学者は当に貧賤不遇を憂へずして、特に学の講ぜざる、徳の修まらざるを憂ふべきのみ。
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『翁問答』上卷之末体充曰、儒門の心学をきはめずして、軍法に達し軍法をたてゝ、その名たかき大将、倭漢ともに古来多く候へば、心学のみがきなくても、軍法のまなびはなり申べく候、しかるにまづ儒門の心学をきはめてのちに軍法をまなびたるがよしと仰せられ候は不審に存候。師の曰、よきうたがひにて候、大将の才を逞じく生れたる人は、心学のみがきなくても、軍法に達し軍功をば立るといへども、その徳なきゆへに才のたくまじきに迷ひ、必ず人を殺す事を好み、不義無道のふるまひあれば、万民その毒にあたりなげき悲むによつて、終には天罰をかうぶり、其身もほろび国も必ず絶滅するものなり、その証拠はもろこしにても我朝にても、其徳なくて才のみ逞しき大将に、其身難なく子孫繁昌したる人まれなり倭漢の史書にて考へ見るべし、
人生の答えは、ぜんぶ古典に書いてあった。
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