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新語 / 無為

道莫大於無為,行莫大於謹敬。何以言之?昔舜治天下也,彈五弦之琴,歌南風之詩,寂若無治國之意,漠若無憂天下之心,然而天下大治。周公制作禮樂,郊天地,望山川,師旅不設,刑格法懸,而四海之內,奉供來臻,越裳之君,重譯來朝。故無為者乃有為也。秦始皇設刑罸,為車裂之誅,以歛姦邪,築長城於戎境,以備胡、越,征大吞小,威震天下,將帥橫行,以服外國,蒙恬討亂於外,李斯治法於內,事愈煩天下愈亂,法愈強而奸愈熾,兵馬益設而敵人愈多。秦非不欲為治,然失之者,乃舉措暴作、用刑太極故也。是以君子尚寬舒以裦其身,行身中和以致疏遠;民畏其威而從其化,懷其德而歸其境,美其治而不敢違其政。民不罸而畏,不賞而勸,漸漬於道德,而被服於中和之所致也。

新字:道莫大於無為,行莫大於謹敬。何以言之?昔舜治天下也,弾五弦之琴,歌南風之詩,寂若無治国之意,漠若無憂天下之心,然而天下大治。周公制作礼楽,郊天地,望山川,師旅不設,刑格法懸,而四海之内,奉供来臻,越裳之君,重訳来朝。故無為者乃有為也。秦始皇設刑罰,為車裂之誅,以歛姦邪,築長城於戎境,以備胡、越,征大呑小,威震天下,将帥横行,以服外国,蒙恬討乱於外,李斯治法於内,事愈煩天下愈乱,法愈強而奸愈熾,兵馬益設而敵人愈多。秦非不欲為治,然失之者,乃舉措暴作、用刑太極故也。是以君子尚寛舒以裦其身,行身中和以致疏遠;民畏其威而従其化,懐其徳而帰其境,美其治而不敢違其政。民不罰而畏,不賞而勧,漸漬於道徳,而被服於中和之所致也。

書き下し

道は無為より大なるは莫く、行いは謹敬より大なるは莫し。何を以て之を言う。昔舜の天下を治むるや、五弦の琴を弾じ、南風の詩を歌い、寂として国を治むるの意無きが若く、漠として天下を憂うるの心無きが若し。然り而して天下大いに治まる。周公は礼楽を制作し、天地を郊し、山川を望し、師旅を設けず、刑格れ法懸かりて、四海の内、奉供して来臻し、越裳の君、重訳して来朝す。故に無為なる者は乃ち有為なり。秦の始皇は刑罸を設け、車裂の誅を為し、以て姦邪を歛む。長城を戎境に築き、以て胡・越に備え、大を征し小を吞み、威は天下を震わし、将帥横行し、以て外国を服す。蒙恬は乱を外に討ち、李斯は法を内に治む。事愈々煩にして天下愈々乱れ、法愈々強くして奸愈々熾んに、兵馬益々設けて敵人愈々多し。秦は治を為すを欲せざるに非ず、然れども之を失う者は、乃ち挙措暴作し、刑を用うること太だ極まるが故なり。是を以て君子は寛舒を尚びて以て其の身を裦め、身を行うこと中和にして以て疏遠を致す。民は其の威を畏れて其の化に従い、其の徳を懐いて其の境に帰し、其の治を美として敢えて其の政に違わず。民は罸せずして畏れ、賞せずして勧み、道徳に漸漬して、中和に被服するの致す所なり。

現代語訳

道は無為より大きなものはなく、行いは慎み敬うことより大きなものはありません。なぜそう言えるのか。昔、舜が天下を治めたとき、五弦の琴を弾き、「南風」の詩を歌い、ひっそりと国を治める意思もないようで、ぼんやりと天下を憂う心もないようでしたが、天下は大いに治まりました。周公は礼楽を制作し、天地を祭り、山川を望み祭りましたが、軍を設けず、刑罰は置いたまま用いられず、四海の内から貢物を捧げて人々が来り、越裳の君は何度も通訳を重ねて来朝しました。だから無為とは、すなわち有為なのです。秦の始皇帝は刑罰を設け、車裂きの刑を行って姦邪を抑え、辺境に長城を築いて胡・越に備え、大国を征し小国を呑み、威勢は天下を震わせ、将帥が横行して外国を服させました。蒙恬は外で乱を討ち、李斯は内で法を治めました。事はますます煩雑になって天下はますます乱れ、法が強まるほど悪がはびこり、兵馬を増やすほど敵が増えました。秦は治めようとしなかったわけではありませんが、それに失敗したのは、振る舞いが乱暴で、刑の用い方があまりに極端だったからです。そこで君子は寛やかさを尚び、身を中和に行って遠い者も招き寄せます。民はその威を畏れて教化に従い、その徳を慕って国境に帰し、その治めを美として政に背きません。民は罰しなくても畏れ、賞しなくても励み、道徳に染まり中和をまとうことで、こうなるのです。

解説

『新語』の中心思想とされる無為を、舜と周公、秦始皇の対比で示す段です。陸賈にとって無為は何もしないことでなく、強いるのでなく徳で人が自然に従うあり方です。舜が琴を弾き、周公が兵を設けなくても天下が治まる一方、秦は刑も兵も増やしたのに乱れが深まった、という筋で語られます。ここでの「無為」は『老子』流の放任とは異なり、儒家的な徳治の別名として使われているところが特徴です。管理職の実務にひきつけると、細かい指示や監視を増やすほど現場が乱れる場面は多いものです。統制を強めるより、信頼と中和で人が動く環境を整える、という方向転換のヒントになります。

この章句が説くこと

無為徳治舜秦始皇中和新語

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