論語 / 顔淵篇
季康子患盜,問於孔子。孔子對曰:「苟子之不欲,雖賞之不竊。」
新字:季康子患盗,問於孔子。孔子対曰:「苟子之不欲,雖賞之不窃。」
書き下し
季康子、盗を患えて、孔子に問う。孔子対えて曰く、「苟くも子の欲せずんば、之を賞すと雖も竊まざらん。」
現代語訳
季康子が盗賊の多さを憂えて、孔子に尋ねた。孔子はお答えした。「もしあなた自身が欲張らなければ、褒美を出して盗ませようとしても、誰も盗まないでしょう。」
解説
盗賊対策を尋ねられて、あなたが欲を出さなければよい、と答えた。取り締まりの話を一切していない。上位者の貪欲が、下の盗みを生むという因果を示したのである。季康子は税を重く取り立てていた。上が奪えば、下も奪う。上が公正なら、褒美を出しても盗まない。極端な言い方だが、規範がどこから伝播するかを言い当てている。組織の不正対策にも通じる。監視を強め、罰則を厳しくするのは自然な発想だが、経営層が経費や取引で線を越えていれば、規則は建前として扱われる。現場は上の振る舞いを驚くほど正確に把握している。制度で押さえられるのは、規範が生きている組織での逸脱までである。規範そのものが上から壊れている場合、制度は効かない。
この章句が説くこと
不正上行下効貪欲規範対策
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