新語 / 慎微
若湯、武之君,伊、呂之臣,因天時而行罰,順陰陽而運動,上瞻天文,下察人心,以寡服眾,以弱制強,革車三百甲卒三千,征敵破眾,以報大讎,討逆亂之君,絕煩濁之原,天下和平,家給人足,疋夫行仁,商賈行信,齊天地,致鬼神,河出圖,洛出書,因是之道,寄之天地之間,豈非古之所謂得道者哉。夫播布革,亂毛髮,登高山,食木實,視之無優游之容,聽之無仁義之辭,忽忽若狂癡,推之不往,引之不來,當世不蒙其功,後代不見其才,君傾而不扶,國危而不持,寂寞而無鄰,寥廓而獨寐,可謂避世,而非懷道者也。故殺身以避難則非計也,懷道而避世則不忠也。
新字:若湯、武之君,伊、呂之臣,因天時而行罰,順陰陽而運動,上瞻天文,下察人心,以寡服衆,以弱制強,革車三百甲卒三千,征敵破衆,以報大讎,討逆乱之君,絶煩濁之原,天下和平,家給人足,疋夫行仁,商賈行信,斉天地,致鬼神,河出図,洛出書,因是之道,寄之天地之間,豈非古之所謂得道者哉。夫播布革,乱毛髪,登高山,食木実,視之無優游之容,聴之無仁義之辞,忽忽若狂痴,推之不往,引之不来,当世不蒙其功,後代不見其才,君傾而不扶,国危而不持,寂寞而無鄰,寥廓而独寐,可謂避世,而非懐道者也。故殺身以避難則非計也,懐道而避世則不忠也。
書き下し
湯・武の君、伊・呂の臣の若きは、天時に因りて罰を行い、陰陽に順いて運動し、上は天文を瞻、下は人心を察し、寡を以て衆を服し、弱を以て強を制す。革車三百、甲卒三千にして、敵を征し衆を破り、以て大讎に報い、逆乱の君を討ち、煩濁の原を絶つ。天下和平にして、家給し人足り、疋夫は仁を行い、商賈は信を行い、天地を斉しくし、鬼神を致し、河は図を出だし、洛は書を出だす。是に因るの道は、之を天地の間に寄す。豈に古の所謂道を得る者に非ずや。夫れ布革を播き、毛髪を乱し、高山に登り、木実を食らい、之を視れば優游の容無く、之を聴けば仁義の辞無く、忽忽として狂癡の若く、之を推せども往かず、之を引けども来らず、当世其の功を蒙らず、後代其の才を見ず、君傾けども扶けず、国危うけれども持せず、寂寞として鄰無く、寥廓として独り寐ぬ。避世と謂う可くして、道を懐く者に非ざるなり。故に身を殺して以て難を避くるは則ち計に非ざるなり。道を懐きて世を避くるは則ち不忠なり。
現代語訳
湯王や武王のような君主、伊尹や呂尚のような臣は、天の時に従って罰を行い、陰陽に順って動き、上は天の文を仰ぎ見、下は人の心を察し、少数で大勢を従え、弱い力で強い者を抑えました。兵車三百、鎧の兵三千で敵を征し、大勢を破り、大きな仇に報い、道に背き乱れた君主を討ち、煩わしく濁った根源を断ちました。天下は和らぎ平らかになり、家々は足り、人々は満ち、庶民は仁を行い、商人は信を行い、天地と調和して鬼神を招き、黄河は図を出し、洛水は書を出しました。この道を天地の間に託したのです。これこそ昔の言う道を得た者ではないでしょうか。これに対し、粗末な布や革の衣をまとい、髪を乱し、高い山に登り、木の実を食らって、見ればゆったりした姿はなく、聞けば仁義の言葉もなく、ぼんやりと狂人か愚者のようで、押しても進まず、引いても来ず、当世はその功を受けず、後世はその才を見ず、君が傾いても支えず、国が危うくても保たず、ひっそりとして隣もなく、広々とした所に独りで眠る。これは世を避けたとは言えても、道を抱く者とは言えません。ですから、身を捨てて難を避けるのは良い計ではなく、道を抱いて世を避けるのは不忠なのです。
解説
この章句が説くこと
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『呻吟語』外篇・品藻・誰か你が個の高人を成就せん巢父・許由は、世間此等の人を要して甚をか作さん。荷蕢晨門、長沮桀溺は世道已に為す可からざるを知り、自ら無道なれば則ち隱るる一種の道理有り。巢・由一派は許多の人皆な堯・舜を污濁し、臯・夔を噦吐す有り。自ら曠古の高人と謂ふも、而して仕へざるは義無く、一身を潔くして天下を病ましむるを知らず。吾が道の罪人なり。且つ世に巢・許無きも其の唐虞爲るを害せず。堯・舜・臯・夔無くんば、巢・許も也た安頓する處沒し。誰か你が個の高人を成就せん。
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